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スーパーヒーロー戦記を観て…感想・レビュー


[意味とはあるのではなく自分で見出すもの]


7月22日に公開となりましたスーパーヒーロー戦記を観てきました。

全体として大人から子供まで楽しめるお祭り的な要素もありながら、ポスターにもある通り、石ノ森章太郎がヒーロー達と観ている私たちに託した願いが込められていました。長きに渡って石ノ森章太郎のヒーローを観てきた私には感慨深く、感動して涙が溢れました。


それでは以下ネタバレを含みます。

時系列、細かい部分やセリフの不一致などあります。一度しか観ていないのでご了承ください。


序盤

まずは仮面ライダーセイバーの世界から始まり

[アガスティアベースに封印されている仮面ライダーシリーズとスーパー戦隊シリーズの本(禁書)というものがあり、それを守護していた者(アスモデウス)が反乱を起こし、その封印を解いたことで現実と物語の境界が曖昧になる。さまざまな世界へ解き放たれてしまった禁書を開くと、吸い込まれてその本の世界線に飛ばされてしまうのであった。仮面ライダーセイバーと機界戦隊ゼンカイジャーの世界にお互いが飛ばされてしまい、ゼンカイジャーの世界に飛ばされた飛羽真たちは戦闘中にヒーローたちの絵を描いていた少年・章太郎と出会う…]という感じで物語は進みます。

仮面ライダービルドやジオウで、平行世界(パラレルワールド)の存在や時空間の移動が出てきているので、こういった設定にはそんなに抵抗なく入ることができるのかと。そしてセイバーでも本という様々な[物語]として…それぞれを独立させることができる。

機界戦隊ゼンカイジャーのほうでも、過去に歴代のスーパーヒーロー戦隊がいたということはセッちゃんが説明しているので問題ないですね!公開前のテレビ特別版で事前に2つとも交わってもいるので、今回のスーパーヒーロー戦記に向けての下準備はバッチリというわけです。

そして今回の敵、アスモデウスと戦隊メギドとライダーワルド。なんといってもこの造形美と言いますか…禍々しさもありつつ、どう見ても戦闘に不向きなアンバランスさ。すごく魅力的ですよね。

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その後さらに物語の世界に飛ばされ

西遊記の世界に倫太郎・介人・ガオーン・マジーヌ・ブルーン・セッちゃん →   物語の中でオーマジオウ、電王のイマジンたち、常磐ソウゴ(なんか見る度に貫禄すごくなってるんじゃないかver.)と出会う。

八犬伝の世界に飛羽真・芽依・ユーリ・ジュラン・章太郎 →    物語の中でキュウレンジャーよりラプター283(ワシピンク)とショウ・ロンポー(リュウコマンダー)、シンケンジャーより谷千明(シンケングリーン)、キラメイジャーより押切時雨(キラメイブルー)、デカレンジャーよりドギー・クルーガー(デカマスター)、飛電或人(さらにボケかさ増しver.)と出会う。

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このボケとツッコミをちゃんと振り分けた感じね笑

そしてみてもわかる通り…なぜこのメンバーなのかは、やはり撮影におけるコロナの感染対策。スーツアクターさんが多いね!だからこそできる或人の全身全霊の喉潰れるくらい大声のボケができるし、グランドジオウを出すことで多くのライダーを登場させ、感染予防しながら戦闘シーンに幅をだすことができる。


中盤は大人向けのシーンでしたね

鈴木福くん演じる、石ノ森章太郎先生の幼少期。

ゴレンジャーと仮面ライダー…ヒーローを描くにあたっての葛藤。幼少期の石ノ森章太郎先生はヒーローを描くのに人が待つ悪の部分を受け入れることができなかったんですね。

そこで飛羽真が言うんです。

善と悪…どちらもあるのが人間だと。

ヒーローを描くということは、人間を描くこと。

そして、善とは、正義とは、ヒーローとはなにか。

善だけ、正義の部分だけで…ヒーローにはなれないんですよ。だって、なにをもって悪とするのかを知らないわけですから。人の心にある闇・悪を知ることではじめて善・正義とはなにかを知ることができるんです。これは我々の一般生活においてもそうです。自らの正義で相手を批判・誹謗中傷する前に、相手のその闇・悪を知ろうとしなければただのエゴになります。

シリーズにおいても、キラメイシルバーが闇落ちしたり、クウガのアルティメットフォーム、ビルドのハザードトリガーやゼロワンのアークなど、主人公が闇・悪の力に支配される描写が徐々に示唆されてきました。でもいずれも苦悩の末、本当の正義・真の力を手にしています。

