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PAUPER SUMMIT CUP4に出てきたの話


第一話 創生編

第二話 紅蓮編

第三話 激動編

●Prologue

刑務番号133番、進め。
家畜のように刑務槍で背中を小突かれ歩を進める。ここは浦和刑務所。灼熱の太陽に焦がされた砂利が素足を焼く。
なおきち軍団とおーたに軍団の抗争は苛烈を極め、パウパー界の血で血を洗う抗争は池袋まで及んだ。
軍団長なおきちの指示で鉄砲玉として事務所に特攻することになった自分は、覚悟を決めておーたに軍団事務所の扉を蹴破った。
全て龍星組の罠であることを悟ったのは、警官に銃把で殴られた後頭部の痛みが少し引いてからの事だった。
求刑は死刑。何一つ心当たりの無い罪状は多すぎて全て忘れた。執行の速さとあてがわれた弁護士のやる気の無さからも台本-シナリオ-があることは明白だった。
最期に言い遺す事はあるか?の問いに「虹色の断片禁止しろ」と吐き捨て、終わろうとしている命をあざ笑う太陽を一瞥し目を伏せた。
銃声が響く。違和感。聞き覚えのあるやや鈍い音、グロック17カスタム。
目を上げる。倒れた刑務官達。
悲鳴を上げた警報とともに破壊される壁。アーマードハイエースに刻まれたPauperMTGのロゴマークに刑務官の血飛沫が映える。
押し込まれたハイエースで差し出された常温のミネラルウォーターを飲み干す。
言わずともわかっていた。命の残りカスは有効活用せねばならない。
追い立てるパトカーに手榴弾を投げ、再びデッキを手に取った。

(訳:PAUPER SUMMIT CUP4に出てきたYO!!6月だけど7月の気温らしいYO!!)

●始まる前から死んだ

PAUPER SUMMIT CUP4、言わずもがな日本最強のパウパープレイヤーを決める神事である。
そこにメタゲームなどというつまらないものは存在しない。トップメタのコピーなんて下品なイチモツを握る奴は0回戦で皆命を落とした。苛烈な0回戦を突破した歴戦の猛者達は己の魂を投影したデッキを握る。そういうものなのだ。

つまり今回も使用するデッキに迷いは無い。

我は松音。動物園を駆る者也。

端的に言って死である。18枚カードを禁止されるとデッキは死ぬ。「《きらきらするすべて/All That Glitters》が禁止されてデッキが死んだー」とかぬかしてるやつ、俺とサマーの前で同じことが言えんのか。

だが何が起きても地球は回る。パウサミは迫ってくる。いつまでもウジウジしているわけにはいかない。元カノにフラレて1週間仕事を休んだ人間が言うと説得力皆無だが今は涙を拭って立ち上がるしかないのだ。

パウサミまで1ヶ月も無い・・・というかぶっちゃけ一度も大会に出れないので動物園に代わるデッキを見つけてぶっつけ本番で戦い、シングルエリミネーションに残って優勝するしか無い。だがやるしかない。俺がパウパー界の篠澤広になる。
※なお松音はまだ篠澤 広で中間試験を突破できていない。

●デッキリスト

というわけで使用デッキは『24LandsRamp』。

『24LandsRamp』
メイン
4:《宝石泥棒/Jewel Thief》
4:《サルーフの群友/Sarulf's Packmate》
2:《献身的な精霊術士/Ardent Elementalist》
4:《復讐する狩人/Avenging Hunter》
4:《乗り込み部隊/Boarding Party》
4:《苛立つアルティサウルス/Annoyed Altisaur》
2:《稲妻/Lightning Bolt》
2:《チェイナーの布告/Chainer's Edict》
2:《喪心/Cast Down》
4:《浄化の野火/Cleansing Wildfire》
2:《ムラーサの胎動/Pulse of Murasa》
2:《地操術士の計略/Geomancer's Gambit》
2:《ブレス攻撃/Breath Weapon》
4:《鉱滓造の橋/Drossforge Bridge》
2:《暗闇苔の橋/Darkmoss Bridge》
4:《熔融林の橋/Slagwoods Bridge》
3:《山/Mountain》
3:《沼/Swamp》
3:《森/Forest》
4:《灰のやせ地/Ash Barrens》
サイド15
2:《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb》
4:《嵐の乗り切り/Weather the Storm》
4:《議事会の自然主義者/Conclave Naturalists》
2:《チェイナーの布告/Chainer's Edict》
2:《ファングレンの匪賊/Fangren Marauder》
1:《墓の刈り取り/Reaping the Graves》

