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みんなでいちごつみ企画

綴さんが企画してくださった、「みんなでいちごつみ」という企画に参加させていただきました~!

まずはいちごつみをさせて頂いて詠んだ自分の短歌の説明?背景?をつらつらと書いていこうかなと思います。

都会では星の光も人工の銀河に紛れ産声上げる

碓氷さんの短歌より、「星の光」をいちごつみしました。
碓氷さんの短歌を最初に見たとき、とても透明感がありながら結句の「(覚めてしまった)」で少し悲しく寂しい雰囲気があって、星が組み込まれているのに深海のような短歌だなと思いました。

そのファーストインプレッションから「星の光」をいちごつみしようと心に決めたのですが、残念ながら東京生まれ東京育ちの私はそこまで星を見たことがありません。じゃあそのままの歌を詠めばいいんじゃないかな、ということで完成しました。

夜の都会は高層ビルや高層マンションが多く、そこで働いている人や暮らしている人による電気で空が埋め尽くされることがあります。
そんな中ではもちろん星なんか見えなくて、大きな宇宙の中に生まれた星は蛍光灯やLEDの光に消えてしまうのかもしれないな、なんて歌です。

シチューには煮崩れしないメークイン未熟な僕に頼りない君

独活部さんの短歌より、「シチュー」をいちごつみしました。
シチューとマフラーですごく悩んだのですが、食べ物を短歌に組み込むことってそんなにしてこなかったな、と思ってシチューに決めました。

皆さんの家のシチューって何が入ってますか?
我が家はカレーにジャガイモを絶対に入れないかわりに、シチューやクラムチャウダーにしっかりめのジャガイモを入れるんですよ。なので、私の中ではシチューに入っているジャガイモは固くて歯ごたえがあるイメージでした。

シチューには崩れないようなメークインがいいだろう、じゃあ私には?という意図で詠んでいます。
ただ日本語の面白い所で、「シチューにメークイン&僕&君」なのか「シチューにメークイン、僕に君」なのかが人によって分かれるような構成になってしまいましたね、、どんな風に読んでもらってもいいかな、という気持ちです。

ばかでかい入道雲を見つけては夏を名付けるローカルルール

鷹野しずかさんの短歌より、「ばかでかい」をいちごつみしました。
空港の短歌だったのですが、これより上手い空港の短歌詠めない…!と思ってしまい、ひよって次に目についた「ばかでかい」にしてみました。
こういう砕けた感じの言葉を短歌で使ったことがなかったので、いいきっかけになりました。

”でかい”ではなく”ばかでかい”。じゃあ人間が到底かなわないようなものがいいなと思って、ふと高校の理科の宿題を思い出しました。
入道雲を2日間以上観察する、という謎の宿題だったのですが、結構楽しかったのを覚えています。
入道雲って雨が降る前兆とか言われていますが、実際に降っているのを見たことないんですよね。上昇気流と小さな水滴でできた夏の象徴は自分の存在を知られないまま消えていくこともあるのかしら、なんてセンチメンタルな気持ちになったときに詠んだ歌でした。
ちなみにBGMは嵐の「夏の名前」でよろしくお願いします。

身体ごとしずむ夜にには炭酸の刺激と泡を泪に変えて

うめおさんの短歌より、「刺激」をいちごつみしました。
わたしもジェットコースター好きなので、いちごつみしたかったのですが、なんだか詠みたい歌にならなくて、悶々としていたときに「あ、わたし炭酸も好きだな」と思って詠み始めたらスイスイ作れてしまったので、この歌で提出しました。いつかジェットコースターでリベンジしたい!