子供に教えたい学びのひとつですね。


終盤

見事復活するヒーローたち。

さぁいよいよお祭り騒ぎがくるぞ〜っていうこの感じ最高です。

歴代のスーパー戦隊のレッドたちと仮面ライダーたち。ほんとにね、観るだけで感慨深いですよね。

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アスモデウスが言います。

「お前らは使い回しの終わったコンテンツでなんの意味もないッッッ」と。

しかし介人がすかさず言います。

「意味あるよ!なかったらこんなに続くわけないじゃんっ!」と、後ろにずらっと並ぶヒーロー達を見ながら言います。

最高ですよね。

というか、最近はこういうメタ的発言がほんとに多くなりましたね!作品の中だけじゃなく、「作品」と「我々の現実」の境界もなくなっています。

というかアスモデウス…そもそも…

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いままでのシリーズにおいて一度も悪が世界を支配できたことがなく敗戦続きなのに、そのヒーロー達をひとつの世界にまとめて一掃してやるッて作戦…

いや自分らにとってそれ以上の脅威はないじゃないかッッッッッ

どう考えても無理じゃないかッッッッッッッッッ

え〜それこそ意味がありません。騒がずに、スーパー戦隊は1人ずつ別世界に飛ばして倒し、仮面ライダーはベルトを壊しましょう。

さぁここからお祭りの始まりです。

スローでヒーロー達が一斉に走り出す。

この人数だから、遠目で戦闘シーンをまとめて撮ってロゴをその場所に表示することでパッと見た時に誰がどこにいるのかをわかりやすく、その後に一言決め台詞とポーズ。映画なのでね!尺が決まってますから、その中でこの人数をいかにして魅せるかってことですよね。

敵も含めたら、いったい何人のスーツアクターさんがいるんでしょうか…。中には新人さんとかもいたりするんでしょうか…。こんな素敵な作品に関われて幸せですね。「おれここのこのシーンでキラメイレッドと闘ってたんだぜっ!」みたいな。

下っぱ達を倒し終わるとアスモデウスの登場。

驚異的な力でヒーロー達を一掃するシーン。ここでのこだわりはやはり、生の爆破ですよね。前に林修先生のヒーロー特番でも言っていましたが、CGでは出せない生の爆破の魅力…しっかりと伝わりますね!スーツアクターさんたちには実際にどれほどの熱風と爆破音がくるのか…聞いてみたいです。

そして急に別次元からの登場。

次の仮面ライダー、リバイスが登場。さらっとちょちょいと敵を倒して去っていきました。仮面ライダーリバイスについては別記事で考察しますのでここでは控えます。

倒したかに思えたアスモデウスだったが、ここで巨大なドラゴンに変身。火を吹き、驚異的な力を見せる。さらに敵陣も空から巨大な魔物たちが出現。

相手が巨大になったらもう流れはわかりますね!

歴代スーパー戦隊の合体ロボたちの出番です。

空中戦でガッチャンガッチャン。

最高ですね。

ライダー達もロボに乗り、空中から斬撃チームとライダーキックチームに分かれて最後の攻撃。ロボ達もそれに合わせて必殺技を繰り出す。ゼンカイジャーはライドブック[スーパーヒーロー戦記]になり、ゼンカイジャーカラーのセイバーに変身。

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見事、アスモデウスを見事破るのであった。


引き際のヒーロー勢揃いシーンはなく、倒したと同時に禁書としてアスガディアベースへと戻りました。

しかし…仮面ライダー1号が、幼少期の石ノ森章太郎先生のもとへ「先生ッ」と言いながら駆け寄ります。

変身を解き…そこにいたのは本郷 猛演じる藤岡弘、の姿が。

「先生…もう2度と…会えないと思ってました…」

このへんから涙が自然と出てきまして…

鼻水をすする音がチラチラと聞こえてきました。

本当にね、藤岡弘、さんが感慨深い…すごくい〜い表情をしてるんですよ。こっちも自然と感慨深くなり、涙が溢れるんですね。

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石ノ森章太郎と本郷猛の会話…

そして本郷猛から現代のヒーローたちへ…

ここでのセリフが本当に…心に染みる。

石ノ森章太郎先生も、そして本郷猛もバイクにまたがり、自分の物語の世界へと帰っていった。

おれたちも自分たちの世界に帰ろうとここで完結。

エンドロールで歴代ヒーローたちの写真が映り、長き歴史を感じることができる。

といった感じでスーパーヒーロー戦記。

大人から子供まで楽しめる作品なのはもちろん、石ノ森章太郎先生へのリスペクトと感謝に溢れる素晴らしい作品でした。

今回の敵であるアスモデウスは、ユダヤ教やキリスト教にでてくる悪魔の名前ですね。地獄の龍に跨って…という描写もあるので、ドラゴンに変身したのもこのへんからきてるのかなと。

そして次回作、仮面ライダーリバイスのテーマが自分の中にある闇・悪魔と契約する。1人で2人の仮面ライダーということで。善と悪、悪魔など、今回の作品のさまざまな部分がそこに繋げる伏線だったのかなと思います。

何度も観て、自分の好きなヒーローの戦闘シーンに注目してみても楽しめますね!

鈴木福くんは、ずっと仮面ライダーになりたいと発言し続けていたのに、オファーされたと思ったらまさかの仮面ライダーの原作者の役というね。いつか願いが叶うといいな。

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物語の結末は…俺が決める

いい言葉ですよね。

ぜひ劇場でご覧ください。

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