遅延クソメガネと呼ばれたくないので除去を減らして生物を増やした。サルーフを信じろ。

Q.土地23枚じゃね?
A.『ディバインス・キーの法則』をご存知だろうか?数学Dの授業で触れられているので理系の人間ならピンとくるかもしれない。

「蝸数で割った際に素数になる要素を持つ数字nが複数並ぶ際に三角関数上で連立する場合確率変動がnの2乗されるという法則」である。医療業界で複雑な手術をする際に入刀角度の計算等で使用されるのが主な使い道だ。

画像にすると以下になってイメージしやすいはずだ。

つまりそういうことである。

これによって導き出された確率式に「《サルーフの群友/Sarulf's Packmate》を4枚入れたい」という気持ち加えると土地は23枚でも24枚と同じ感じになる。

ちなみにランプは別に全く使用していなかったわけではなく、《必殺技/Finishing Move》が使用できないMOではこちらがメインデッキだったりする。前回のぱうぺあ杯も直前までこいつかボロスラリーかで迷ってたし。面白くないからMOそのものを滅多に起動しないけど。

何にせよ動物園が使用できないのであれば使用するのは自ずとこいつになる。青黒テラー?5回戦以上の青いデッキなんて使ったら何かしらの臓器が不調になって救急車で運ばれるだろ常識的に考えて。

相棒の動物園の代わりにランプを駆る。
気持ち的には淵天を奪われて折れた刳雲を使うようなものである。3発は「鳴」を撃てるからそれで頑張るしか無い。え、パウサミ4は7回戦?さてどうするかな・・・。

●やるしかねえいざ本番

余裕を持ってデッキ提出
荷物は2日前に準備
前日は9時間睡眠
ベストコンディションと言わざるを得ない。パーフェクト松音。当然受付1時間前に池袋にいる。もうこの時点で優勝は決まったようなものだ。ドラフトの準備が無駄になってしまったな。

ここまで完璧にしておけば相棒を喪ったマイナスは帳消しになったはずだ。

確かにこのデッキは一番新しいカードがバルダーズ・ゲートという最新ギミックとは無縁のデッキである。
《浄化の野火/Cleansing Wildfire》のマナ加速に頼っている関係で指輪物語のサイクリング生物を採用できない旧世代のデッキである。

この画像使いたいがためにランプ握った説、まぁまぁある

●1回戦 フリッカートロン

以前配布した『松音先生のパーフェクトジャンドランプ教室第4版』のpdfデータを持っている人は3ページを読んでほしい。そうだ。もくじの次だ。一番大事なことが書かれている。

ランプを握った以上、トロンは殺さねばならない。

game1-1 ダイス負け
《復讐する狩人/Avenging Hunter》でイニシアチブ進めリーチ。最後のひと押しを決めようとしたところで《ブレス攻撃/Breath Weapon》を撃たれたが、なんと《復讐する狩人/Avenging Hunter》はドラゴンなので何も起きずに勝ち。

game1-2
1-1で調子乗っていたら土地が2で死んだ。おかしい。そんなはずはない。マナスクリューを絶対に回避するために組んだ構成である。土地が24枚あれば確実に3枚目の土地を引くはずなんだが・・・

game1-3
《つぶやく神秘家/Murmuring Mystic》と《一瞬の平和/Moment's Peace》でイニシアチブを奪われるも、圧倒的物量とランデスプランで強引に勝ち。パワー!

ランプ握ってトロンに負けるわけにはいかない

1-0

●2回戦 青黒フェアリー

俺が配信卓だ(何で???)

game2-1 ダイス負け
序盤に忍者が着地してガンガンドローしてくるが、ブロッカー立てずにガン無視してひたすらに土地を伸ばし、アルティサウルスを連打して物量差で勝ち。パワー!

game2-2
ボーラスから水流破めくれたので宝石泥棒とサルーフで殴る。土地をたくさん引いたのでアルティサウルス連打して勝ち。パワー!

