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そういう人もいる。人間理解とバリエーションについて

本日は「そういう人もいるんだよ」という話をしようかなと思います。


臨床の中で患者さんが、こんな人がいたんだとか、こんな嫌な思いをしたんだ、うちの上司はこんな人なんだ、冷たくありませんか? 性格悪くないですか? 意地悪すぎませんか? とか色々言うんですよね。

僕は、うんうんと聞いて、「確かにね、でもそういう人っているよね」とか言うんですよね。相づちを打つ。患者さんは、「それだけですか?」と言うわけですよ。
それだけなんだよね。そういう人もいるんだよと言って。

「何でですか? じゃあどうしたらいいんですか?」と言うんだけど、どうにかできることもあればできないこともあるわけですよね。色々な人がいますから。

精神科なんて色々な人の宝庫じゃないですか。変わった人が集まる場所ではあるので、そういう人もいるだろうなと思ってしまうというか。
ただ、それだけと言えばそれだけなんですけど。

◾️人間のバリエーションがある

患者さんはやっぱり人間のバリエーション、色々な人がいるというバリエーションの理解がやっぱり少ないことが多いです。というか、初めて会うタイプの人だから混乱してしまうことが多かったりしますよね。

認知の不協和音というか、自分と全く違った考え方価値観を持つ人と遭遇した時に、すごく混乱して理解ができないと言って相手を攻撃したくなる気持ちとか、自分が攻撃されたような気持ちになることがあります。
そうかもしれないけど、そういうことですよね。

人間は自分じゃ理解できないほど多彩なんですよね。
自分の認知が及ばないほど多様なので、こういうことって結構あるなと思います。
人間の認知機能レベルだととてもじゃないけど把握しきれない。

それが人間の本質であり、人間社会の一つの側面というか、本質というかね。そんな感じはしますけどね。

◾️あの人はいい人? 悪い人?

例えば「あの人はいい人ですか? 悪い人ですか?」とか。
「でも、本当はあの人いい人ですよね」とか「益田先生はこう見えてるけど、やっぱり冷たいようで本当はいい人なんですよね」とか何かよく言いますけど。

これもわかるようなわからないような話ですよね。
いい人なのか悪い人なのか。

子供だったらそういう理解でもいいんだけど、大人だとそういう理解じゃダメで。
例えば自分には優しくしてくれたけど、Aさんには悪口を言っている人。
自分には悪口を言ったりとか、ひどい人なんだけども、他の人にはいい顔をする人はいますよね。

それはそういうもんなんですよね、人間て。その人の中にある多面性も、人間の頭脳レベルでは把握しきれないなとか思ったりしますよね。

人間で例えると結構難しいんですけども、例えばこれが日本とアメリカだったらどうでしょうか。

アメリカはいい国ですか? 仲いいですか?
まあ仲がいいと言えばいいよね。国交あるしね。

だけど一方で米軍がありますから。横須賀に米軍があるので、日本の首都東京の目と鼻の先にありますから、いざ戦争になったらすぐに日本を侵略できちゃうわけですよ。

アメリカが守ってくれていると言えば守ってくれているけど、そうでない側面もある。だから究極を言えば、アメリカに脅されたら日本は言うこと聞かざるを得ない部分はありますよね。

日本と中国は仲悪いのかなと、悪いと言えば悪いよね。
反日的なところもあるからね。中国は。

だけど日本と中国は昔から交流があるし、同じ漢字を使っているし、同じアジアの人たちということで結構気が合うとかも多いし、僕らは中国の歴史や三国志も好きだったり、中華料理が好きだったりとかね。

中国の方も日本料理とかアニメとか好きだったり、観光に来てくれますよね。
経済的な交流はあるわけで、まあ悪いわけでもない。
こういう感覚なんだよね。

ある側面では悪いんだけれど、ある側面では良かったりする。でも時に壊滅的な関係になることもあれば、戦争のようにね、壊滅的なことになることもあれば、ギリギリのところで耐えることもある。

このせめぎ合いを続けているんだよね。結構ややこしいんだけど、いい人か悪い人かどうなのということをずっとやり続けている。
国同士でもそうだし、人間同士もそうなんだよね。

落ち着かないんだよね、完璧主義の人とか白黒思考の人にとっては。

どっちなのはっきりさせてくれとか思うんだけれども、はっきりしないのが人間同士なので、絶えずコミュニケーションを取る必要があるし、コミュニケーションがより複雑化していくし、より重層的になっていくし、そういうことではあるわけですよね。

こういうバリエーションを理解していくことが大事です。

◾️自分で考えること、外からインプットすること

結局、よく思うのは「學びて思はざれば則ち罔(くら)し。思ひて學ばざれば則ち殆(あやう)し」という論語があります。

考えること、自分の中でああだなこうだなと思うことも大事だけれども、同時にインプットすることも大事ですからね。精神医学を学ぶ、社会のことを学ぶ、歴史を学ぶ、その背景理論を学ぶ、そういうことも大事。

でも一方で、学ぶばかりの人もいて、じゃあこの準備します、これ学びます、先生この本を読んでみたらいいですかとか言うんだけども、向き合うことも大事なんだよね。

自分の気持ちや自分の感情に向き合うことも大事で、このバランスがすごく重要なんだけども、一方に偏る人も患者さんは多かったりします。自分と向き合う時間も大事だし、それと同じくらい自分以外のものと向き合う、学んでいく。

先人たちの教えとか、どんな人がどんなこと考えたのか、どんなデータを集めてどんな理論を構築したのか。そういう学び、教科書的な学びはすごく重要です。

そして、僕らの悩みというのはだいたい教科書レベルに載っています。
医学の世界もそうなんですよ。個々の患者さんがいるようで、やはり教科書に載っているような患者さんばかりなんですよね。

だけど教科書の知識に寄り過ぎて相手を見なくなってしまえば、診断して薬だけ出すだけになってしまったら、やっぱり医者として駄目だし、かといって、毎回毎回この人はどんな人なんだろうと考えていたら、やっぱりそれもプロじゃないんですよね。

ここのバランスはすごく大事だなと思います。

そういう人もいるんだよとか、こういうバリエーションだよね、ということで「うーん」と思っているのであれば、学びが足りないなと思います。

向き合うばかりで学びが足りない。これとは別件ですけども、学ぶばかり、インプットするばかりで、自分と向き合わない。

あの人どうなんだろうと考え続けたり、他のことを勉強し続けるだけで、「結局あなたは何がしたいの?」と。

人から嫌われたくないんです、じゃあ嫌われない先に何があるのとか、嫌われた先に何があるのとか、あなたは結局何がしたいの、何のためにやってるのとか、それがないとやっぱり思いが足りない、向き合う時間が足りないなと思ったりする。

今回は、人間のバリエーションというテーマでお話ししました。

◾️本日の宿題

思いて学ばざればの論語についてどういうことを考えたのかを教えてもらいたいなと思います。ついでに、好きな論語があったら、そういうのも書いてくれると面白いかなと思います。

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