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50歳からのVR CHATワールド・アバター研究開発について

言葉だけが先走っているWeb3・メタバースについて、ハード側は前回書いておいたので、今回はサービス側の現状と何を研究し、何を開発するかについて少しまとめておきます。

代表されるメターバースサービス

VR CHAT

2014年にスタートして、現在も早期アクセス版としてリリースされているサービスです。未だ日々アップデートが続いています。
米国企業のVRChat Inc.が運営しています。
SteamプラットホームとQuest2、Windows10以上に対応。

ワールドと呼ばれるVR空間とアバターの自作アップロードに対応している。

Virtual Cast

2018年に発表された日本のサービス。株式会社バーチャルキャストが運営している。こちらも先行β版と安定版の2つで運用されており、日々アップデートが繰り返されています。

こちらの特徴は、メタバース(VR空間)内からニコニコ生配信・YouTube Liveが可能なことで、サービス名についている「Cast」の文字通り、バーチャルユーチューバーなどの配信と組み合わせやすいサービス。
こちらもSteamプラットホームとQuest2、Windows10以上に対応。

こちらもルームと呼ばれるVR空間とアバターの自作アップロードに対応している。

Cluster

こちらも日本のサービス。クラスター株式会社が運営。
2017年に開始して、主にVRイベントスペースとして使われています。
こちらも自作ワールドとアバターのアップロードが可能ですが、法人でのワールド制作は規約でNGとされています。

この他にも、NFTやブロックチェーンと組み合わされたメタバースサービスが存在しますが、まずは上記3つを抑えておけば大丈夫かと思います。

こちらは、Windows・Mac・Android・iPhone・Quest2で使えます。

…こうしてみるとMETAのプラットホームは方向性が違うような…。

2022年現在、フォーマットの標準化はされていません

アバターデータの標準化について

上記に上げたそれぞれのサービスですが、自分のアバターでそのままで行き来できるわけではありません

それぞれのサービスに自分のアバターを、そのサービスごとに最適化してアップロードする必要があります。
すなわち、アバターの外観は同じでも、アバターの持つ機能(アクションやモーションなど)はそれぞれのサービスで異なることになります。

アバターモデル3Dファイルフォーマットについても2022年の夏現在では世界標準が定まっていない状況であるものの、VRM形式に収束していく動きは感じられます。

VR空間を構成するワールドデータの標準化について

こちらは全く手つかずの状態で、サービスごとにSDK(サービス専用開発キット)が存在しています。そのためVR CHAT用のワールドはVR CHATでしか使えません。

また汎用開発ツールを使った場合、オレオレ・メタバース空間が乱立する可能性が高く、また容易に自分のアバターが持ち込めないオレオレ・メタバース空間制作代行サービスが増加する予感がしています。

このオレオレ・メタバース空間では「持続性がない」ため、マーケティング効果はほぼ無いどころか、メタバースはビジネスに使えないなどという間違った認識を持つ企業が出てくる可能性を憂いています。

はやめに「ブラウザ」に相当するようなエクスペリエンサーが登場することに願いをかけたいものです。(こればかりは他力に頼るしかない)

開発環境について

アバター・ワールドともに標準化されていない現状ではありますが、開発ツール側から見ると、ほぼ集約されてきている印象です。

Blender

アバター・ワールドともに3Dオブジェクトを作成するベースはBlenderに集約されてきています。
もちろんAutodesk製品でも制作は可能ですが、ローポリゴンを主とするメタバース用オブジェクトを制作するノウハウ集はBlenderが圧倒的に多くなっています。

Unity

Blenderではアバターモデル作成の場合、主にスキン・ボーン・シェイプ・アクションまでのデータ制作を担当しますが、メタバースワールド内での振る舞いについてはUnityで細かく設定します。
メタバースワールドも同様で、ワールド・ギミックについてはUnityでの設定が主力となります。
このためワールド間の標準化がなされていない現状下でも、Unityがクッションとなり、ワールドデータのコンバートによってサービスごとに設定を書き直すことで、サービスをまたいだデータの共用化が可能となっています。
アバターに関しても同様で、各サービスが提供しているSDKに従って再設定をすれば、イチから作り直すことよりも手数は少ない状態でコンバートできます。(それなりに手間はかかりますが)

研究開発をするのは「UI/UX」まわり

メタバースはとは、つまり新しいUI/UXのことと考えても間違いはないでしょう。ただしHTMLが標準化されたときよりも、標準化された後のインパクトはより大きいものとなることが予想できます。

このためバーチャル内でのUIのあり方、UXの考え方を見つけ出す必要があります。
場合によっては、製品そのものになる可能性を秘めているバーチャル空間内のオブジェクトの振る舞いは、標準化がなされていない現在でもそれぞれのサービス内で実験は可能です。

現時点では、作っては試す。この繰り返しです。

VRヘッドセットの先行きは見通せませんが、MMO系オンラインゲームの影響で3D空間内コミュニケーションは特殊なことではなくなりました。
またアバターやアイテムなど、3Dオブジェクトを購入することにも抵抗はなくなっていますから、新しい商圏が誕生するのもそう遠い話ではないと考えられます。(現在でもBOOTHでアバターデータ購入は当たり前)

ARとメタバース

少し先(10年後くらい)を見通した時、メタバースとARは融合していると考えています。
現状のウェブブラウザーやデバイスでは実現できない世界ですが、ARグラスとモバイルコンピューティングの考え方を延長していくと、ここにたどり着く可能性はすごく高く感じます。

少し前なら電脳コイルやソードアート・オンラインの世界が想像しやすかったのですが、2022年の夏アニメで、バーチャル空間とAR空間が混在する世界概念についてイメージしやすい作品が配信されています。

作品の中では「ラブ」がお金に変わる価値観として描かれていますが、現実でも同様の動きに「投げ銭トークン」が開発されています。

Web3(ブロックチェーン)との関連について

メタバースの真髄は、Web3と呼ばれるネット空間上の「信用=人格」をビジュアル化させるものと考えたほうが自然です。

Web2と呼ばれる時代、特に掲示板サービスやTwitterでの匿名性や実在性、これらはSNSの問題点とも共通ですが、はたして画面の向こうの人は存在するのか? という問題解決に向けて動き出した流れのひとつでしょう。

このWeb3とメタバースの関連性で混乱している気がしますので、次回はこの部分を掘り下げて整理してみたいと思います。


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