「それってあなたの感想ですよね」を写像から考える。「野菜は美味しいから食べる」を例にして

それってあなたの感想ですよねとは、西村ひろゆき氏が2015/06/22(月)のテレビ番組内で発した言葉である。それからある種のインターネットミーム的な使われ方をされてきていたが、近年、どうやらインターネットの普及と共に小学生間でこの言葉がトレンディングになっているようである。本文は、私の激浅集合論の知識を用いて、「それってあなたの感想ですよね」に対する反論を試みるものである。

1:ひろゆき主張と感想の定義

まず、ひろゆき写像$${f}$$(主張→主張)を導入する。
ここで、
・主張とは真偽に加えて、真でも偽でもないステータスを持つものである。
・全ての主張の集合は全ての命題の集合を含む
すなわち、命題も主張の一種である。
ひろゆき写像$${f}$$を以下のように定義する。
・ある主張$${x}$$に対して、$${xってあなたの感想ですよね}$$
を返す。
・この返された主張$${f(x)}$$をひろゆき主張という
例えば、「野菜は美味しいから食べる」という主張に対して、ひろゆき写像は「野菜は美味しいから食べるってあなたの感想ですよね」というひろゆき主張を返す。
この野菜に対する主張をホリエモン主張(H)としよう。
$${f(f(H))=野菜は美味しいから食べるってあなたの感想ですよねってあなたの感想ですよね}$$
である。

余談として、ひろゆき写像は単射なのかという問題が考えられる。

ここで、ひろゆき主張$${f(x)}$$の真偽を考えてみよう。どのような場合であればひろゆき主張は偽であると言えるのかについて、以下のような定義を付け加える。

・主張xは感想ではないということは、真偽が判定できるということである。真偽が判定できる主張に対して感想であるということはできない。
・対偶より、真偽が判定できない場合、主張xは感想である。

例えば、「1+1=2って、あなたの感想ですよね」という主張は偽である。「ホリエモンは短気でキレやすいって、あなたの感想ですよね」という主張は真である。(短気である、キレやすいということの厳密な定義が存在しないため真偽が判定できない)

xが主張ではなく、命題である場合を考える。
すると、ひろゆき主張は真偽があるものに対する主張ということになる。この時、上の定義より、それは感想ではないのでひろゆき命題f(x)は偽。

もっと一般的に書くと、
ひろゆき主張$${f(x)}$$は以下の条件の時に偽である。命題$${x}$$がある公理の下で真偽値を持つ
ということになる。

この対偶は、

命題$${x}$$が任意の公理の下で真偽を判定できないのであれば、ひろゆき主張$${f(x)}$$は真である。

ある命題が感想であるとは、その命題は任意の公理の下で真偽を判定できないということである。(注意してほしいのは、命題というのは、その言葉の定義上、普通は必ず真偽値を持つ。したがって任意の公理系で真偽を判定できない命題というのは普通は考えられない)

2.小学生に対する反論

〜ってあなたの感想ですよね、という小学生をいさめるにはどうすればいいのか?(結論)

公理には妥当な公理と妥当でない公理というものが存在する
例えば、「焼肉は食べ物である」「食べ物はちんちんである」という二つが成り立つような公理系を定めても問題ないが、「食べ物はちんちんである」「焼肉は食べ物である」が真であるような公理系では
「焼肉=ちんちん」
となる。しかし、焼肉が現実的にちんちんであるとは考えにくい。
したがってこの、公理系は役に立たない。
意味のある(役に立つ)公理系(前提条件)の下でなされた議論は感想であるとは言えない。
ここでいう役に立つとは、現実への応用先があるとか、そう考えるのが自然であるというような意味である。
食べ物はちんちんである
と定めて議論しても、食べ物はちんちんではないと一般的に認識されているので、他人から理解されない。

以上のような議論を国語に変換してまとめると
他人から理解されるような前提条件の下に構築された議論は感想ではない。

ということである。
ひろゆき主張の最初の発端となった2015/06/22(月)放送のテレビ番組内においても、
相手が
「明確な悪意を持ってリスナーを巻き込みながら問題を起こそうとする配信者がいる」
という主張に対して、
この主張は共通的な前提をもとに真偽を判定することが不可能であるとみなせるため、
「それってあなたの感想ですよね?」
がカウンターとして成立したのである。


ホリエモン主張:野菜は美味しいから食べる
について

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