長年のうつを治すたったひとつのシンプルな方法
本日は「長年のうつを治すたったひとつのシンプルな方法」というテーマでお話しします。
心の構造論や治療論の話をしてみます。
◾︎治療とは
まずは、皆さんが治療のゴール、治癒とはどういうものと考えているのかという話からしていきたいと思います。
おそらく多くの人は、何となく漠然と不安やトラウマがなくなるということが治療のゴールだと思っているかもしれないなと思うんです。
他の人は日常の中で天国みたいなところに暮らしていて、自分は地獄みたいなところにいる、と。
治療が済んだら、うまくいったら、他の人と同じように天国みたいな世界に行ける、不安やトラウマがない世界に生きていける、多少はあるかもしれないけど、そんなに多くはない世界に行けると思ってるんじゃないのかな。
もしくはああいう人がいる、悪いやつがいるから、自分は天国的な世界に行けていないんじゃないかと思っているのじゃないかなと思うんですけど、そんなことはなくて、治療とはそういうことじゃないんです。
安全な世界というのはそもそもないので、みんな同じ世界に暮らしてるので、多少その人によって、多少というか人によっては色々な境遇の差はあると言えばあるんですけど、そこはもう考えても仕方がないので、どちらかというと不安やトラウマに支配されないということが大事なんです。
例えばうつ状態の人というのは扁桃体、不安を感じる部分、脳の中の不安を感じる部分や海馬、記憶に関するところの活動性が上がっていて、逆に前頭葉、理性的な部分、前頭葉前野や側頭葉側坐核、報酬系と呼ばれる、やる気が出る部分の活動が落ちてるんです。
fMRI(ファンクショナルMRI)といって、脳がどういう活動をしてるのかを血流で測る機械があるんですけど、MRIという機械があるんですけど、こういうのがわかってるんです。
うつが良くなってくると、扁桃体とか海馬がワーッと上がっていても、前頭葉、側頭葉もちゃんと活動してるんです。
前頭葉と側頭葉の活動が落ちていないんです。
つまり不安やトラウマを思い出していても、でもその分、前頭葉、理性的な部分の活動が落ちるわけでも、やる気が出なくなるわけでもなくて、そこもちゃんと打ち消すように上がってくる状態が起きてるんです。
おそらくここから科学的に考えると、脳の全体の活動性が向上することが大事だ、ネットワークシステムをちゃんと復活させなければいけない、となるんだけれども、臨床的にイメージするのであれば、ここからはちょっと創作の話になりますけど、科学的というよりは創作の部分になるけれども、何か嫌なことあっても、そうだね、言って仕方がない、と切り替える力があることを目指すということになります。
ウワッと思って、嫌だなと思っても仕方ないなと。
仕方ない、と。
感情に支配されず、仕方がないんだ、ちょっとやってみよう、次のことやってみよう、切り替えてやってみようという風に思える、こういう風にできればいいということなんです。
不安を感じなくなるのじゃないんです。
じゃあ仕方がないと思えるようになるにはどうしたらいいのかというと、マインドフルネスみたいな形で練習をする。
練習をしていくと、深呼吸をすると扁桃体の活動が落ちる、つまり、過活動な不安を感じてるところを、自分の呼吸によって活動性を落とすということができるようになるんです。
つまり、ここの扁桃体の活動が上がってる時というのは、心臓の動きもバクバクしてるし、心臓の動きがバクバクする時には呼吸も浅いんです、速くて。
だけど無理やり呼吸をゆっくりにしたら、それに引きずられるように心臓の動きもゆっくりになってきて、扁桃体の活動も落ちるんです。
脳と体は自律神経を介して連動しているので、トレーニングをすればそうなります。
スポーツ選手もよくやってますよね。
PKを蹴る前に深呼吸して集中力を高めたりしてるじゃないですか。
呼吸を整えてますよね。
プレーの合間に、サッカー選手も呼吸をしっかり吐いて入れて、平常心になるようにしてるじゃないですか。
僕らもそうで、やっているんですけどね。
でももっとやって練習していけば、もうちょっとコントロールできるようになるので、やった方がいいよねということです。
