見出し画像

実際の濃厚接触者の定義とは?

4週間ぶりに受診した患者さん。
少し痩せているので体調を確認すると「コロナで先日までホテル隔離されていました」と。詳しく話を聞くと前回診察した日の夕方から熱が出たとのこと。
前回診察時にはそれなりに時間をかけて診察した記憶もあったので、「自分は濃厚接触なんじゃ?」と一瞬考えてしましまいましたが
筆者にも病院にも保健所から連絡はなかったので、濃厚接触では無いと判断されているようです。

今回は「濃厚接触の定義」について改めて考え、書いてみたいと思います。筆者の意見が正しいかどうかは分かりません。ただ、「こんな事象が起きました。そしてそれを受けて自分はこう考えました」という記録です。今回は無料です。もしも気に入ってくれた方がいらっしゃいましたら他の記事も是非購入してください。
本来全て無料で公開すべきですが、コロナに振り回されている人が周りにあまりにも多く、彼等を少しでも援助したいという気持ちから有料にしています。(売り上げは勿論全て援助に回ります)

感染経路と濃厚接触かどうかの判断

患者さんは飲食が発生する環境で専門職として働いていたようです。「怖い」という気持ちはあったものの仕事に穴を開けるわけにはいかず、マスクはしっかりしていたようです。
熱が出るまでの期間・生活リズムから考えてそこしか無いだろうとのことでした。さて、筆者は患者さんが発熱する当日に診察室で問診・触診含め20分程話し込んでいます。診察室には窓は無く、換気もどこまでされているのかは不明(いや、不安)です。
自分の感覚としては「ガッツリ濃厚接触」ですが、保健所から連絡はなかったので「濃厚接触者とは認められ無い」わけです。マジかー。。。

「濃厚接触」は保健所が判断

この記事を書くにあたり、改めて濃厚接触者の定義をネットで検索しました。
厚生労働省のホームページに答えがありましたが(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q3-3
要約すると
『感染者と予防策を講じずに触れ合った、もしくは(対面で)1m程度の距離に15分以上いた』が原則ですが、最終的には保健所が判断しますよ
になるでしょう。この要約を書いているサイトは数多くありますが、最後の「保健所が判断」を書いているサイトはほとんどありませんでした。
ちょうど先日「ジム内でPCR陽性者が出た際の保健所の対応」を見聞きしたのですが、保健所の判断基準は
①換気されていたのか
②マスク着けていたのか 
        の2点に集約されていました。
詳しくは「コロナ発生時の保健所の対応(何故飲食店だけに補償がされるのか)」をご参照ください(^^)

保健所の判断

筆者が見聞きした保健所の対応から今回の接触を考えると、診察室では
①換気:エアコンは回っていたが、換気の程度は不明(遠くの方で窓は空いていた)で
②マスク:筆者と患者さんの両方がサージカルマスクを着けていた
です。
濃厚接触者と認定されるためには①と②の両方を満たす?(換気されず、お互いがマスクしていない)必要があるので、保健所的には筆者は濃厚接触者にはならないのでしょう。実際に発症もしていないし、おそらく感染もしていません。(患者さんと接触後数日してから別の仕事の都合でPCR検査を受ける機会がありましたが陰性でした。もちろん陰性だから安心とは限らないのは理解しています)
ちなみに会社やジムで濃厚接触かどうかを判断するのはマスク有無のみが着目され、種類は特に問題ではないようです。
最近は日本でもようやくマスクの種類にも注目が集まりつつありますが、ドイツでは公共交通機関などでの高機能医療用マスクの着用を義務付ける、と言う記事が出ていました。変異株が増えてくると高機能マスクも当たり前になるのかもしれません。



医療従事者向けの濃厚接触リスク分類というものが存在しますが、「マスク」とは「サージカルマスク」と「さらに高機能のマスク」のみを指します。医療機関での濃厚接触は「サージカルマスクの有無」と考えてよさそうです。
→日本でもそのうち「サージカルマスク以上のマスクかそれ以外か」で濃厚接触者かどうかが変わって来るかもしれません。

誰もが濃厚接触者になるリスクがある?

現在多くのホームページやSNSで「誰もが感染者・濃厚接触者になり得る」と言われていますが、実際のところ濃厚接触者と認定されるハードルは上がっているのかもしれません。
いたずらに検査件数を増やしたく無い?増やせない?国や自治体の意向が見え隠れする気もしますが、これだけ濃厚接触者を限定して(できるだけPCR検査を受けるのが有症状者のみにして)も毎日都会では沢山の感染者が出ているのが現状です。とにかく『換気とマスク(と手洗い←今回は割愛)』に尽きるのだと思います。こうやって書いていると、毎日濃厚接触者を割り出し、自宅療養者への電話連絡も欠かさない保健所の方々の努力と自己犠牲が身に沁みます。日々感謝しかありません。ありがとうございます。

換気ができない場合には?

地下や高層階等どうしても換気出来ない環境もあるでしょう。換気に関して厚労省のホームページを見ていると空気清浄機に関する記載がありました。
おそらく感覚的に「良さそう」や「何もしないよりは良い筈」と使っている医療機関もあるかと思いますが、HEPAフィルタを備えた空気清浄機が限定的ではあるものの有効であることが明記されています。(4ページ目)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000640920.pdf
「新型コロナ疑い患者を受け入れる救急・周産期・小児医療機関への支援」としてHEPAフィルタ付き空気清浄機の購入を支援することもしています。
https://www.mhlw.go.jp/content/000648022.pdf
全てを鵜呑みにするのもダメかもしれませんが、エビデンスがないことは記載しないでしょうから、密が疑われる所に空気清浄機を置くと良いのでしょう。

まとめ

A:自分が入院した病院でのコロナ対策の徹底ぷり


B:嘱託医をしているジムでコロナ陽性者が出たときの保健所の対応


C:時間かけて診た患者が感染者だったが筆者が濃厚接触者認定されなかった
ことを踏まえ、ネット検索して得られた情報(の中でエビデンスレベルが高そうなもの)から今回の文章を作ってみました。
ここまで読んでくれた方にとって有益な情報が入っていることを願っています。ありがとうございました。

追記(医療機関を受診したときに見るべきポイント)

ここまで書いてきて、医療機関を受診したときに見るべきポイントも明確になってきたことに気が付きました。最早体温測定は常識範疇ですが
換気してあるかがわかりやすいか。
換気悪そうな地下やビル内のテナント物件であれば空気清浄機が設置されているか。
②スタッフが全員不織布マスクを付けているかどうか
をみる事でエビデンス的にも心情的にも通院しやすくなると思います。
今回は書くタイミングがなかったので省略していましたが、アルコール消毒・手洗いをどの程度頻回にやっているのかも簡単にチェックできると思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?