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歌詞考察 『時をかける少女』 二つの曲に込められた想い

早稲田大学アニメ声優会のnoteをご覧の皆様、初めまして!
今回の記事を担当させていただきます、広報部員のなちみと申します!

みなさん、6月をいかがお過ごしでしょうか?梅雨の季節に入ってきてジメジメしたり、やる気が起きなかったり、大変ですよね。
そこで今回は!夏が楽しみになるような作品を題材にして、記事を書かせていただきたいと思います!

今回扱わせていただく作品は、(タイトルにも書きましたが)
アニメーション映画『時をかける少女』です!
私はこの映画がもう本当に大好きで、今回は歌詞考察という側面でこの作品の挿入歌『変わらないもの』と主題歌『ガーネット』の2曲を考察し、その魅力に迫っていきたいと思います。

今回は私が歌詞考察をし始めた原点の作品であるこの二曲をご紹介いたしますので、考察と名乗れるほど大層なものでは無いかもしれません。ご了承いただけますと幸いです!

本記事は、歌詞考察の側面からこの作品の魅力をお伝えしていきたいと思っているため、本作品の内容を把握している方向けとはなっておりますが、観たことあるけど内容忘れてしまった方や、ネタバレOKな方にも是非読んでいただきたいなと思っております!

前置きが長くなってしまいましたが、参りましょう!
Time waits for no one.
     ↑
                   
(゚Д゚)ハァ?

細田守監督作品 『時をかける少女』

2006年に公開された『時をかける少女』
第30回日本アカデミー賞において最優秀アニメーション作品賞を受賞し、細田守監督を一躍有名にした作品でもあります。
本作品は筒井康隆の小説『時をかける少女』を原作としていますが、ストーリ自体は、細田守監督のオリジナルのシナリオとなっております!

高校2年生の紺野真琴は、理科実験室に落ちていたクルミをうっかり割ってしまったことがきっかけとなり、時間を飛び越えて過去に戻る力「タイムリープ」を手に入れる。彼女はさっそく「タイムリープ」の力を試すべく、妹が食べてしまったプリンを食べにいく。自分が“飛べる”ことを確信した真琴は、男友達の間宮千昭や津田功介とカラオケでノドが枯れるまで歌ったり、3人で何度も野球をして好プレイを連発してみたり・・・。何気ない日常を思う存分満喫するのだった。何があっても大丈夫、また戻ればいい、何回でもリセットができる。そんな楽しい毎日が続くはずだった。千昭が真琴に「俺とつきあえば?」と告げるまでは。Time waits for no one.(時は人を待たない)。「タイムリープ」を繰り返し、残り回数が底をついたとき、真琴は自分にとって一番大事なかけがえのない時間がそこにあったことに気づくのだった・・・。

https://www.animatetimes.com/tag/details.php?id=1025

タイムリープというSF色がつよい要素や描写が多く含まれながらも、その要素がうまく青春という題材と混ざり合い、高校生の2度と戻ることのできない、尊く儚い青春の日々が描かれております。泣けます。

私は、奥華子さん作詞作曲の、挿入歌『変わらないもの』と主題歌の『ガーネット』も大好きで、この二曲の歌詞を眺めているうちにあることに気がつきました。

それは、『変わらないもの』は千昭目線『ガーネット』は真琴目線の曲である、ということです!
そちらを頭に入れていただいて、まずは千昭目線の『変わらないもの』の歌詞を見ていただきましょう。

変わらないもの

作詞作曲 奥華子

帰り道ふざけて歩いた
訳も無く君を怒らせた
色んな君の顔を見たかったんだ

大きな瞳が 泣きそうな声が
今も僕の胸を締め付ける
すれ違う人の中で 君を追いかけた

変わらないもの 探していた
あの日の君を忘れはしない
時を越えてく思いがある
僕は今すぐ君に会いたい

街灯にぶら下げた想い
いつも君に渡せなかった
夜は僕達を遠ざけていったね

見えない心で 嘘ついた声が
今も僕の胸に響いてる
さまよう時の中で 君と恋をした

変わらないもの 探していた
あの日見つけた知らない場所へ
君と二人で行けるのなら
僕は何度も生まれ変われる

形ないもの 抱きしめてた
壊れる音も聞こえないまま
君と歩いた同じ道を
今も灯りは照らし続ける

変わらないもの 探していた
あの日の君を忘れはしない
時を越えてく思いがある
僕は今すぐ君に会いたい

いかがでしょうか。
まず最初の「帰り道ふざけて歩いた 訳も無く君を怒らせた」の歌詞からは、千昭が真琴をからかって楽しそうに帰っている情景に結びつきます。

でもその後の「色んな君の顔を見たかったんだ」や、2番の「街灯にぶら下げた想い いつも君に渡せなかった」という歌詞からは、鈍感な真琴にずっと素直になれないまま想いを伝えられずにいた千昭の本心を読み取ることが出来ます。(千昭、あんたってやつは、、、涙)

そして、タイトルやサビでの「変わらないもの」という言葉も、
これから大きく変わっていってしまう世界を知っている千昭が、時代が目まぐるしく変化していく中で、変わらないものをずっと探し求めていた。そこで真琴と出会い、ずっと変わらない真琴への想いを見つけることが出来た。
そんな意味が込められているのではないかと感じられます。

サビの最後にくる「僕は今すぐ君に会いたい」。これはもう千昭の真琴への想いを一言で表していて、グッときます。


では次に真琴目線の『ガーネット』の歌詞を見ていただきましょう!