とにかく安定して土地を伸ばすことに重点を置いたデッキなので、狙ったとおりに動いてくれて良かった。パワー。

2-0

●3回戦 ジャンドリアニ

game3-1 ダイス勝ち
発掘で何度も帰って来る《臭い草のインプ/Stinkweed Imp》をブロッカーに立たされるが、そこで止まったらリアニの思う壺なのでアドバンテージガン無視してトランプル特攻させまくって最終的に物量で押し切って勝ち。一貫したプレイが勝利を生む。多分コントロールユーザーが配信で見てたらブチ切れていたと思う。

game3-2
2Tに《気前のよいエント/Generous Ent》が出るとどうなるか知っているだろうか?死ぬのだ。

game3-3
今度は3T《気前のよいエント/Generous Ent》。なんなの??数少ない対処手段である《チェイナーの布告/Chainer's Edict》を引くも、絶妙に間に合わず横にクリーチャーを出されてしまう。パウパー界最強の呼び声も高く近々モダンの再録も決定した《苛立つアルティサウルス/Annoyed Altisaur》だが、6/5というスタッツがエントの5/7というアルティサウルスを狙ったかのようなスタッツによって手も足も出ず《カザド=ドゥームのトロール/Troll of Khazad-dum》と合わせて押し切られて負け。

何だよタフ7って、マジで対アルティサウルス説あるぞ・・・。

2-1

●4回戦 グリクシス親和

game4-1 ダイス負け
出てくるクリーチャーを上手くさばいてイニシアチブ最終層まで行って勝ち。

game4-2
《マイアの処罰者/Myr Enforcer》で殴られる展開。土地が4枚でストップし、手札の《議事会の自然主義者/Conclave Naturalists》がモジモジしているところに《感電破/Galvanic Blast》でとどめを刺されて負け。

game4-3
《ケンクのアーティフィサー/Kenku Artificer》の3/3に空から攻められ絶望的な状況。だがあと1枚土地を引けば《ファングレンの匪賊/Fangren Marauder》を絡めた2アクションが取れで逆転が可能。信じるしかない。ランプを。24枚の土地を。可能性を。
ぼく「やっぱ一番安心できるのはさ、ランプのみたいなしっかり土地を引けるデッキなんだよね。家庭的っていうかさ?」
ランプ「そうだね・・・」
ぼく「なんだよ。何が不満なんだよ」
ランプ「君っていつもそう!そうやって都合の良い時ばっか都合の良い言葉並べて私を利用するのが君なんだよ!本当は動物園ちゃんの元へ行きたいんでしょ!?」
ぼく「なっ、そんなことないって!あいつとは終わったんだ!」
ランプ「・・・私知ってるんだよね。パウサミの合間に次環境の動物園回してること」
ぼく「そ、それは・・・」
ランプ「土地は来ないよ。だって・・・私には土地は23枚しか入ってないから。さよなら・・・」
ぼく「ランプーーーー!!」

めっちゃ土地が止まる。どうして・・・

2-2

●5回戦 ブレードホーク(ゲート型)

Top8の可能性が怪しくなってきた。今日は7月並みの夏日。上位数十名が食中毒と熱中症で倒れる計算なのでまだ可能性があるとはいえ、松音優勝の絶対条件に陰りが見えてきた。だが負けるわけにはいかない。全てを破壊する。ランプを握ってしまった以上世界の破壊者になるしかないのだ。

game5-1 ダイス負け
生物を除去ってイニシアチブをキープして勝つ必勝パターンで勝ち。

game5-2
《バジリスク門/Basilisk Gate》を割れば大ブレーキがかかるのがゲートの定め。構成上《ギルドパクトの守護者/Guardian of the Guildpact》には触れないが、《バジリスク門/Basilisk Gate》を複数枚並べられなければ負けは無い。つまりどういうことかというと《ギルドパクトの守護者/Guardian of the Guildpact》と《バジリスク門/Basilisk Gate》を2枚並べられたので負けってコト。

game5-3
自分を見失っていた・・・ランプがやるべきことなんてシンプルでいい・・・《バジリスク門/Basilisk Gate》を置かれたら割る。世界を破壊する。
そう覚悟を決め《バジリスク門/Basilisk Gate》を3枚叩き割る。《浄化の野火/Cleansing Wildfire》をランデスに割いても順調に土地を伸ばせるのがこのデッキの強みだ。
《バジリスク門/Basilisk Gate》さえ無ければサイズで勝るランプの勝利である。既に勝ちを確信していた。世界はあるべき姿に戻るべきだ。土地はマナを出す以外の役目を持ってはいけない。ランプという終末のラッパを片手に僕がパウパー界の抑止力として君臨する。それが僕に与えられた使命なのd――4枚めの《バジリスク門/Basilisk Gate》引かれて負け。

4枚引くのはズルない?

