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ぼくの作った・・・・

ワンカップの水に 同量の小麦粉
卵を入れて辛抱強く かきまぜたら
玉葱 じゃがいも 車海老
冷蔵庫を総ざらい
震える手で
ぼくの作った天婦羅
パリン パリン パリン
・・・油がはねる
そこらじゅう粉だらけの真白
呆れて笑いころげないで
まぁ 食べなさい

巻きすの上に 海苔おいて
団扇でさました ご飯をひろげたら
かんぴょう そぼろ 高野豆腐
焼きあなごを忘れずに
汗かいて
ぼくのつくった巻き寿司
クルリ ギュッ クルリ ギュッ
片手でしめる
海苔が破れて 飛び出たよ
お茶ばかり飲まずに
まぁ 食べなさい

作詩:浜本八収 作曲:後藤哲夫

(当時の作詩者コメント)
正直、料理をしたことがない。障害のためではなく、性格が横着でずぼらなためである。そんな私が、この春花見をした折に、ちょっとのことだがスキヤキを作るのに手を出した。(豆腐を切っただけだが……)
 「馬鹿言え。俺が作った料理じゃ誰もたべないぞ。」と照れ隠しに不貞腐れながらも、結構愉しかったし、美味しかった。その時のことを思い出して書いたのが、この詩である。
 入選なんて望外のことであった。自分で精一杯努力して作り、みんなと分けあって味わい、愉しさや喜びを噛みしめあうこと…。なにも料理だけに限ったことではないだろう。そんな思いが伝わればと願って書いたように思う。

『わたぼうし音楽祭』
障害のある人たちの日常生活や体験や感情を詩につづりメロディーにのせて届ける音楽祭。1976年から始まった芸術文化活動で、2021年8月7日には第47回目の音楽祭が開催される。

※2022年8月1日時点 ホール開催中止/後日オンライン開催に変更
「第47回わたぼうし音楽祭」は、新型コロナウイルス感染急拡大のため、
8月7日・奈良県文化会館でのホール開催を中止し、後日オンライン開催に変更します。入選されたみなさん、会場にお越しくださるみなさんをはじめ、関わるすべてのみなさんのいのちと健康を守るための決断です。オンライン開催の日程等詳細は未定ですが、今後の感染状況を見ながら、年内に仕切り直したいと思っています。



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