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「ええ加減」の魔法

人間は五感を持っている。
全体の意識から占める割合は次の通りである。

視覚: 83.0%
聴覚: 11.0%
嗅覚: 3.5%
触覚: 1.5%
味覚: 1.0%

教育機器編集委員会編 日科技連出版社 1972

あまりにも視覚だけが突出している。

かくいう私も、職場やクライアントさんでPCなしでは仕事にならないし、
帰宅してからはnoteを書く為にこれまたPCへ向かう。

それに加えてスマートフォンの閲覧など、
とにかく現代人は「見る」ことに関してそれはそれは、忙しい。


私は、頭ではこのバランスの悪さはとても良くないと思っている。
頭では。

そういうこともあって、
(嗅覚:3.5%、触覚:1.5%、味覚:1.0%)この3つの感覚を、
少しでも是正する為の方法として、自炊を心掛けようと思ったのだ。

毎日、とは言えない。
やっぱり外食は美味しいし、さっさと外で済ませた方がコスパ&タイパが
いいと思う時もあるから。

元来、不器用でめんどくさがりの私。
どちらかというと、厨房に立ってはいけない人間かもしれない。


そんな私に、料理というハードルをグッと下げてくださったのが、
料理研究家の土井善晴さんである。

土井先生は、一汁一菜(ご飯・味噌汁・漬物のシンプルな食事)という和食の基本であるスタイルを提唱されておられる。

「ハレの日」(非日常)のプロの料理と、日常の家庭で作るご飯が同義語になって、
「レストランや料亭で食べる料理を家でも作らないといけない」
という思い込みが料理の敷居を高くしていると指摘されている。


「おいしくなくて、ええんですよ。」
「ええ加減で、ええんです。」

土井さんの「ええ加減」とは、
料理と向き合う時に、他人の基準や設計主義に従うのではなく、自分の感受性を信じて決断すること。

できれば旬のものを材料として買ってきて、味噌汁を作るだけでも、
立派なご馳走になるんですよ、と。


ということで、自炊の時はみそ汁と、あとは買ってきたおかずを少々。
まあ、偉そうに自炊とは言い難いが、このスタイルで週3回、粛々と料理に取りくんでいる。

白菜、玉ねぎ、しいたけの味噌汁(涼平流)

正直、わざわざアップするほどの出来映えではないし、
到底、料理と呼べるものではないかもしれない。

しかし、まあそれなりに美味しく頂けているし、
作った後始末の時間を差し引いても、
自分で作ったという満足度、自己肯定感は、間違いなく上がる。

今日の晩飯は、自分でつくったんだぞ、と。


「ええ加減」
既存のレシピや固定観念に縛られず、自分の感覚や状況に基づいて
素材を調理すること。

そう思うと、味噌汁を起点として、
違った料理にも挑戦してみようかという気を起こさせてくれるのだ。
まさにこれは「魔法」である。

普段使っていない感覚を呼び起こす。

「ええ加減の魔法」は、単に料理をするというだけでなく、
私の五感・感性を養う、磨くことの強力なツールになっているのである。


ご一読ありがとうございました。
今日も書けるという喜びに、感謝。

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