サンダーランドから若手選手がマグパイズへ流出? 地元のライバルが抱える闇
1月のマーケットが幕を開け、ニューカッスルは1人の若手選手の獲得を発表した。彼の名は“ジェイ・ターナー=クーク”。17才の攻撃的ミッドフィールダーで、前所属クラブではU23チームにも帯同していた逸材だ。
この選手がもともと所属していたのは地元のライバルであるサンダーランド。サンダーランドからニューカッスル、そしてその逆もまた「禁断の移籍」などと評されることが多い訳だが、ターナー=クークの場合は少しばかり事情が異なる。
ターナー=クークの父であるジョン・クークは、25年に渡ってサンダーランドのホペイロを務めていた人物。1979年に同クラブで選手生活をスタートさせ、複数のチームを渡り歩いて引退後はキットマンとして再びブラックキャッツの一員となった(写真 右端)
そんな父親のコネクションもありスタジアム・オブ・ライトでプレーするようになったターナー=クークだったが、昨年8月に転機が訪れる。父ジョンがクラブより解雇を言い渡されたのだ。
25年以上クラブに従事してきたホペイロを解雇、というだけで聞こえの良いものではないが、何よりまずかったのはクラブがそれを公式にアナウンスしなかったこと。多くのサポーターがこれに不快感を示すと、元監督やOBらがSNSで彼の功績を讃える文章を投稿するなど次第に事は大きくなり、クラウドファンディングでジョンへの寄付を募る者まで現れたのだ。そして当事者の息子であるターナー=クークも当然、チームの対応には不満を感じていたに違いない。
彼は12月、Twitterに胸の内を綴っている。
「(選手時代も含め)35年もクラブに身を置いて、解雇から2ヶ月経った今も何ひとつクラブからは発表はない。卑怯者。品格がない。誠実さもない。リスペクトもない。サンダーランドAFC、お前らのことだ」
後にこの投稿は削除されているが、ツイートはすでに多くの人の目に留まっており、スクリーンショットも出回って拡散された。そしてそれ以降、同選手がピッチに姿を表すことはなかったのである。
こうしてブラックキャッツとの契約を解除したターナー=クークは、晴れてマグパイズの一員となった。
「ニューカッスル・ユナイテッドとプロ契約を結べたことを誇りに思う。過去7年在籍したサンダーランドAFCのスタッフと選手たちには、感謝を伝えたい」
マグパイズ・サポーターは日々、経営陣の杜撰な管理やお金の使い道などが報じられるたび、不愉快な思いをしているだろう。しかし、かつての宿敵サンダーランドが3部からなかなか抜け出せず、このニュースのように経営面でも醜態を晒している惨状を見てみれば、我々の置かれている立場が少しはマシに見えるのではないだろうか。私たちが愛したタイン・ウェア・ダービーが再び実現するのは、まだまだ先のことになりそうである。