ガーネット

作詞作曲 奥華子

グラウンド駆けてくあなたの背中は
空に浮かんだ雲よりも自由で
ノートに並んだ四角い文字さえ
すべてを照らす光に見えた

好きという気持ちが分からなくて
二度とは戻らないこの時間が
その意味をあたしに教えてくれた

あなたと過ごした日々を この胸に焼き付けよう
思い出さなくても大丈夫なように
いつか他の誰かを好きになったとしても
あなたはずっと特別で 大切で
またこの季節が めぐってく

はじめて二人で話した放課後
誰も知らない笑顔探していた
遠くであなたのはしゃいでる声に
なぜだか胸が痛くなったの

変わってゆく事を怖がってたの
ずっと友達のままいれる気がした
終わってく物など無いと思った

果てしない時間の中で あなたと出会えた事が
何よりもあたしを強くしてくれたね
夢中でかける明日に辿り着いたとしても
あなたはずっと特別で 大切で
またこの季節が やってくる

いつまでも忘れないと あなたが言ってくれた夏
時間が流れ 今頃あたしは涙がこぼれてきた

あなたと過ごした日々を この胸に焼き付けよう
思い出さなくても大丈夫なように
いつか他の誰かを好きになったとしても
あなたはずっと特別で 大切で
またこの季節が めぐってく


まず、一人称が「私」ではなく「あたし」になっているところが、それとなく真琴味を感じさせますよね!

歌詞をこのように見てみると、「好きという気持ちがわからなくて」や、「ずっと友達のままいれる気がした」などと言った歌詞に、時を戻してでも千昭の告白を無かったことにしようとした真琴の、恋愛に不器用で鈍感な性格が現れてる気がします。

また「遠くであなたのはしゃいでる声に なぜだか胸が痛くなったの」の歌詞は、千昭と早川友梨(真琴の親友)が付き合った時の真琴の心情なのかなと解釈しました。いつも隣ではしゃいでた千昭が、友梨の隣で笑っているところを見て、好きという気持ちがわからなかった真琴の心が、初めて揺れた時のもどかしさが描かれているのかなと思います!

この曲の歌詞全体を通して、真琴が千昭との思い出深い日々を振り返っているように感じられます。そしてその日々が胸に焼き付けたいほど特別で大切で、、、
千昭と出会えて心からよかったと思っている真琴の気持ちが描かれていると感じました。

そして何よりも、『ガーネット』という曲名はなにを意味するのか?
知ってる方も多いかと思いますが、ガーネットとは宝石の名前です。
ガーネットの石言葉には「真実」「情熱」「友愛」「繁栄」「実り」などがあるそうで、特に「変わらない愛や友情」を表現するときに使われることがあるようです!
『変わらないもの』とリンクしてるじゃん!!
やはり隠された意味ってめちゃくちゃいいですよね、、、

呼応する二曲


そして私が曲の意味や気持ちを考えた上でもう一つ感動したことは、この二曲の流れるシーンです。

『変わらないもの』が流れるシーン

まず挿入歌の『変わらないもの』が流れるのは、素直になれないまま会えなくなってしまった千昭にもう一度会うために、真琴が最後のタイムリープを使って過去に戻るシーンです。

真琴が時空を飛んでいる際に、千昭との出会いから仲良くなっていった思い出の数々が『変わらないもの』と一緒に流れてきます。
それらの思い出と、曲に描かれた千昭の想いが真琴に流れ込み、真琴は千昭の想いをしっかり受け止め、素直になることができたのだとと思います。

こんな青春の情景と一緒に、この千昭の想いが詰まった『変わらないもの』という曲が流れてきちゃったらもう涙が止まりません。


『ガーネット』が流れるシーン

そして『ガーネット』が流れるのはこの映画の最後です。功介や他のメンバーと野球をやりながら、いなくなってしまった千昭について話しています。最後は素直な気持ちで別れを告げることができた真琴は、彼のことを思い出しながら、どこか清々しい面持ちで描かれていました。

ここでは、『変わらないもの』を探していた千昭に応えるように、

「いつか他の誰かを好きになったとしても あなたはずっと特別で 大切で またこの季節が めぐってく」
という歌詞にある「あなたはずっと変わらず大切だよ」という真琴の想いのこもった『ガーネット』を千昭に贈り、物語の幕が閉じます。めちゃくちゃ素敵な終わり方ですね。


この二曲は、あまり自分の気持ちを多くは語らない真琴と千昭のそれぞれの想いを、物語の流れに合わせて観ている人に伝わるようにしているのだと思いました。物語と音楽を上手くマッチさせた素晴らしい演出だと感じました!!

「友情か恋愛なのかわからないけれど、ずっと変わることのない愛情をお互いに抱いている2人」という絶妙な千昭と真琴の関係性と、素直になれない青春ならではの想いがしっかり歌詞で描かれていて、歌詞見るだけで2人の気持ちに思いを馳せることが出来ます。奥華子さん本当にありがとうございます!!

終わりに

さて、私の考察は以上です。いかがだったでしょうか!もうなんか考察というか感想というか、、、って感じになってしまいましたね。w
この記事を書きながらどんどん新しいことに気づいたり書きたいことが増えたりして、自分が思っていたよりも長くなってしまいました(゚O゚)

二つの曲を真琴と千昭に投影することで、より作品を深く味わうことができたのではないでしょうか、!私のこの作品に感じる尊さを少しでも共有できていたら嬉しいです!

記事を書いていて、改めてこの『時をかける少女』という作品は、青春が詰まった何度でも観たくなる作品だなと思いました!私もこんな青春を送りたいっ!気になった方は『時をかける少女』ぜひ観てみてください!

言葉足らずなところも沢山あったと思いますが、最後まで読んでくださり本当にありがとうございました!

参考文献

このページでは、時をかける少女の画像を比較研究目的により引用しています。作品の著作権(画像も含む)は(C)「時をかける少女」製作委員会2006にすべて帰属します

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