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綿毛日和   【詩】

春になるとタンポポは
黄色い花びらのパラボラアンテナを広げて
野原のニュースを受信します

白いハコベや
カラスノエンドウ
黄色いカタバミの小さな花が
いつのまにか たくさん咲いてたこと

ナナホシテントウの兄弟が
樹の皮の下で
冬眠から目を覚ましたとか

一面のレンゲソウが 
王冠おうかんのような花をらして
コーラスしていたり

小川がぬるまって
ゆれる水草のかげに
オタマジャクシがいっぱいかえったこと

そんなニュースをたくさん集めたら
タンポポは黄色いパラボラアンテナをしまって
それから そよ風が吹く日に
白い綿毛わたげを開きます

綿毛の下に
一つずつ付いている小さいカバン
そのカバンに
集めた春のニュースを入れて
風にのって 
どこまでも運んでゆくのです

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