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ふたつめの夏


よちよちと たよりなく歩くムスメは
もうすぐ ふたつめの夏をむかえる
強くにぎればつぶれてしまいそうな
手をひきながら ふと思うことがある
この子が大きくなったら どう思うだろうか
手足の不自由な おとうさんを
病気のせいだと わかってくれるだろうか
それとも いやだと はなれて歩くだろうか
まもなくしゃべりはじめるだろう
こちらを向いて笑う 愛し子よ

すやすやと ここちよく眠るムスメは
もうすぐ ふたつめの夏をむかえる
おいでというと 車のキーをもって
横にちょこんと乗っている子を見ると
この子が大きくなったら どう思うだろうか
手足が不自由な おとうさんを
信頼して 横に乗ってくれるだろうか
それともいやだと 車に乗らないだろうか
まもなく しゃべりはじめるだろう
となりで気持よく眠る 愛し子よ

さわやかに 元気よく育つムスメは
もうすぐ ふたつめの夏をむかえる
二人目が出来て あまりかまって
やれなくなったけれど おこらないでくれ
この子が大きくなったら どう思うだろうか
手足の不自由な おとうさんを
弟と協力して 手助けしてくれるだろうか
それとも いやだと 勝手にするだろうか
なかよく はしゃいで あそんでいる
おとうとをあやす 愛し子よ
おとうさんの大事な亜由美ちゃん

作詩:堺 隆

(当時の作詩者コメント)
こんにちは、私は3年前に同じ身障の妻と結婚して、今では二人の子供がいるおとうさんです。最初の子供(長女)が出来る時、親や回わりの人たちが、無事に生まれて来るかと心配しました。この私は大丈夫と思っていましたが、やはり内心は不安でした。その時の心の気持を表わしたのが「赤ちゃん」の歌です。亜由美が生まれてからは、一度私が風呂に手をすべらして落したぐらいで、順調に育ちました。この8月で2才になります。2番目が出来て今回の詩が出きました。これからも「一家4人の生活の詩」を書き続けて行こうと考えています。

『わたぼうし音楽祭』
障害のある人たちの日常生活や体験や感情を詩につづりメロディーにのせて届ける音楽祭。1976年から始まった芸術文化活動で、2022年8月7日には第47回目の音楽祭が開催される。

※2022年8月1日時点 ホール開催中止/後日オンライン開催に変更
「第47回わたぼうし音楽祭」は、新型コロナウイルス感染急拡大のため、
8月7日・奈良県文化会館でのホール開催を中止し、後日オンライン開催に変更します。入選されたみなさん、会場にお越しくださるみなさんをはじめ、関わるすべてのみなさんのいのちと健康を守るための決断です。オンライン開催の日程等詳細は未定ですが、今後の感染状況を見ながら、年内に仕切り直したいと思っています。



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