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遺言書 元気なうちに準備(北海道新聞連載⑥)

遺産相続で重要な遺言書。

しかし、間違って認識されていることもあります。
今回は遺言書を書く上で、基本的な問題を用意しました。

Q 遺言書を書く前の準備として確認したほうが良いものの中で間違っているものは。

 
 ① 推定される相続人
 ② 財産の名義
 ③ 配偶者の財産




A 間違いは③です。

遺言書の大きな目的の一つは自分の財産の処分に関してです。
配偶者の財産の処分について書くことはできません。

離婚・再婚を繰り返し配偶者の異なる子などがいる、または連絡の取れない方がいる場合などは推定される相続人を調べておくことをお勧めします。

また自宅不動産が実は亡くなった祖父名義などになっていませんか?
ということで①と②は確認したほうが良いでしょう。

その上で、どの財産を誰に渡すか矛盾がないように整理してください。



Q 遺言書について間違っているものは。

 ①遺言書は一度書くと、書き換えることはできない。
 ②公正証書で残す。
 ③自分で書く。




A 間違いは①です

遺言書は何度でも書き換えられます。

公証人に遺言者が口頭で話して公証人に書いてもらう公正証書遺言書は、有効な遺言を確実に残すために適切とされています。

遺言者本人が全文、名前と日付を書き、押印する自筆証書遺言書もあります。それぞれに長所、短所はあります。



Q 「遺留分」とは、一定の相続人に対して最低限保証されている遺産の
取り分のことです。

例として…
Aさんの夫婦に子供はいません。
Aさんの両親は既に他界しています。
Aさんには弟と独身の妹がいます。
Aさんは「すべての財産を妻に相続させる」という内容の遺言書を作成しました。

Aさんの死後、妻は弟や独身の妹に遺留分を請求される可能性はありますか。


 ① 弟、独身の妹ともにある。
 ② 独身の妹だけある。
 ③ 弟、独身の妹ともにない。




A 正解は③です。

遺留分権利者は相続人のうち、配偶者、子などの直系卑属、父母などの直系尊属だけです。

独身かどうかにかかわらず兄弟姉妹やその子(甥や姪)に遺留分はありません。



Q では最後に、遺言書はいつ書きますか。


 ① 体調を崩し、気持ちも落ち込んだ時。
 ② 頭も身体も元気な時。
 ③ 認知症が疑われ始めたら、ただちに。




A  正解は②です。

正しい判断が出来るときに書きたいですね。


2015年(平成27年)9月2日(水曜日)北海道新聞掲載
「遺言書」

 この記事の後、自筆証書遺言は、財産目録に関する部分と遺言書の保管について変更がありました。

 一方、2018年の公正証書遺言作成数は11万件を超えていますが、自筆証書遺言使用するにあたって必要になる家庭裁判所での検認数は1万7千件という現実があります。
 ちなみに、2018年は年間136万人の方が亡くなっています。

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