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テナント募集中

思い出の場所っていくつありますか?

そして

いくつ無くなってますか?

もう10年以上前だけど
中学生くらいの頃
下北沢の駅前にバブルバブルっていうタピオカ屋&クレープ屋があって、そのお店のタピオカとパスタが大好物でよく通ってたんだ。

タピオカ屋にパスタがあるなんて結構特殊だよね。

当時から異質だなぁって思ってたけど
そんなこと誰もつっこまずに
そこに来る学生はタピオカやクレープばかりを注文していた。

多分自分だけだったと思う
そこでパスタ食べてたの。

パスタ屋行くもんふつう。

それに、そもそもタピオカに対して世の中はまだそんな興味を持っていなかった気がする。

どっちかっていうとクレープの方が盛り上がってたし、だけど原宿とかじゃなきゃ
そんなに行列にはならなかった。

だから比較的そのお店は空いていて
5つだけあるカウンター席で
よく一人でパスタを啜っていた。

そのスパが本当に美味しくて
今まで食べたゲティの中では断トツで愛していた。合わせてスパゲティ!
ふざけてしまってすみません!

特にミートソースが至福だった。

たまに「美味しい」とか言葉をこぼしながら食べてた。それくらい美味しかった。

今思うとナイスなのは
タピオカの容器にパスタが入っていたこと

それをフォークで巻きあげる。

その頃、纏わりついていた憂鬱や
先の見えない不安やモヤみたいなものを
その瞬間だけは消してくれた気がした。

なんだか
僕の全てを肯定してくれてるみたいだった。

しかし、ある日のことだった。

そのお店に向かうと
「丸月丸日に閉店します。ごめんちょ。」
との紙が張り出されていた。

ごめんちょはなかった気がする。


『まじかいな...』

そう呟いたのは今でも覚えている。

なぜなくなってしまわないといけないのだろう
経営が厳しくなってしまったのか
僕がもうちょっとこのお店に貢献できてたとしたら、、、

もしかしたらもうちょっとは長く
営業できてたのかな....
とかいらんことを思った。

それくらい好きな場所だったし

とにかくとても悲しかった。

人生で初めて
大切な場所を無くしたんだ。

だけどその時、悲しさと同時に
「そんな大好きなものに出会えてよかったのかもしれない」
とも思った。

大好きな場所が消えちゃうのは
とっても悲しいけど

だからって「出会わなければよかった」
て思ってしまうのは、もっと悲しい気がした。

期間で言ったら一瞬だったかもしれない。
だけどそんな一瞬。限りある貴重なものに
出会えてたことが幸せなんだって

それ以降は思うようにしたんだ。

別れはもちろん切ないけど
大切な場所がテナント募集中になったとしても
想いや出来事が消えるわけじゃない。

あの時ミートソースを食べた出来事や思い出は
確実に消えることはないんだ。

『ワスレナグサ』にもそんな
思いが詰まってるんだけど

これはなんでもそうだと思う。
人でも、場所でも、音楽だってね。
この前のMCもそうだね。

そして最近読んだ本に

そんな気持ちが同じように詰まってたような気がして、少し嬉しかった。

冒頭の質問は少し意地悪で

答えとしては
『一つも無くなっておりませぬー』
でした。

たださ。
正直めちゃかなしーーよねーー。

終。

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