あとは、仕方がないと思うようになるためには、これは日本的な価値観でもあるので、諦観、あきらめる気持ち、受容する気持ち、忍耐を表現する美意識なんですけど、そういう意味では仏教や禅を学ぶということもイメージをする、こういう風になっていけばいいんだな、こういう人を目指せばいいんだな、という良いモデルになると思うので、学ぶ価値はあるなと思います。
論理的かつ倫理的に動くということです、前頭葉を働かせるということなので。
その場の感情や世間が感じている常識、バイアス、無意識のバイアスというのが人間にはあるんです。
論理的に考えるとちょっとスピードが遅いんです。
人間というのは動物としてすぐ反応できるようにバイアス込みで判断するんですけど、直感で動くということですけど、でも直感で動くとうまくいかないんです。
早いしだいたい当たってるんだけど、外れることも多いので、論理的かつ倫理的に考える方が、時間があるときや複雑な問題を考えるときはこっちがいいんですけど、直感で動かないということです。
こういうトレーニングをしていくと、仕方がないと思うようになるということです。
多分これが治癒論ということになります。
うつを良くしていくには、こういうことをしていけばいいんです。
◼︎AIっぽく心を捉えてみると
機械学習モデルというか、AIっぽく人間、心を捉えてみると、AI自体がそもそも人間をベースに作ってるので、人間を真似て作ったAIから逆輸入的に人間の心を学ぶという研究もしてるんですけど、これがAIのモデルですね。
データを集めてモデルを作る。
そしてこのモデルをベースに何かを入力して出力する。
出力に対して報酬、ゴールによってこの出力を強化したり弱めたりするということです。
これが機械学習モデルなんですけど、例えば、犬と猫の画像をたくさん見せます。
そういうものを見せる中で、こういうものが犬である、こういうものが猫であるということを機械が学びます。
AIが学んだ時に、プログラミングとして成立した時に、モデルが出来上がった時に、何か写真を見せた時に、この学習済みのモデルを通すと、これは猫である、これは犬であるということがわかります。
顔がアップだと出力の精度は上がるし、小さかったり遠くから写っていると出力の精度が下がります。
それに対して、報酬を与えて、これは違うよと言ったらモデルが修正されるし、でもこういうパターンの猫は犬に間違いやすいけど、実は猫だったみたいなことをやるとモデルが修正されたりします。
入力-出力で完結するのではなくて、こういうゴール設定(出力結果の修正)がとても大事だったりします。
しかも人間の脳はもっと複雑にやっているので。
複雑であればあるほどどうやらいいみたいですね、色々なネットワークがうまく機能して。
だから強化子付きの学習もするんですけどね。
うつの場合、どういうことが起きているのかというと、トラウマやきちんとした科学リテラシーがない、というか不勉強だったりすると認知の歪みが起きます。
認知の歪みがあったりすると、何か出来事があった時にネガティブな誤った判断をしてしまう。
うつっぽくなってしまう、どうせ嫌われてるんだと思ってしまう。外部信号だけじゃなくて内部信号もあるわけです。
脳みそそれ自体が常に活動してるので、自分の脳の信号も受けてるんです。
目から入ったり、耳から入った情報があってから、外部刺激があってから初めて活動するんじゃなくて、常に自分の中でも情報を生み出しては自分に情報を食わせてるという活動もしてるので、そういう中で心が生まれてるんですけど、起きてます。
やっぱり嫌われてるんだ、嫌われてると思うから、またこれがデータとして蓄積されて、私は嫌われる人間である、こういうパターンでも嫌われた、という認知の歪みが加速するということが起きてしまう。
これが長年のうつの特徴です。
嫌われてると思う、今回もまた嫌われた、認知が歪む、また何かあっても嫌われていないにも関わらず、やっぱり私は嫌われたんだと勘違いしてしまう、そしてまた勘違いが勘違いを強化する、ということです。
