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㉝国民的アニメに登場する「フネさん」は理想の女性像?
noteで
「なぜわたしはムスメをブスに育てたのか?」
と考察を始めて、色々と本を読み漁るようになりました。
話がちょいちょい飛ぶかと思いますが、なるべく整理しながら書いてみます。
最近読んだ『女性の為のセルフ・エスティーム』という本の冒頭に
「女性用シナリオ」
という言葉が出てきました。
女性はいつもまわりの人に気を配るよう躾けられてきた。人に尽くしたり人から頼りにされることに価値があるとされてきた。女性には社会から用意されたシナリオがある、と。
著書は海外の臨床心理学者と精神分析医の共著です。
日本語訳の初版が2002年となっているので、原本はそれ以前のものでしょう。
20年以上前の本ですが、その中で既に
「そのようなシナリオを拘ることは危険」
とされています。
シナリオに自分を嵌め込むことは自分自身の感情を軽視することになるからです。著書の中には周囲に気を遣い続けた結果、体調を崩してしまった女性の例も書かれています。
この「シナリオ」でわたしは、国民的アニメに出てくるフネさんを思い出しました。
着物の上に割烹着をつけて、いつも家事をしている。性格は穏やか。子どもを叱る時もたしなめる、といった姿勢で激昂はしない。
まさに“日本の理想のお母さん“の姿です。
原作の漫画が新聞で連載開始になったのは昭和21年だそうですから、わたしたちは随分と長い間、この異なる時代の理想のお母さん像を見ていたことになります。
原作の中で覚えている話を紹介します。
ある時フネさんは女性雑誌の記事で、自分と同年代の女性がとてもモダンなオシャレをしているのを見ました。フネさんはそれを真似て帽子にミニスカートのいつもと全く違うファッションに挑戦し、鏡の前でポーズをとっています。その格好を偶然見た波平さん(夫)がショックのあまり気絶してしまうのです。フネさんは恥じらいつつ、オシャレな服を脱いでしまいます。
波平さんはいつもの妻のイメージを覆されてびっくりしたのでしょうね。フネさんも多分(柄にもないことをしちゃったわ)と恥じらって、元の格好に戻ってしまうのでしょう。・・・たまにはいいのにね。
原作の挿話は余計だったかも知れませんが、このフネさんが持つ母親の理想像は、日本のお茶の間に長年に渡り強く刷り込まれているのではないでしょうか。
厳格な父親と慎ましい母親、オテンバな長女と穏やかな婿、いつまでも可愛い息子、ワンパクな弟とお利口な妹、そして猫。
・・・えっと・・
この刷り込みって、怖くないですか?
家族の団欒をテーマとしたフィクションとして長く愛されてきたのは分かりますが。
「これが一般的な家庭の姿」と刷り込まれるのは、いかがなものでしょう。
とはいえ、わたし自身もフネさんのようなお母さんが理想像だと思っていました。家族の為に毎日甲斐甲斐しく家事をこなす慎ましい女性。
しかし、わたしがこのような女性像のシナリオを演じるのはかなり無理がありました。
働いて、育児して、その上で慎ましいフネさんのような女性で・・
いられるかっつーの。無理無理無理。
やさぐれてキッチンでチューハイ飲みながら料理しとったわ(笑)
あれ、男性側から見ても辛くないですかね。
波平さんは会社で働き、家に帰ると着物に着替えてエッヘンと威厳のある父親役を演じなければいけません。
マスオさんは会社で働き、家では妻の両親や弟、妹に囲まれてマルチ方向に気を遣い、いつもニコニコ。マスオさんのメンタルすげぇな。
要は、この人気漫画を貶したい訳ではなく、
固定の家庭像が理想として刷り込まれることの危うさを言いたい訳です。
現在は様々な形の「家族」があります。
専業主夫、シングルマザー、シングルファーザー、年の差婚、格差婚、同性婚、国際結婚、事実婚。
様々な形の愛があり、様々な形の家庭がある。
バラエティに富んだ家庭の姿を子どもたちに見せる、そんなアニメがあってもいいのにな、と思うのでした。
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