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始原図で読む日本の本質と未来【マンデン占星術】

今回は占星術で王道の話、マンデン占星術です。

個人のために占星術を使ってきた私ですが、近年は国家や社会を占うマンデン占星術についても少し語るようになりました。

今回はご質問いただいたので、色々な意味でタブーが多い日本国のホロスコープチャート考察に踏み込みたいと思います。

超長文です。目次を使って読みたいところから読んでください。日本の各種始原図まで無料公開しています。


マンデン占星術とは

まずは基本から。

「マンデン占星術」または「マンデーン占星術」とは、国家や団体など大きな集団の命運を占う占星術のことです。
現代の一般的な説では、占星術はかつてこちらしか存在しなかったと言われています。

実際に中世の欧州では国家を占うためにのみ占星術が使われ、個人を占うという発想すらなかったとか。個人を占うようになったのはフランス革命以降、個人の権利が力を持つようになってからだそうです。
このため極端な占星術師の先生は「占星術で個人を占うのは異端だ。やめるべき」などと主張されていたりもします。

私は古代から王様や貴族など個人を占うほうが主で、彼らの投影として領土を当然に占ったのだと考えていますが。東洋がそうであったことを考えると「占星術が個人の占いとして用いられたことは絶対にない」と主張するのは不自然と思います。

まあこの議論は今回のテーマではありませんので話を進めます。

国家成立日時が定まらないことがある

マンデンで国家を占うためには個人を占うときと同じく、“出生時”つまり国家成立日時のホロスコープを作成する必要があります。

実はこれがわりと大変で、国によっては成立日時の認識がはっきり定まっていないことがあります。

典型が日本国ですね。
古代日本成立から明治維新を経て、世界大戦での敗戦と占領、復帰に新憲法の発布など……様々なことがありました。
それぞれの時点で国家成立を主張する方がいらっしゃって、しかもイデオロギーの争いも絡め攻撃的になる人もいます。
それで日本の始原図を語ることは何かと面倒だったりします。

だから私も長年この話題を避けてきたのですが、今回はnoteの有料設定を使って踏み込んだ話を書いてみようと考えました。

どの時点を国家の始原図とすべきか

図を示すまえに私の考えを書いておきますと、始原図は国家が本質的に変わった時点を基準に作成すべきと思います。

ただ難しいのは「国家が本質的に変わる」という定義です。

国はいつ“本質的に変わる”のでしょうか?

王朝が変われば新たな始原図が必要

国家を人にたとえるならば、土地は“肉体”
そこに生きる人々の意識こそが“魂”と言えます。

この国家の魂は国体意識・文化と深く結びついています。
つまりその土地に住む人々の意識で国が続いている認識があり、文化が継承されているなら同じ国と言えます。ただし前の国が滅ぼされ体制が変わり文化が否定されたとき、「別の国になった」と言えるでしょう。

もう一度人間にたとえると、土地は外身をあらわす肉体のようなもの。もちろんその外身の物質的な制約に縛られる個性はあります。しかし中身、魂が入れ替われば違う行動をして必ず違う性格になるでしょう。
本質は魂・中身だからです。

ほかの霊魂に憑かれて体を乗っ取られた時のことを考えてください。それは見た目は同じでも、もはや以前と同じ人とは言えませんね。魂が入れ替われば“別の人”です。
(人の場合もし魂が入れ替わったことが明白に分かったとすれば、憑かれた時点でネイタルチャートを再作成することになると思います。あまりそういう事例はないですが)

国家もそれと同じで、中身である人々の意識が変われば別の国家と定義されます。

革命とは「命を革める」、国の魂が入れ変わる

中華大陸で考えれば分かりやすいでしょう。

漢語で「革命」とは「命(めい)を革(あらた)める」という意味です。
“命”は天からの命のこと。また私は国家の生命のことも指していると思います。
王は地を治める役目を天の代行として担います。
しかし王が民を虐めるなどして、役目をきちんと果たさなければお役御免となります。すると天は命令を革め別の者に統治権を与えます。これが「革命」の本来の意味です。
(現代の「暴力テロ」という意味での使い方は誤り)

革命で王朝が変わった時点で命が変わっていますので、客観的に“新たな国家”へ変わったと言えます。だから中華の場合、革命後の新国家が成立した時点を基準として新始原図が作成されます。

たとえば現代中国などはヨーロッパ発祥の共産思想に支配され、文化も根本から破壊しているのだから「漢民族の国家」を名乗る資格は全くないと言えます。
同じ土地に住んでいても、盗賊は王朝の歴史を継承しません。だから現代中国が数千年の歴史継承者を名乗るのはおかしなこと。実際はほんの70数年ほどの歴史しかない国ということになります。