これを治すにはどうしたらいいのかというと、報酬を変えてあげなければいけないというか、難しく言えば報酬を変えてあげる、簡単に言えば、違うんだよと理性的に思うことが大事なんです。
直感的には本能的には自分は嫌われてるんだと思うんだけど、パッと感情やバイアスではこう思うんだけど、いやいやこれは多分違うな、うつだからそう思ってんだよ、うつ状態だからそう思ってるんだ、私の変な癖でまた嫌われてると思ってしまったんだと言って、理性で否定するということが大事なんです。
否定することで、違うんだよと言って、もう一回それがデータに溜まって、モデルが少しずつ切り替わっていくので、毎回毎回違うんだよと言ってあげることが大事なんです。
自分で思うというのがとても大事で、そう思っていけば、だんだん無意識にやれるようになるんです。
最初は指さし確認をしていた、車の運転の時にしてたものが、だんだん無意識にできるようになるように、最初はちょっと不自然なんだけど、フォームを直すみたいな感じで意識してやるということがとても大事です。
自分ひとりだとどうやって直せばいいかよくわからないので、サポートをしてくれる人や、サポートしてくれるYouTube、AI、色々あると修正しやすいです。
そうだよ、違うんだよと、君は最低の人じゃないよ、仕方がなかったんだよ、と横にいる人が根気よく言い続けてくれると、そっか、今回も私が直感的にはそう思ってしまったけど、そういう風に論理的に考えたつもりだけど、実は違ったんだと、バイアスがあったんだなと、嫌われてなかったんだなと、違うんだと言って修正がかかるとだんだん良くなるというのは、うつの治療のプロセスです。
ただこういう話をすると、サポート役の人の説明が下手だったり、言語的介入が弱かったり、信頼感がなかったり、受け取る側のIQの問題や発達障害の問題があったり、知的に理解しなかったときどうするんですかと言われるんですけど、そうなんですよね。
だから難しいんですよ。
それはサポートする側がどういう風に説明するかというテクニックでもあるし、この人が持ってる元々事前の学習だったり、頭の柔軟さだったりも大いに関係します。直感的に感じたことを否定してあげてることで、ゆっくり前頭葉が活性化していく状態を人為的に目指すというのをやっていくということなるんですけど、どういう風にやるかというのはとても色々なテクニックがあるんですけど、シンプルに考えるとそういうことだということです。
うん、難しいね。
難しい話しましたけど。
なぜこの話をしようかと思ったかというと、最後にちょっとだけ。
今、AI益田裕介や手帳、ワーキングブックみたいなもの、メソッド本の完成を目指していて、これを作るにあたって、心の構造論や治療の構造論を説明して、思い込みをどうやって否定するかということをする、これを補うためにマインドフルネスや自助会もあるということを考えてるんです。
考えていたというか、これを作るためにこれをやっていて、これの話を今回ここでやったということです。
宣伝、半分宣伝ですけど。
でも皆さんの役に立つのかなと思うので。
こう考えていくと、心とは何なのか、目指すものが見えやすくなるのかなと思い、皆さん、治癒後の世界というのがちょっと見えにくいのかなと思っていて。
僕らはうつ病の人を治した経験が色々あるから、治癒後というのがこういうものなんだとかわかるというか。
見たことがないと治癒後の世界がわからないと思うんです。
何かもっと特別な世界、すごい世界があるんじゃないかと皆さん思ってしまうし、僕も思ってました、学生の時や医者になる前は。
聞いたことあるけど、でも本当にそうなのかな、もっと何かあるんじゃないかと思ってましたけど、自分が臨床するようになって、色々あって、やっぱりこうなんだなってわかるようになったと。
それを今YouTubeで伝えてるということです。特に特別なことは本当にないんです。
僕だけが知っているということが本当にないので、皆さんが知っていることと本当にそんな変わらないんですけど。
泥臭く同じことをやってるというのが、精神科医の仕事、心理士、PSWの仕事だったりします。
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