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動線ミスが招いた事故

レントゲン機器の設備工事の時でした。

「先生。先ほど頭をここにぶつけてしまいまして…。」
「大丈夫ですか!」
「私は大丈夫ですが、ここ危ないですよ。特に背の低い女性は危険かもしれません」

設備屋さんが負傷してしまったのです。
原因は図面や建築中に気づけなかった盲点にありました。

 赤丸の位置の吊戸棚の角にぶつけてしまったそうです。角部に養成してあったので大事には至らなかったのですが、診療中の事故だったらと思うと、ゾッとします。

 建築中はユニットがなかったため、まっすぐに進みます。そのため吊戸棚を意識することがなかったです。

 ユニットを設置したことによって、動線が変わってしまいました。患者さんを導入する時はユニットテーブルを引き込むため、問題ないだろうと考えていました。しかし、人間は反射的に空間が広がっている方に進むようです。そのため動線がユニットを避けるように斜めになった結果、吊戸棚の角と重なってしまったのです。

 意外なことに、この角の部分が視界に入らない。特に小柄な女性では目の高さと重なるにもかかわらず、見えないのです。
見ようとしないものは見えない怖さ。
もし振り向いた時に目と接触したらと思うと恐怖です。

そこで側面板を緊急でお願いしました。圧迫感を感じないか心配だったのですが、特に変化なく安心しました。
むしろ板を追加したほうがスッキリした感じがします。これで角の露出が無くなり安心できました。

こうやって板を一枚張るだけで不思議と動線が変化します。

設備屋さんには大変申し訳なく思いますが、はっきりと危険個所を指摘していただいたため、大きな事故を未然に防ぐことができました。
ダメなところをダメと言ってくれる人は貴重な存在です。
本当に感謝しかありません。


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