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どこか懐かしく、温かい街「尾道」の魅力⑤

時刻は17:45。余韻と丸ぼしラーメンでまだ胃がいっぱいの私はまだ夕飯を食べる気分ではなかった。

涼しくなってきたし、石段上ろうかな。
猫さんに会えるかも。と、石段をまた上ることにした。

まんまるの夕陽と蚊に刺されと猫

猫広場にいったらモフモフはいなかった…

なんとなんと、朝にはいなかったけどたくさんいるではないか。
ただ、猫の細道にいた猫さんたちは人馴れしているような感じだったが、ほかの猫さんは警戒心が強いような感じだ。近寄ると素早く逃げてしまう。
前回行った時はもう少し人馴れしていた気がしたんだけど、もしかして私たち観光客(人間)のせいかな…。ごめんね。なんて思ってしまった。

ふと横を見ると休憩所のベンチで餌やりをしているおじいさんがいた。
おじいさん、猫さんたちを頼みますね。と心の中で呟いた。

猫探しに夢中になって、気付いたらみはらし亭のところまで来ていた。
すると三脚を立てたカメラマンさんたちがこぞって写真を撮っていた。
なんだろう、と振り返るとそこにはまんまるの夕陽が淋しげに浮かんでいた。

こんなまん丸の夕陽を見たのは初めてだ。
息を呑むほどに美しかった。

感動していたのも束の間、そして気づく。
痒い。

え、顔、蚊に刺されてる……?

たしかにカメラマンさんたちも「パン!パン!」と
蚊を叩いている。

蚊に刺されやすい私は虫除けスプレーを腕だけにしていたが、なんと顔と肩にも刺されていた。
しかも腕と指も。

顔って刺されるんだ…。と悲しい気持ちになりながら大人しく石段を下りた。
早く顔を洗いたい……。

栗原温泉

あなごのねどこのシャワーを借りようと思ったが、たくさん歩いて足も筋肉痛になりそうだったので近くの銭湯へ行くことにした。

あなごのねどこから徒歩約15分。駅側に向かって歩くと、「ちーちゃん」というお好み焼き屋さんを発見。店からは良い匂いと常連さんらしき人たちの談笑が聞こえる。

店構えからして間違いなくいい店

広島に来てまだ一度もお好み焼きを食べていなかったので、今ここで食べてしまおうか。
でもこういった店に一人で入るのは勇気がいる、しかもあまりお腹空いてないしなぁ…。
でもお好み焼き食べて風呂入るなんて最高の流れじゃないか?でも食べきれなかったら申し訳ないし…なんて葛藤を店の前で繰り広げた結果、お好み焼きは空腹時に食べよう、という結論に至り、先に栗原温泉に向かうことにした。

外観からわかる。絶対いいお湯

あぁ、この暖簾いいなぁなんて思い入ると番台さんはおばあちゃんと孫らしき6歳くらいの男の子だった。

「シャンプーとリンスとボディーソープとバスタオル、ください」

そういうと、おばあちゃんに「リンスは赤いキャップね」と説明されながら男の子が一生懸命用意をしてくれた。

おばあちゃん、「じゃあ、これとこれとこれで、780円ね。」

ん?100円ずつのアメニティと480円の入浴料で880円のはずだが…?

「あれ?これとこれとこれとこれで、4つだから880円ですよ〜!」と教えてあげた。
「あらあら、お姉さんの方がしっかりしてるわ、ごめんねぇ」とおばあちゃん。

変な人に騙されないでね。なんて思いながら880円を支払った。

こういう銭湯はなくならないでほしい

脱衣所に入ると貸切だった。浅湯と深湯がふたつ。
ケロリンの桶がいい味を出していた。
ミストサウナは故障中。多分、ずっと故障中。
(2階にはちゃんとしたサウナがあるらしいが、この日は銭湯のみにした)

湯船に浸かり、思わず歌いたくなるも
意外と番台が近いことに気付いたのでやめておいた。

さっぱり、いいお湯だった。

19:30、さっきのお好み焼きちーちゃんは20時までと書いてあった。
少しだけお腹が空いてきた。間に合うか……?
と急ぎめにドライヤーを乾かして着替えてバスタオルを返却すると番台さんがおじいちゃんに代わっていた。シフト入れ替えかな。