2-3

●6回戦 マルドゥブレードホーク

game6-1 ダイス負け
ランプ!除去!イニシアチブ!続唱!パワー!勝ち!

game6-2
相手のライフを3まで削るも、フルタップの隙を突かれてまとめて顔面に火力ぶち込まれて負け。
隙がデカいのは重量級デッキの定めとはいえ、あまりにもきれいに紙一重で一刀両断されると負けても気持ちいいな!

game6-3
相手トリマリで出遅れたところにデカブツ叩き込んで勝ち。
開始時点で残り時間が15分切ってたので「引き分けなんてダサいんでめちゃくちゃ急いでやりましょう」って言ったら乗ってくれてお互い超絶ハイスピードでプレイしたのとても良かった。遅延は悪。グッドゲーム。

3-3
なんとかイーブンまで持ち込んだ。ここまできたら勝ち越したい。やや出力が不安定だけど今日は遅いデッキばかりだからきっとなんとかなるはず!!

●7回戦 ブラッドバーン

\(^o^)/オワタ

ただでさえ通常のランプは赤いデッキが無理なのに、このランプは輪をかけて重量級。端的に言って無理である。
これまで運良く赤いデッキを回避してきたが、ここにきて最悪のマッチアップ。

game7-1
ぼく「ごめんなランプ、動物園だけじゃなくてもっとちゃんとお前と向き合えてたら、もっとお前のこと大切にできてたら、違う未来があったのかもしれない。ごめんな・・・」
ランプ「何諦めてんの」
ぼく「えっ」
ランプ「勝ちたいんでしょ?土地をたくさん引いて、アルティサウルスで気持ちよくなりたいんでしょ」
ぼく「・・・いいのか?」
ランプ「不器用なんだよね、君も私も。動物園ちゃんに妬いちゃったけど、でも今は確かに私だけを見ていてくれたよね。いいよ。土地、伸ばそ?」
ぼく「あぁ!!」

クロックのメインが生物だったのが幸いして、めちゃくちゃ都合よく土地を引いてブロッカーで時間を稼いでデカブツ叩き込んで勝ち。

game7-2
怒涛のドレイン地獄で死が見えるも、2枚しか入っていない《ムラーサの胎動/Pulse of Murasa》を2枚引くデレデレモードに入り相手の手が止まるまで耐え抜いてデカブツモードに入って勝ち。

まさかのストレート勝ち。これが・・・ランプの底力だ・・・!

4-3
中の上である。あとは上位30人が突然将来の不安に苛まれて投資信託とか個人年金について調べるためにドロップすればTop8に入れる。将来とか円安とか不安だよね。

●Epilogue

なおきち軍団ドラフトは白黒タッチ赤で1-2でした(報告)

本戦は4-3で37位くらい。
反省点?『24LandsRamp』なんだから土地は24枚にしないとだめだわ(当たり前)

ただなんだかんだ7回戦中ダイス5敗してるのに全ゲームメインは勝ってるのでデッキ選択はそれほど間違ってなかったように思える。マジで無理ゲーなカルレとも当たってないし。

ありがとう24LandsRamp。デカいは正義。胸も尻も身長もデカければデカいほど良いというのがこの世の真理なのであれば、マジックもまたランプが正義なのである。これからもランプ道を極めて行こうと思います。

まぁモダホラ3でもほとんど強化パーツもらって無いんだけどな!!!!

運営も参加者もお疲れ様でした!!!!!!楽しかった!!!!!

●おまけ

OONSにうまく巻かれた
NAOKICHIに言わせりゃ「ヘラヘラすんな」
KATOが言った「決めつけんな」
SUMMERに言わせりゃ「被害妄想のナンバー」

MATSUNES VISION

思いついてこの大会レポのどっかで使おうと思ってたけど使い所がなかったネタを供養する。


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