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安楽死をめぐるサブリミナルな効果

本日は「安楽死をめぐるサブリミナルな効果」というテーマでお話ししようと思います。


安楽死というのは、苦痛があるがゆえに、自分で死を選ぶということですよね。

一言で安楽死と言ってもいろいろなタイプのものがあるんですけれども、今回はそれを整理するとともに、自分の意志で言ってるように見せかけて、実は周りに言わされているというパターンを列挙することで、自分の意志だけではなかなか判断できないものということを皆さんと共有したいと思います。

◾️人間に自由意志はない?

精神科医なので、日常の中で人間の自由意志はないよみたいな話をよくしていますね。

うつは甘えじゃないよとか病気だよとか言います。
やらないんじゃなくてできないんだよ、みたいな話をよくしています。

will notとcannotは区別しないんだよとかよく言っていますけれども、どこまで僕らが自由意志があるのか、自由に自分たちで自分たちのことを決められているかは、やはりよくわからないですよね。

どちらかというとあまり決められていないんじゃないかというのが精神科医的な考え方なんですよ。僕らは無意識に支配されていて、ほとんど無意識のうちに決定されている。

意識が関与できるものなんてほとんどないのではないかという風に考えるわけですよね。

一見、自由意志で決めている、自分の意志でそれを選択しているように見えてそうじゃないことが多いというのが、この問題についてもそうなんじゃないかと考えるわけです。

◾️自殺幇助、嘱託殺人、承諾殺人

例えば、殺人に関して言うと、「自殺幇助」という罪があるんですよね。
自殺を援助する人たち自殺幇助罪というのがありますね。
歌舞伎役者の人が捕まっていましたよね。お父さんとお母さんに薬を与えて、自殺幇助罪でした。

あとは「嘱託殺人」ということです。「私を殺してください」と言われて殺すのを嘱託殺人と言って、殺人罪になります。

あとは「承諾殺人」ですね。
あなたを殺してもいいですか? はいわかりました、いいですよと言われて殺すパターンは承諾殺人といって罪になります。

あとは相手の同意を得ずに殺すパターンです。それ殺人罪です。
一言で誰かを殺すと言ってもこれぐらい種類があるよということです。

安楽死についてもいろいろあって、例えば医師による自殺幇助を「MAID」と言うんですけれども、これも安楽死の一種です。

医師が苦しまないように、患者さんに薬や点滴を用意してあげる。
そして苦痛なく自殺が行われる。これはMAIDと言います。
あとは「積極的安楽死」ですね。

自分で薬を飲むことができない、全身の筋肉が落ちていくALSの方とかは、自分の意志で飲めない。

認知症の方とか飲めなかったりする場合、がんの痛みが強すぎるという場合は、医師が介助して亡くなるための薬を投与する。
これは積極的安楽死と言ったりします。

中間には「消極的安楽死」という形で、胃ろうを作るのはしませんとか、延命治療はしませんみたいなものもあります。
DNRと呼ばれてるやつもありますね。

あとは嘱託殺人です。これはないんですけれど、強いて言えば姥捨山とか、切腹も承諾殺人かもしれないですね。

家族のためとか、職場のために自分が罪を背負う。部下のために自分が罪を背負って腹を切ることで、家族や部下は見逃してもらおうとする。

あと殺人だと死刑というのも一つの見方でもあるし、昔ナチスドイツがやっていた虐殺もあるなという感じですね。

自殺幇助と嘱託殺人は同意ありで、殺人は同意なしです。
承諾殺人は「殺してもいいですか?」と聞いてから殺されるんだけれど、いいですよというパターンなんだけど、本当に本人が思っているのか、言わされているんじゃないの?というのが分かれるということです。

この「承諾殺人のような安楽死」はあるんじゃないか、ということがサブリミナルな効果での安楽死の話です。

そもそも「安楽死」というネーミング自体がサブリミナルですよね。
何かすごくフェアな言葉に聞こえるじゃないですか。
「尊厳死」とかもね。

そうと言えばそうかもしれないけど、やっぱりもうちょっと、医師による合法的な自殺幇助とかそういう言い方の方が何かしっくりくるのかなという気もしました。

◾️サブリミナル効果を生むもの

では、どういうものがサブリミナル効果を生むのかということですけれども、例えばメディアでは健康、若さ、成功を謳うんですよね。

こういうものがある人は素晴らしいよ。でもそうじゃないと、素晴らしくないとは言わないけれども、過剰にこれを宣伝することによって、相対的に健康でない人たちとか若くない人たち、成功していない人たちを貶めるような感覚があります。

SNSでずっとこれを見ていると、何か自分が駄目なんじゃないかと思っちゃうわけですよね。あと、孤独とか家族の愛がないとか。

だんだん自分はダメじゃないかと思って、やっぱり死んだ方がいいのかなとか思わされてしまう感じというのがあります。

後は自分で決めるべきだよとか、迷惑をかけちゃいけないよねみたいなコメントだったり、そういうメディアを見ると、なんとなく知らず知らずのうちにこういう選択肢もあるのかなという風に思えてしまう。

あとは老害とか集団自決とか、そういう形でネガティブなことを日々メディアで受けていると、これもサブリミナルの意味でそうなのかなとか、DNRの方がいいのかなとなっちゃう。

自分はそう思わなくても、周りの人がそう思ってくると今度は「看護師さんがそういうから私の家もDNRにしておこうかな」とか、そういう形になっちゃいますよね。

あとはこういう動画を撮ると出てくるのは、自分だったらこれを選びたいとかそういう投稿ですよね。これもやはりプレッシャーを与えるなと思います。

自助会やコメント欄でも「死にたい」という投稿をさせてくれと言う人が多いんですよ。

言えて安心するんだ。そして自分たちが楽になれるんだ。だからやらないから言わせてくれ、という人がいる。

言うことで自分はいいのかもしれないけど、そこにいるもうちょっと調子の悪い人がそういう情報を見続けることで、「ああ、もう死んじゃおうかな」と思うこともあるわけですよね。

エコーチェンバー的な形でだんだんそういう情報が煮詰まってくると、それが日常化してくると、そういう決断を選びやすくなってしまいます。

ウェルテル効果もそうですよね。芸能人の自殺報道を見て、「ああ、こういうのもあるんだ」といって自殺へのハードルが下がってしまうというのもあるので良くないなと思います。

迷惑をかけたくないなとか、自分の意志で自分の人生を終わらせたいというのは表現の自由だからいいじゃないかとか言われそうですけれども、一方でこういう人たちのことが見えていないんじゃないかと僕は思います。

それを言ったら、益田のこの動画だってそうじゃないかとか言われそうですけど、そういうことな気もしました。

この問題というのは色々今まで動画を撮っていく中で、コメント欄を見ていく中で、あまりにも意見というか議論が成熟されていないなと思ったんですね。

成熟させる上でもこういう補助線を今回用意したので、また皆さんに色々と考えてもらえたらいいんじゃないかなと思います。こういうことを考えていく中で、特にサブリミナルな意味ですよね。

社会とか世間とか常識で支配されてしまって、自分のことを傷つけていると思うんですよね、皆さん。

それに気づけるともうちょっと自由になれるし、常識から自由になり、心の健康が良くなる。人格的な成長が起きて、不安や困難を乗り越えやすくなると思うので、ちょっと考えてもらったなと思います。

◾️本日の宿題

知らず知らずのうちに自分を傷つけている、自分のことを無価値だと思わされているような「サブリミナル効果」のあるものについて皆さん答えてみてください。

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