障がい福祉の水商売化


福祉の客は利用者


どの仕事にもお金を払ってくれるお客がいる。
福祉法人の場合は利用者が来ることによってお金をもらう。
財源は国。利用者が来ることによって国からの補助金を得る。
例えば一人来ると3000円、月にその人が20回くると60,000円が法人に入る。
つまり利用者が毎日きてくれるのが大事になる。

そのため利用者が毎日来たくなるように楽しませなければいけない。
美味しい昼食、優しいスタッフ、怒られない環境、楽しいイベント、
難易度の低く成功率の高い作業…
これらは果たして障害者の成長のためになっているのか。

彼らはこの環境に依存し、社会との壁を自ら高いものにする。
障がいとは生まれつきなのか、社会によって作られているのか。
早い段階で気づくことができなければ自立と現状満足のレールは
並行を崩し、近づくどころか離れていく。

暴力事件に発展しそうな時にも


時に利用者が怒りや悲しさから刃物を持ち立てこもったり、
逃げ出すことがある。
しかし、ほとぼりが冷めた後、彼らは怒られることが少ない。

怒られるのは近くにいた、あるいは担当のスタッフになる。

なぜその利用者がそのような問題行動をとったのかを
上長から問い詰めら対応方法を職場で考えていくことになる。

たまたま、家で嫌なことがあったかもしれない、
自分の思い通りにいかなかったかもしれない。
そんな個人的なささいな問題が原因だったのかもしれない。

そんな周りの人間では解決が難しい事柄に巻き込まれ、
スタッフはこき使われ、体力と気持ちをすり減らされ、
辞めていく。

福祉のスタッフが入れ替わりが早いのは、
他人の問題の濡れ衣を着せられるというのも大きな問題だと思う。
なぜ問題を起こした利用者の原因が一番近くのスタッフが負わなければいけないのか。
障がい福祉に関わらず私たち人間は「他人の問題を解決する義務」はない。

水商売と福祉の違い


福祉のスタッフが辞める。すると新人が入ってくる。
最近では人手不足から未経験や資格不要は当たり前である。
元気があってイベント企画が得意で楽しませたい気持ちがあればよいのだ。

新人は各利用者の性格や過去の問題行動を教えてもらう。
その時対応方法も教え込まれるがその時点で、その法人の対応の方針などを叩き込まれる。
そこからは先ほどと同じだ、問題行動は起き、教えた対応の方針を少しでも間違えれば
𠮟咤され大抵は3年前後で辞めていく。
法人としては10年級の支配側スタッフと3年前後の初心者スタッフに
分かれることになる。
中間層は少ない。

そして問題行動を起こした利用者は
「いいんだよ仕方ないよ」「次から気を付けようね」
と優しく接してもらい事業所に何十年と通い続ける。

高給ならまだ仕事として飲み込んでスタッフは続けるかもしれない。
だが福祉のスタッフは給料が安い。そこが水商売との大きな違いである。
それでも福祉スタッフを続けるのは自分は人助けをしているからいい人である。
世間に大きく貢献している。
そういったモチベーションが絡んでいるようにも思える。
不倫などした芸能人が禊のため福祉ボランティアをするのは
良い人アピールが福祉だとやりやすいためでではないか。

ただ、もし仮に福祉が高給だとして、高給だから続けるスタッフも
人としてどうなのだろうと思う。
働くスタッフ本人もそう思うことを期待したいが、給料日の後の
少々の贅沢な食事や買い物が一掃して忘れさせてしまうのだろう。

水商売と福祉のあるべき姿とは

以上のようなことを繰り返していても利用者は成長しない。
何十年も同じところに通い続け、家と事業所の往復のみになり、
歳を重ねることにチャレンジ精神も無くなり法人に囲い込まれる。
障害とは皮肉なことに福祉によって助長されている。

世間との壁は、いつも楽しませてくれる事業所のおかげで高くなる一方で
自立とは縁が遠くなり、さらに世間や地域から孤立する。

孤立すれば事業所の安定した給与源になり、お互いに
灰色のwin-winになり続ける。

通所する福祉サービスは障害の程度にもよるが
一生通い続けるものではない。
そこは社会へのスタートであって、自立を支援するものだ。
自立の定義については後日述べたく思うが、法人は囲い込むべきではない。

我が法人の実績を鼻高々に話し、これを気づかずに働いている事業所が
なんと多いことか。
この悪いループに気づいて声を上げない事業所がなんと多いことか。

代案を示せるものはないが、今の福祉の制度、生活保護制度、精神薬では
このループからは簡単には抜け出せないだろう。
個人的な脱出劇になる。

通所する利用者を客とみなすのはよくないかもしれないが
接客するものも客も成長しなければいけない。お客様は神様でもなんでもない。
それは他国が日本人を奴隷にするための広告塔となった著名人が発した
刷り込みのキャッチフレーズだ。

水商売もそうではないだろうか、客を育てなければモンスターになる。
本当のコミュニケーションや恋愛を学び、客も働く人も成長し続ける関係で
ありたいはずだ。金を払えば何でもありの、何でも買える世界ではない。

あえて言い換えるなら、お客様もあなた自身も神様なのだ。


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