栗原温泉を後にし、ちーちゃんに向かうと談笑はもう聞こえなかったが、勇気を出してダメ元で扉を開けた。

ちーちゃんらしき女将さんが。
そして明らかに店仕舞いをしていた。

「ごめんねぇ、もう終わっちゃって…」

ですよね、いやこちらこそ本当にこんなタイミングに申し訳ないです。

「すみません…!またきます!」

またきます!と思わず言ってしまったからには、明日行くしかないな、と思い店を後にした。

お腹はそこまで空いていない。
コンビニのおにぎりでも買って帰ろうか、なんて思っていたのだが、昨日通った時に気になっていた踏切前にある「あおぞらパパド」という青い看板が目に入る。
調べるとカレー屋さんのようだった。
カレー、いいな。お腹すいてなくてもカレーはいつでも食べられるから不思議だ。

あおぞらパパド

階段を上がると、ちょうど若者3人組が下りてきた。
もしかしたらここももう閉めちゃうかな…。

扉を開けると店主が。
「まだ、入れますか…?」「いけますよ!」と。
よかった。

店内には美味しそうなカレーの匂いが立ち込めていた。窓からは電車が見える。

窓際の席に座ると、シールとメニューがあった。
どうやらルーやトッピング、ドリンクや米の種類をカスタムしてシールを貼っていくらしい。
面白い発想だ。

私は一番人気のチキンカレーといちじくのラッシーをチョイスした。

見た目からして絶対に美味しい

このカレーを撮影したところでスマホの充電が切れた。
左の白いのがパパドというらしい。このカレーが本当に美味しくて、今でも食べたくなるくらい中毒性を持っていた。
いちじくのラッシーも美味しかったなぁ。

置いてあった向島のリーフレットを読む。
明日はどこへ行こうかな、なんで考えながら。

帰り際、店主に聞いてみると「ウシオショコラトル」というチョコレート屋さんが有名らしい。
向島はチャリで簡単に回れる、というので明日はそこ目掛けて行ってみよう、と思った。
(店主も向島に住んでいるらしく、フェリーの最終便までに店を仕舞わないといけないらしい、間に合ったかな)

この時、気軽に「チャリで回れる」という言葉を信じたものの後に大変なことになるとはこの時知る由もなかった(PART2)
※店主さんは何も悪くないです

店を出ようとすると、扉の前にはかわいいかわいい黒白猫のお客さんだ。
よくここにくるらしく、店主と一緒に階段でぼーっとするらしい。いいなぁ。

名前はミクちゃんというらしい。
偶然にも実家で飼っている犬の名前と同じだった。

写真を撮りたかったが、スマホの充電が切れていたのでありません。


多分、このどっちかがミクちゃん。

一人だとつい、スマホ!写真!と常に思っていたけどなきゃないで、いいものだなーなんて都合よく自分を宥めながらミクちゃんに挨拶をして宿舎へ戻った。

中秋の名月

戻る途中は尾道水道へ。パラパラと、地元民のような若者が水辺に座って夜風を楽しんでいるようだった。釣りをしている中学生もいた。
都会に憧れるかもしれないけれど、このかけがえのない時間がどれほど素晴らしいことだったか、この子たちはいつか大人になって気付くんだろうか。なんて思いながら通り過ぎた。

この日は2023.09.29(金)、中秋の名月だった。
そうか、だから夕陽がまんまるだったのか。

夜の尾道水道はまた違う顔をしていて、月や船の光に照らされた水面をみているとなんだかスーッと心が落ち着いて、自然と涙が流れた。

「生きててよかったなあ」って、ポツリと柄にもないことを呟いた。この状況に酔っていたのかもしれないが、本当に心からそう思った。

満月をみて、世界が平和でありますように、と願った。

無事宿舎へ戻り、充電をし、今日1日を振り返りながら眠りについた。
隣の人のイビキさえも気にならないくらい、私は満足していた。

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