ぐぁんぐぁん揺れる

ある技術専門校に見学に行った。作業所には人がいなかったけれど機械や工具がたくさん。学生が少ないようで、機械待ちせずに作れるところが唯一良いところと自虐気味に説明してもらった。

別の技術専門校だが、伝統的な家具づくりができる学科の他に、「時代のニーズにあわせて」フラッシュ構造も学べるという説明書きの学科がある。時代のニーズがどういう意味が分からなかったのだが。

今日実際にフラッシュ(紙の芯に木の模様のシートを貼ったもの)を触り、それで作られた家具を持ち上げてみた。無垢の家具と違い、とても軽い。我が家にあるIKEAの机もこれだと思う。叩いたらペシペシいうタイプの薄い板で出来た家具。

説明してくれた方曰く、家具づくりを志す人は無垢材を使ったものを作りたいと言うが、年取ったらそういった重い家具は移動させるのも一苦労。一方フラッシュは軽いから、小さい家具なら女性でも持てる。家具の軽量化のために、フラッシュ加工ができる求人も多いそう。


働き方についても話してくれた。

この技術専門校以外にも木工を学べるところはあるが、個人を育てる場所か、産業を育てる場所かで違いがある。今日の学校は組合との繋がりもあり(組合の方による指導クラスもあり)、産業を育てる場。つまり、修了後は会社に入るのが一般的なよう。

個人を育てる学校だと修了後は小さな工房に入ることが多いが、一般的な会社勤めをしていた人が小さな工房に入ると大きな衝撃がある。会社だと半分負担してくれる保険もない。当たり前のように病院に行けるという感覚と全く違う。工房に入ればほぼ自営業として働くことになる。

そのように教えてくださった。

ここで自分に問うたのが、何のために、何がしたくてこの道に進むのか。

生計を立てるためには世の中のニーズがある技術を身につけた方がいい。安心して暮らすなら会社勤めの方がいい。

仮に自分がこの2つの価値観を大切に持っているなら、そもそも木工の訓練校に入らずこれまでの仕事の経験を活かす会社に転職するだろう。

でも、違う。
違う違う、そうじゃない。

と思うのだが。

見学から帰ってきたら、郵便で届いた他府県の訓練校のガイドブックを読んで少し心が重くなった。

旅行でしか一度しか訪れたことのない場所で、一年の半分が冬と言われる土地で、車がないと生活できない、しかも積雪のため4WD推奨。そんな場所で、寮はなし。給料無し。休みは週一。

技術を身につけるぞ!
ものづくりをするぞ!

と思って情報を探すものの、ただ学校に行くのとは訳が違う。実質、移住&修業&就活がセットで来る。ビッグマックダブルかよ。

家探しから冷蔵庫などの家電製品から布団や日用品揃えて。買ったことない車も用意して。訓練では全く知らないことをゼロからやって。もちろん家事もやって。

無事に訓練期間が終わりに近づいても、その先の選択肢をどうするか。就活(もしくは独立準備)のはじまり。少なくとも自分の年代が変わるまで、家に戻って来れないだろう。

なんて大きな決断なんだろう。
家族にどう説明するんだ。
体力的にやっていけるのか。
技術的にやっていけるのか。
独立するとして資金どうするんだ。
(あと、ペーパードライバーでゴールド免許なのに雪国で運転なんてガクブルすぎる)

そんな考えが重くのしかかる。

来週見学に行く技術専門校は、スーパーもないような山奥だけど、訓練場所のすぐ近くに寮があり平日は三食つき。先生も優しいらしく評判がいいらしい。伝統的な技術も体験できるし、ものづくりを楽しむこともできそう。

家探し、車購入という気が重いものを背負わなくて済むのが大きい。しかも訓練期間はたった1年。

でも年齢的に、焦る。即戦力になれる実力体力作らないといけない。楽しい学校、寮生活。自分がそこにいるイメージ湧かない。

どの学校でも、結局は本人次第なんだろうと思う。答えはでない。

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