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WASH OUT!! TALK LIVE vol.3

WASH OUT!! PROJECTではハンドジェルの販売利益のうち、1本につき100円を困難な状況にある途上国、及び日本の若者に寄付をします。
その寄付先を決めるために毎週、途上国の活動家や日本の子供たちの貧困等に詳しい専門家をお呼びして「WASH OUT!! TALK LIVE」を開催しています!

第3回目はインドネシアを中心に東南アジア、太平洋諸国の起業家支援事業を行っているEARTH COMPANYの濱川知宏さんにお越しいただき、インドネシア、特にバリ島と支援先の活動家が活躍するフィールドのコロナによる変化のお話を伺いました。

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EARTH COMPANY HP: https://www.earthcompany.info/ja/

今回もTALK LIVEの中で印象に残ったお話を書いていこうと思います。

1)インドネシアの状況は日本に似ている
まず、このコロナの感染状況について、インドネシアの状況は日本の状況に似ているということでした。初期の段階で感染が拡大したものの、PCR検査にはあまり積極的ではなく、感染者数もそこから大きく増えず、死者数もあまり出ていないという部分と政府の対策が後手後手に回っているという部分が似ているとのことでした。
死者数が少ないことに関しては、様々な憶測が飛び交っていますが、日光浴の習慣や神のご加護があるといった理由がよく噂されているようです。
また、政治的な部分ではインドネシアの場合、連邦政府よりも州政府の方が力を持っているため、全体で統一した動きを取るということが難しくなっているためのようです。

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(日経新聞より引用: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58219710X10C20A4NNE000/)
このコロナ禍での状態で、特徴的だったのがEARTH COMPANYが拠点を置く、バリ島では情報の混乱が起きていないということでした。バングラデシュは情報格差による格差が生まれてしまっているという話でしたが、バリ島ではほとんどの人がWhat's app(LINEのようなコミュニケーションアプリ)を通しての情報を得ており、その情報と政府からくる情報に食い違いがなく、また村単位のコミュニティーでの情報共有も活発なため、情報による目立った混乱は起きていないということでした。
政府からの支援というものは基本的にないということでしたが、その中でも食糧配給のNPOや各村単位のコミュニティーが支えあって暮らしているため、このコロナによる打撃というものは他の国に比べて少ないようです。

2)観光業は大打撃
ほとんどの人が自分の生活はなんとか守っていける状況ではありますが、経済的には大打撃を受けています。その中心がバリ島の主要産業でもある観光業です。人気の旅行先であるバリ島は8割が観光業で成り立っており、このコロナの影響で観光客は激減し、ほぼ壊滅状態になってしまう可能性もあるとのことでした。
以前にも噴火やテロによって観光客が激減した時期はありましたが、3-6か月ほどで客足が戻ってきており、今回のコロナはそれを超えるような大打撃になる可能性が高いです。

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(EARTH COMPANYのエコホテル「Mana Earthly Paradise」)
そもそも、観光業は行政をはじめホテル、飲食、小売、旅行会社、清掃業等、様々な幅広い人たちが関わって成り立っている産業です。そのため、多くの人の雇用を生み出せる産業である一方で、ひとたび打撃を受けると多くの人にその影響が伝播してしまう産業でもあります。
今回もまさにその通りで多くの出稼ぎに来ていた従業員が失業しており、地方に帰る流れが生まれています。しかし、この移動にはお金が必要なため、お金に困った人々が窃盗などの犯罪に手を染めて、治安悪化につながる可能性もあるとお話いただきました。

3)本当の緊急事態の地域の存在
EARTH COMPANYは毎年インパクト・ヒーローとして東南アジア・太平洋地域で活動する事業家を1人選出し、そこに支援をするという事業を行っています。その中で、過去インパクト・ヒーローに選出された事業家の活動地域である東ティモールとロヒンギャ難民キャンプは本当の緊急事態の状態にあるというお話をしていただきました。
特に東ティモール(2002年に独立したアジアの最貧国の1つです。インドネシアの東端に位置します。)はフライトが全て閉ざされ鎖国状態である上に、ロックダウン状態にあり、非常に苦しい状況でした。この状況に追い打ちをかけるように、洪水が発生し、国として本当の意味での緊急事態が続いているとのことでした。

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(Peace Winds Japanより引用: https://peace-winds.org/activity/timor_leste/17532)
こちらから東ティモールに向けての寄付も出来ます。

このように、コロナの状況による影響はもちろんのことですが、それ以前から苦しい生活を送っている人々にとっては明日の生死もわからないような状態が続いています。
このような社会的弱者の人々は最もこのような危機の影響を受けやすい人々であり、コロナ以前から持続可能性の問題やSDGs課題への取り組みということが叫ばれていましたが、改善することが出来てこなかった結果が今の状態です。
このような地域での活動団体は以前からずっとこのことに警鐘を鳴らし続けていましたが、一向に世界は動かず、皮肉なことに今回のコロナのように先進国に住む自分たちの命に災いが降りかかってきた途端に、多くの人がその重要性を唱えるということが起きています。
このコロナをきっかけに気候変動の問題や持続可能性の問題という、コロナよりもはるかに規模が大きく、私たち人間の存亡にかかわるような問題に目を向けてくれる人が増えることを期待したいと最後に濱川さんは語ってくださいました。

今回の紹介は以上になります。個人的には、最後の濱川さんのメッセージに非常に心を動かされました。結局私たちはこの問題の被害者になるまで、事態の深刻さに気付けないのかとやるせない気持ちにもなりました。このコロナをきっかけに多くの人々の意識が変わり、行動が変わっていくような社会になっていくことを願っていますし、私たちvery50としてもそのような働きかけをしていきたいと感じました。


文責:杉谷

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