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【#013|とんがりあたまのあのひと】(2018年09月14日)

 今読んでいるエッセイ本に気になる描写があった。

 まず作者と担当編集者は相撲好きな編集長に誘われて、生まれて初めて大相撲を観戦する。そして今回の関取場所である両国国技館の中でのシーンである。

 取組以外でいちばん驚いたのは、あたまのとんがった審判がいたことだ。
「あ、あれは……」
「シリコンでしょう」
 クリモトさんが教えてくれる。

 編集長のクリモトさんが冷静に指摘してくれるのだが、何度読んでも全く想像が出来ない。

 その後「身長が入門基準の173センチに満たない力士志願者が手術で頭にシリコン入れて基準をパスする者がいる。」という衝撃的な説明があって、あの審判もその一人だとマス席(相撲の観戦席)に座る3人で予想し合っていた。

「あれはドーピングと違うんですか?」
「入門すれば、あの頭はいらないでしょう」
「それに彼は既に現役を引退した親方なんだからシリコン抜いていいでしょ」
「あんなに苦労して入門して親方にまでなったんだから、青春の勲章として残してるんじゃないかな」

 結局マス席では明確な回答は出ず、楽しい相撲観戦は終わった。そのまま家に帰った作者は直ぐにあの親方を検索して、その回答を見つけた。

「頭のとんがった審判委員は元大関大受の朝日山親方。頭にシリコンを埋めて新弟子検査に合格したが、当時の医療技術では一度埋めたシリコンを再び取り出すことができずそのままになってしまった」
 そうか、と思ってショックを受ける。「抜けばいいのに」とか「青春の勲章」など軽く云い合ったことを後悔した。

『夢のマス席』穂村弘:光文社文庫
※『現実入門』収録

 その辛い事実に読者の私もショックを受けたが、同時にその朝日山親方がどんな頭をしているのか。私も作者のように検索した。

 その噂の頭がこちら。

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 おお、たしかにショッキングな風貌だ…。でも、それ以上に『コーンヘッズ(1993年:アメリカ)』の存在を思い出した。

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 そういえば『コーンヘッズ』ってよく話のネタに出るけど一度も見たことがない。

 気になるけど借りるほどでもないし動画配信もないからテレ東の『午後のロードショー』とかで放送してほしい。

 どんなに検索しても放送予定がないから、『現実入門』の続きを読んで放送する日を待つとしよう。

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【あとがき】

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 ブログの参考に様々なエッセイを読むのですが、その中でも穂村弘さんのエッセイが一番のお気に入りでコツコツと集めています。

 自虐ネタを掘りすぎて誰も考えないほど悲観的になったかと思いきや、その実体は飄々と楽しんでいて、穂村ワールドとも云うべき独特のユーモアさがクセになって、その表現さにフムフムと参考にしつつその面白さにニヤニヤと読んでいます。

 いつかの楽しみのためにあえて読んでない本が多いけど、もし全てが読み終わったとしてもまた最初から読み直して、そして自分の土となって栄養になるまで作業を繰り返すと思います。だからこそ集めたことに意味があったと思います。

 しかし、穂村さんの本業(歌人)である短歌には興味ないんだよなぁ…。

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