【筆者別館】現代中国始原図


世界最古の国家だから難しい、日本の始原図

いっぽう日本の場合は、万世一系の天皇を戴く世界最古の国家が継続しています。これは素晴らしい奇跡です。

ただその天皇のもとで体制が何度か入れ替わり、近代では民主主義も取り入れるなど、国のありようは時代ごと様々に変化してきました。
国としては継続していますので古代の始原図もまだ少しは有効でしょう。でも完全に“古代始原図だけ”で読むことができるほど、現代日本という国は単純ではないと感じます。

やはり日本でも体制が変わるごとに、古代国家へオーバーラップするように新たな始原図が重なってきたはず。
特に近代日本は明治維新と太平洋戦争後で大きく変わりましたから、変わった時点の始原図を中心に読むのがベストと私は思っています。
そのうえで古代始原図も読めばより完璧になるのでしょう。

何よりこんなふうに多重の視点で眺められることこそが「日本」という国の個性と言えます。

歴史文化を消さない、重ねていく。
まさに八百万(やおよろず)の神々が集う国です。


日本の始原図、重要候補


では前項の観点から日本の始原図候補をピックアップしていきます。時系列です。

1.古代日本始原図

AstroDienstで作成、以下同じ

あくまで伝説ですが、記紀において建国の日とされている紀元前660年2月11日で作成した始原図です。(明治時代にグレゴリオ暦へ変換されているためそのまま設定します)

美しいクレイドル(揺りかご型)のアスペクトを持つホロスコープで、高い調整力を持ちます。どのような危機もバランス感覚で切り抜けると言われています。
まさに「和をもって貴しとなす」※の国! 符合に驚いてしまいます。

※「以和為貴」十七条憲法、聖徳太子による国是。もとは『論語』で孔子。

なんとなく正午のASC双子座はしっくりこないので、0時の図も上げておきます。個人的にはこちらのほうが奥ゆかしい日本らしいと思います。


2.大日本帝国憲法の公布-施行

日本の始原図として使われることが比較的に多い、明治22年(1889年)の大日本帝国憲法発布(公布)のホロスコープチャートです。
憲法公布日を始原図にするのは議論ありますが、2月11日ということで古代日本建国の日が意識されていることが明らかですから、この時点を大日本帝国の始原と考えるのは理にかなっています。

見事なグランドトライン、MCに太陽が近付く美しさと力強さを兼ね備えたチャート。国力隆盛の願いが篭められています。

ただし上の図は憲法発布式が始まった午前10時に設定したものです。
おそらく明治天皇が発布の詔勅を出されたのは午前10時半頃で、その場合は太陽が10室に入るより完璧で美しいチャートとなるのですが、あまりにも人工臭が強過ぎて嘘っぽいため式典の開始時点に設定しました。

中華人民共和国の始原図などと照らし合わせて考えると、占星術師が計算し計画されて実行された時点は意味を持たず、たとえば「式典の開会時点」など本来あるべき始まりの時点が有効となると思われます。

なお憲法施行の始原図はこちら。
射手座の強いチャートで戦争を象徴しています。戦闘力の高さも現れていますね。Tスクエアが重なることからその後の大日本帝国の苦境を暗示してもいます。
まさにこの施行日チャートこそ、現実の大日本帝国の歴史を表しているようです。
公布日は「理想」で施行日が「現実」という感じでしょうか。


3.日本国憲法の公布-施行

昭和21年(1946年)日本国憲法公布のチャートです。現代日本の始原図として時々候補に上がるチャートですが、私はあまりピンときません。
おそらく以下の憲法施行図のほうが現実の日本を表しているでしょう。

私は何故かずっと「日本は蟹座の国」と思ってきました。理由は後述します。
その考えを裏付けるのがこのチャートです。
日本国憲法施行の式典が始まった時刻はASC蟹座。国家の場合も個人と同じく、太陽ではなくASCこそ“魂”で本質と思いますのでこれが妥当ではないかと感じます。

参考までに。
【筆者別館】アセンダントはその人の魂・本性

なお時間を詳しく考察しますと昭和天皇が式典に臨席した10時55分を始原図とする占星術師も多いそうですが(この場合はASC獅子座となります)、私は上図のほうがその後の日本を正しく表していると感じます。
やはり2で書いたように式典が関わる始原図のチャートは開会時刻で見たほうが良いようです。

4.その他の始原候補

きりがないのでこの他の図の掲載は省きます。
他に日本の始原図として占星術師たちが挙げることが多いのは

・終戦記念日(1945年8月15日)
・ポツダム宣言受諾日(同年8月14日)
・日本国憲法成立日(1946年10月29日)
・サンフランシスコ平和条約締結日(1951年9月8日)
・サンフランシスコ平和条約発効日(1952年4月28日)

などとなります。

あまりに多過ぎて混乱しますね。
それぞれに根拠はあると思いますが、今回は分析を控えます。

【本題】始原図から読み解く現代日本の本質

ここからは私の考察を書きます。きわどい話が多くなります。

現代日本の本質を表す星座

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