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「いざという時」家族の困惑(北海道新聞連載⑱)

人生のいざという時のための「終活」。

「いざという時」が何時来るか分からないため、「そのうちに」と後回しにしがちです。
「いつか来るとは分かっていたが、まさかこんなに早いとは」「こんなに短時間に決めなくてはならないことが多いとは思わなかった」。

今回はそんなご家族の感想を紹介します。


●終末期医療

兄弟で意見が割れたが何らかの最終判断をした方のお話です。
「本当にこれでよかったのかと今でも悩み続けている。本人の希望はどうだったのか知りたかった」


●連絡先

病院から「ご家族に連絡を」と言われた時や、その後亡くなり葬儀を案内する時。

「誰に連絡をすれば良いのか分からなかった」
「名前は知っているが連絡先が分からなくて困った」
「親戚以外に、個人の親しい友人らが分からなかった」
とはよく聞く話です。


●写真

葬儀用にすぐに写真を、とせかされたが「どこにあるのか、すぐには分からず困った」
「何とか見つけたがこの表情でよいのか。他になかったのか後で悩んだ」
という方も。


●喪服

「しばらく着なかった自分の喪服は体形が変わりサイズが合わなくなっていた」
「子供たちに合う服が無くて急きょ用意した。大きな出費だった。」
こんな経験はありませんか。


●葬儀

親族の手前、あまり質素にするわけにもいかないが、さりとて華美に過ぎるのはと迷いながら何とか執り行った方。
周りからは質素に見えたらしく、親戚から「故人が浮かばれない」と不評を買ったそうです。
また「自分の家の宗派が分からなかった」という話も聞きます。


●現金

葬儀社、病院への支払いなどかかる費用をどうするか。
「カードで支払い出来るものもあるが、宗教者へのお礼など当座の現金が必要だった」という経験を語る方は多いですね。


●そして…相続

「どこにどんな財産があるのか分からず、家の中で手がかりを探した」
「通帳をいくつか見つけたが、他にもあるのではないか」
「遺産は本当にこれだけか。今でも探している。借金や保証人はないだろうかと不安は残る」

皆さんの悩みは深刻です。

「残された時間が少ないと分かった時に病室で聞こうかと思ったができなかった」と打ち明ける方も。

財産の記録を残しておくことの大切さを痛感します。


2016年(平成28年)10月5日(水曜日) 北海道新聞掲載
「終活」


いざという時、適切な判断ができない状況で、短時間に決めなければならないことが多いです。
適切な判断ができる時に準備しておきたいですね。

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