ながらができない
卒なくこなす、
ちゃっちゃとしていて手際がよい、
ちゃんと詰めてくる、
はずだった。
そんな時期もあった。
色々思い返してみると、結構不器用なのである。
捌けていた時代は自分の黄金期とそれに準ずる時期だけで、不器用が自分の本来のペースなんだと思う。
老眼に気づいたとき不便だとは思ったが、まぁ見らんでいいもんは見んでいいと思えた。
最近は耳も悪くなったのか、テレビがよく聞こえない。お笑い系番組は字幕やテロップがないとほぼ入ってこない。悪口だけは聞こえると言うが、ヒソヒソ話など聞こえるはずがない。聞こえんものは聞かんでもいいと思う。
あぁ、老化が始まったな。割とすんなり受け止めた。
最近、気がついたのだが、何かをするときには、両手を使わないと上手くできなくなったのだ。
チャックを閉める。
カバンの蓋を開けて財布を入れる。
札入れからお札を出す。
洗濯物を取る。
風呂の給湯口のフィルターを外す。
棚の上からザルを出す。
などなど。。。
つまり、
何かをしながら、
ついでのアクションで、
なんの気無く、
何かをしようとしても、出来ないのだ。
一つ一つ正対して作業をしないと、上手く出来なくなっている。
ショックではないが、面倒くさい。で、失敗する自分に腹を立てる。
あぁ、だから丁寧に生きなきゃと思っているんだな、自分。
日頃社畜でいる時は、ほとんど勢いと惰性で動いている。結構なアップテンポで。
本来の日常的な自分はゆっくりと丁寧に生きなきゃダメなんだ。
ながらができない自分に、なんだか腹落ちする。
そうそう、恋人が欲しいなとは思っていたが、きっとチョロチョロとセ◯クスを求めてしまうと思う。一人ひとり正対して。
そう、恋愛しながら男遊びはきっとできない。容易に推測できる。
相変わらず最低男だな。
恋人は今のところ作らない。
55歳。いつまでこんなこと言ってられるか。
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