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ガンガゼの棘を抱いて:0139


 夜中とび起きて、眠れなくなった。

 時々眠ると身体中がむずむずする。シーツの擦れさえも忌々しくて、痛いのと痺れるのとがごちゃ混ぜになって頭に押し寄せてくる。感覚過敏と、名前は分かっていても、やはりつらい。

こういう時は、心の中で一緒に横になってる友人とくだらない話をするに限る。

『ガンガゼって毒があるよね。ウニとよく似てるけど、ウニはどうして毒がないの?』
と聞かれたから、仮説を話し合って明日調べることにした。

 ガンガゼとウニってなんかちがうよね。あれ、棘が長いのがガンガゼ?ガンガゼって食べられるのかな?毒があるから無理なんじゃないか?毒って針から出てくるの?身にも毒詰まってんの?


 ウニについて聞かれたのに、ガンガゼのことばかり考えてしまった。
 体がビリビリして、棘だらけになってるような気分だからかもしれない。
 図鑑でうっすら覚えている脆い棘が体からつんつん生えている。
 痛みの波にさらわれないように、岩の隙間に入り込んでいる。

 そんな空想に二人してふけっていると、眠気の波がうつらうつらやってきた。
 水底で棘をゆらゆらさせながら、水面の月明かりを見ている夢が、瞼の裏に映っていた。

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