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#96 キウイに教わった事

私が3年ほど前に購入した田舎の家の庭には、キウイの木が5本ほどある。棚は一応作られていたが、私が購入する時には、あまり手入れされているようには思えず、かなり暴れていた。

私はそれほどキウイが好きではないので、購入当初は何も手をつけず放置していたが、その年の秋に気付いたらキウイの実が自然に、鈴なりになっていた。

実はさほど大きくないが、試しに食べてみるとまずまずの味だった。量もかなり多く実り、知り合いに配っても十分余るほどの収穫量だった。

最初からあまり興味が無いので、来年も放っておけば簡単に実る物だと思っていたら、翌年春の遅霜に花がやられてしまい、ほんの少しだけしか収穫できなかった。

出来てあたり前だと思っていたものが出来なくて、とても悔しい思いをしたので、今年こそはと棚を整備しなおし、枝を整理・誘導してみた。

そしてこのところ、沢山の花が開き始めた。それまでキウイに関して何も勉強しなかったので、改めてネットで色々と調べてみたら、キウイには雄木と雌木があって、両方が一緒に花が咲き受粉しないと実はならないとの事。

確かに敷地内には実がならないキウイの木がある。多分それが雄木だとは思うが、その木に花が咲いたのを見たことが今までにないし、雌木の花が咲いた今も、他のキウイの木に花らしきものはついていない。

今年こそ摘果もきっちりやって、大きな実を成らすと意気込んでいたのに。


私はこの家を、仲介業者から購入したので前の持ち主にお会いしたことが無い。高齢になられたので、子どもさんのところへ行かれるために、この家を手放したそうだ。

仲介業者に庭の樹木の説明責任はないので、聞く事もなかったし、そもそも最初はキウイなど何の興味もなかったのも事実だ。

しかし今は違う、心は「キウイ果樹園のオーナー」になっている。

知らなければよかったのに、ちょっと調べてしまったら・・・・・・・・。


雌木の花が沢山咲いているのに、これが全部無駄になるのだろうか?

それとも雄木の花がどっかに隠れて咲いているのだろうか?

欲を出すと、不安も出てくることを、

キウイに教えられた5月最後の日曜日だった。




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