マガジンのカバー画像

「線スケッチ」の立場で本を読んでみた

29
この読書感想シリーズは、通常の書評形式ではなく、以下のような方針で取り上げています。 <方針> 1.書籍全体の書評ではなく、「線スケッチ」の制作に役立つ部分を取り上げ紹介する。 …
運営しているクリエイター

#読書

島尾新著「水墨画入門」岩波新書(2019):身体・五感で見る水墨。日本の独自性が分か…

 前回の記事、その1から続きます。 水墨画の存在様式 著者は、第2章「水墨の発見」で、「…

島尾新著「水墨画入門」岩波新書(2019):身体・五感で見る水墨。日本の独自性が分か…

はじめに 現在私は「線スケッチ」による作品を描いています。 「線スケッチ」は「ペン画」の…

<ゴッホの手紙 上中下、硲 伊之助訳、岩波文庫>(補遺)日本絵画の影響はここにも!…

前回の記事から続く  ゴッホの手紙感想文の(補遺)として、(1)「平原(畑)への愛」、(…

<ゴッホの手紙 上中下、硲 伊之助訳、岩波文庫>(補遺)日本絵画の影響はここにも!…

前回の記事から続く (3)西洋絵画では描かれない雨の風景にチャレンジしている。素描および…

<ゴッホの手紙 上中下、硲 伊之助訳、岩波文庫>(補遺)日本絵画の影響はここにも!…

前回の(補遺)記事から続く (2)ゴッホの樹木描写に日本の「すだれ効果」を見る  「ゴッ…

<ゴッホの手紙 上中下、硲 伊之助訳、岩波文庫>(補遺)日本絵画の影響はここにも!…

はじめに 表題の感想文は(その1)、(その2)、(その3)で完結しましたが、(その3)の…

<ゴッホの手紙 上中下、硲 伊之助訳、岩波文庫> 素描にびっくり、 ゴッホの油彩は線描(素描)そのものだ! 点描延長説への疑問と私見 崩れたゴッホ像(その3)

(前の記事から続く) 謎3)の解答に至った理由  ゴッホが日本の絵画に傾倒したことはよく知られています。(その1)で述べたように、「ゴッホの手紙」の中で語られている日本への想いが教科書にも引用されているので、日本人には周知のことでしょう。  もう一度、謎3)を示します。 謎3)パリ時代以前の鉛筆、木炭による素描から、なぜペンによる素描になったのか? なぜ陰影を描かなくなったのか? 油彩画と関係があるのか?  その解答は以下になります。  ゴッホは、日本の画家が対象

<ゴッホの手紙 上中下、硲 伊之助訳、岩波文庫> 素描にびっくり、 ゴッホの油彩は…

はじめに 前回の記事では、私が考えた以下の三つの「ゴッホの謎」を紹介し、その背景を紹介し…

<ゴッホの手紙 上中下、硲 伊之助訳、岩波文庫> 素描にびっくり、 ゴッホの油彩は…

はじめにゴッホと私  ゴッホについて云えば、noteを始めた頃の記事の中で私の小学生の時のエ…

<夏目漱石俳句 笑う漱石> 南伸坊(編・絵) 七つ森書館(2015)

はじめになぜこの本を取り上げたのか  今回取り上げた本は主体は夏目漱石の俳句で、その俳句…

<ジャポニスム 幻想の日本> 馬渕明子 ㈱ブリュッケ(新版2015)その2.(3)

はじめに 前回、その2.(2)では、モネの作品《木の間越しの春》は、日本美術の構図を利用…

<ジャポニスム 幻想の日本> 馬渕明子 ㈱ブリュッケ(新版2015)その2.(1)

はじめに  記事その1.では、線スケッチ教室の体験会での質問、「なぜ下書きなしに描くので…

<ジャポニスム 幻想の日本> 馬渕明子 ㈱ブリュッケ(新版2015)その1.

はじめに カルチャー教室の「線スケッチ」の講座を始めるときには、生徒さんを募集するために…

<東京風俗帖> 木村荘八 ちくま学芸文庫(2003) その2.

はじめに 本記事は、「<東京風俗帖> 木村荘八 ちくま学芸文庫(2003) その1.」の続きです。時間の余裕があれば一度読まれてから本記事をお読みいただければと思います。  時間の余裕のない方に「その1」の要点を以下に記します。  私が昭和30年代に訪れた東京の印象は「なぜ、東京の家並みの屋根は、うすっぺらなスレートやトタンばかりなのか?」でした。  これに対する10年前の私の解釈(仮説)は、以下の通りです。 木村荘八が見る明治、大正(震災前、震災後)、昭和(戦前、戦後