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退路を断つ。あとは成るように成れ!

コミュおばさんのシニア起業奮闘記 #003

休み明けの7月16日、意を決したように所長室へ向かう。「例の進退についてですが」と切り出すと、待ってましたとばかりに応接セットに促す。

「決めました。今年いっぱいで退職します。」

一年前から契約更新する意思なしと小出しにしてきたのもあって、驚きよりもやっと決めてくれた、という安堵の色が濃厚の上司。

「では、早速、後任探しを始めますね。」

なるほど、職場のスムーズな業務遂行が最優先なのか。採用にはそれなりに時間もかかるから、さっさと後任を決めたいのは分かるけど、なんだか、寂しい。普通は「一ヶ月前通知」で十分なはずだよねえ。別に引き止めてくれなくてもいいけど、もうちょっと労いの言葉とかないの?

感傷に浸ったのもつかの間。前を向いて早速動き出す。

ハワイ休暇中に見つけた公共コミュニケーション学会なるものの総会が、7月末に日比谷である事をキャッチ。これまで国連広報センターを中心とした在日の国際機関広報グループに所属し情報交換や勉強会には参加していたけれど、いわゆる横断的な専門職の学会や勉強会には全く縁がなかった私。独立を前に人脈を広げるのも重要よね、とばかりに参加することにした。

何の予備知識もないまま参加してみると、意外に面白かった。どういうメンバーが何を目的に同会に参加・運営しているのか、きっちりした説明はなかったけれど、10年もの間、有志で会を支え、日本学術会議の協力研究会として進化を遂げようと努力している事、広告業界上がりの研究者や公共団体の広報担当者などが参加し、研究発表を続けていることを知った。

中でもとりわけ面白かったのが、Canne Lions 2024 なる国際広告祭の報告だった。広告の分野でも社会課題型広告が賞の主流を占めてきており、台頭するAIへのアンチとして人間らしさがより前面に押し出されているものが多かった、というのだ。時代がどこへ流れて行こうとしているか示してくれていて、なるほどと頷く事しきり。私が関わりたいと願っているものの方向性も間違っていないのかも、と思わせてくれる。

カンヌ・ライオンズ広告祭で賞をとった広告

そんなこんなで、早速、入会申請を行った。結果はまだだが、自分なりに前進した気分。同時に、独立予定地の神戸・姫路周辺でワクワクするようなことをしている人に会う段取りを始めた。手始めに、知り合いのBig Issues Japan を運営している人から教えてもらった、コミュニテ・サポート・センター神戸の理事長に連絡してみた。いろんな人の「やりたい」を後押ししているセンターだが、なんの詮索もなく「いいわよ」と気安くお会いしてくれることになった。

また、生まれ育った姫路の地元の高校や大学を巻き込んで古民家再生事業をやってのけた和菓子屋さん「甘音屋」にも連絡。実家に帰省するお盆中にお会いしたいとお願いすると「一年で2番目に忙しい時期」とかでやんわりお断りされたものの、「いつでも電話で相談を」と携帯番号を教えていただいた。動けば、何かしらみんな答えてくれるのだ。

今週中には、いよいよ私の後釜を募集する公告が出る。もう後には引けない。あとは成るようにしか成らないと腹をくくって、潔く前へ進んでいこう。

#シニア起業 #退路 #コミュニケーション #カンヌ・ライオンズ広告祭 #甘音屋 # 社会課題型


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