なにがブリリアントや

ある賞の公募に応募して、その為に11月までに書いた詩なるものを幾つか読み直していた。応募数に制限はないのだけども、読み直していくうちに応募するに値するように思われる作品はたったの数点で、その数点の作品なるものの中でも一つはなんだか読み手の同情を誘うようないやらしいものだし、それ以外のも鵜の真似をする烏というか、形式だけに拘った付け焼き刃の突貫工事、作品を成り立たせる主軸のこれ心許ない気色甚だしく、不細工であった。要するに僕は自身の作品に対する自信が無い。いいものな筈なんです、少なくとも嘘偽りなく、本当に、精神を削って書いたものなんです。何か書く時はいつも、よし!こんなものを書いてやろう!と言う発奮の気持ちから取り込むのでなくて、本当にふと、書かなければならない物の一部が転がり込んできて、こちらは気落ちしている時でも、気分の心地よい時でも、否応なく、筆を進めて、貰った欠片をヒントに何時間もかけて、そうして大体が出来ています。それは僕にとって大変なことであるし、恐らく好きでやっていることではなくて、存在意義の為に従事しなければならない課題なものであり、なんだか嘘くさくなりました。トンチキ。ポンコツたぬきの嘘寝だ。ポンポンポコポコポンポコポン。書き始めたのは短編小説を書きたくて始めた気がするけども、いや今思えば本当に実は、自分が懶惰でウドであることへの罪悪感を払拭したくて書き始めたたんだ。なんにもなりゃせんのに。こういうのも良くない、これを読んで誰が喜ぶん。はいはい、わかりました。それでは今から嘘をかきます。ブリリアント・スフィアという小貴族が昔ブリタニア地方のある場所に住んでいた。ブリリアントはただ親の残した土地と莫大な財産に助けられ、おまけにローマ帝国の建国とその発展の華やかなであった過去に与って、地元の市民よりは大分裕福ない暮らしを出来ていた男であった。その放埒と贅沢はその当時彼の統めていた土地の市民の目にも余るものがあり、彼らから好感を持たれるという経験を彼はしたことが無かった。加えて彼は天性の阿呆漢であったから、お金は湯銭が如くわいてくるものだと思っていることもあり、ローマ帝国の拡大がその限界値を迎えようとしていた年の冬、税収の増加、例年からは考えられない程の冬季の猛威を真正面から受けて、年明けて春、丁度彼の庭に育ったセルバチコが水々しく青々と育った時期に、文字通り無一文となった。
元々市民からも嫌われていた彼が、この衰退期の真っ只中、誰かに救われる訳もなく、意気消沈、明日の飯すらどうしようかと考えていると、物凄い腹痛が彼を襲った。けれども彼は、これを出すわけにはいかないと思った。腹のものが全て無くなっては、腹が減るからである。彼の立派な家には全くと言っていいほどに食料がない、ジャガイモもニンジンも、去年市民から税の代わりと言って取り上げた大男2人がかりでやっとこさ持ち上げられるほど大きい干し肉の塊も、ブリリアントは馬鹿で且つ楽天家であったから一年で殆どなくなり、昨日の晩、最後の残りはビーフシチューにして食べてしまったのである。けれども彼には堪え性はなかった。庭の溜池小屋の目の前でうろちょろしているうちに、ブリリリィィアントッという形で漏らしてしまったのである。彼は流石に高級のシルクで編まれた彼の純白のパンツが汚れてしまったことには流石に落ち込んだ。臀部を恐る恐る触って確かめた。濡れていない。シミもない。純白のままで有る。代わりに彼のパンツの上に硬い鉱石のようななにかが乗っている。取り出してみると、眩いほどに光るダイヤモンドであった。やった!お金持ちに戻れる!やったー!!これがかの有名なブリリアント侯の物語である。
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