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ふつうの1日(歯が抜けた編)

我が家には、小学校2年生の男女の双子がいる。

夕食中、息子が席を立った。

なかなか戻ってこないので、様子を見に行くと、洗面所で鏡を見ていた。

何度もうがいもしている。

「どうしたの?」声をかけると、息子は「ごめん、今日はもう夜ご飯食べれないかも。血が止まらない」と言った。

よく見ると、下の歯が抜けそうだった。
今日は息子のリクエストで、大好物の回鍋肉だというのに、残念なことだ。

私も息子ぐらいのとき、歯が抜けそうで、鏡の前でグラグラ揺れる歯を見つめ泣いていたことがある。いっそ単に抜けてくれればいいものの、簡単には抜けなかった。

そんな私に母は「糸をくくりつけて引っ張ったら?」と言ってきた。恐怖でしかなかったので、また泣いた。

だから私は息子にそんなことは言わないでおこう。

そう思って、そうっとしておくことにした。

「回鍋肉楽しみにしてたのにね、歯って抜けちゃえば食べれるのにね」

そう言うと、突然息子は「よし、俺の必殺技を見せてやる」と言い出し、部屋に戻っていった。

はて、どうするつもりなのか。

よく見ると、手にはティッシュを1枚。

そしておもむろに口に手を当てると、いとも簡単に「ヨシ!抜けた!」と小さい乳歯を掲げてみせた。そしてティッシュにくるんで、これ捨てないでよ!と洗面所にうがいをしにいった。

その一連の行動と手際の良さにびっくりしてしまった。ベテランか…(笑)

乳歯が抜けるのは、息子にとっておそらく5本目のこと。慣れてきたとは言え、数分前まであんなにも泣きそうな顔で鏡を見ていたというのに。

歯が抜けたという身体的な成長もさながら、自分から歯を抜いた息子の精神的な成長を垣間見た瞬間だった。

なにはともあれ、美味しく回鍋肉を食べてくれてよかった。

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コノビーさんで双子育児について書いています。
もう我が家の双子は、乳歯が抜ける年齢になりましたが、双子が小さい頃の授乳の思い出を記事にしました。


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