炭酸って苦手な方も多いのかな~という印象なのですが、私は大好きなので、毎晩甘くても甘くなくてもソフトドリンクでもお酒でも1杯飲んで寝るのがルーティンになっています。
特に涙が出るほど強い炭酸(ウイルキンソンとか)が好きで、死ぬほど疲れた日によく飲むのですが、もしかして泣きたかったのかな、と思う日もあります。
口いっぱいにはじける炭酸、乾いた喉を刺す刺激、キンキンに冷えた液体が食道を通って流れる感覚。力の入った身体を緩ませるために、そのすべてをトリガーとして求めているのかもしれないです。

地獄にもユートピアにも行けなくてゴーストになりきって彷徨う

しまさんの短歌より、「ゴースト」をいちごつみしました。
しまさんのブログを拝見して初めて知ったのですが、このゴーストってレンズによって引き起こされる光の像のことだそうです。完全に霊的な意味で受け取ってしまい、ひとつ賢くなりました。

ところで皆さん、今幸せですか?(宗教?)
私はありがたいことに死ぬほど不幸だと感じたことはないのですが、生きずらい世の中だなと思うことはありますね、さすがに。
でもこの世から逃げる術ってなくて、耐えられない時は誰にも気づかれないように息をひそめて生きているときってないですか?そんな意味で使ってみました、「ゴースト」。”なりきっている”だけで”なれて”はいないけど、そうやって誤魔化しながらこれからも生きていくし、みんなも生きているんだろうなと思うと、ひとりじゃないからいいですね。

今世ではいっとう好きな君の音僕の命のアウトロにして

風林さんの短歌より、「アウトロ」をいちごつみしました。
初めて短歌を見た瞬間から「絶対アウトロをいちごつみしよう!」と思ったのですが、この単語を選んでいるのが私だけで意外でした。

風林さんの短歌がアウトロ→次が分かるという始まりを感じさせるポジティブな歌だったのに、なんだか暗い歌になってしまったのが反省点です。
最初は「君の声」だったのですが、一緒に暮らしているときの生活音や抱きしめたときの心臓の拍動、無意識の鼻歌とか、人が覚えていたい音は声だけじゃないな、と思ってギリギリで変更しました。
人が最初に忘れてしまうのはその人の声だ、という説は結構好きなのですが、今回は人が亡くなる時に最後まで残っている五感は聴力だ、という方の説を前面に押し出しています。
BGMはKinKi Kidsの「星見ル振リ」です。

「さよなら」と笑ったキミの眼が泣いて罰の代わりの烙印と知る

綴さんの短歌より、「笑った」をいちごつみしました。
蟹!とおもったのも事実ですが、珍しく動詞で行けそうな気配がしたので、こちらをチョイスしました。

天邪鬼なのか、”笑った”を入れるとなると泣かせたくなりますね。
別れっていろんな種類があると思うんですけど、笑顔の別れが一番精神的に辛いような気がします、特に恋愛の別れだと。
今回の短歌は、自分の浮気が原因で別れたとき、みたいなイメージなんですが、最後の瞬間に笑顔で別れを告げられたら、しかも自分のしでかしたことが原因で相手が悲しんでいるのだとしたら、一生忘れられないんじゃないかと思います。なので記憶に”烙印”を押されたイメージです。
罰を与えられるのではなく、許されるわけでもない、そんな短歌になりました。


さて、ここからはわたしの短歌からいちごつみしてくださった皆さんの短歌です!
個人的にキーアイテムだった「口紅」を選んでくださった方が多くてうれしかったです。

>鷹野しずかさん
”運命じゃないのに”という入りがめちゃめちゃよかったです…。「触れて」から「痛いね」に繋がる感じ、ちょっとハリネズミのジレンマっぽくて好きでした。誰と触れ合ったって痛い部分はあるはずだけど、運命じゃなくても、痛くても一緒にいることを選んだ二人、という印象でした。
ありがとうございました!

>綴さん
”外さないマスク”が今のご時世をあらわしていて、確かに…!と思いました。口紅の色で”君”をどう思っているのか、どんな声色で呼んでいるのかの想像が膨らんで上手い!!!と唸ってしまいました。コーラルピンク、初恋な感じがしてかわいいですよね。
ありがとうございました!

>風林さん
ルリビタキ、緑、口紅と色鮮やかな短歌!
”私のために”という単語が意味深ですね。自分のためか、相手が”私”のために引いてくれたのか、どちらにしても選んだ口紅一つにも意味があったのだろうな、と感じさせる短歌です。これは勝手なイメージなのですが、選んだ口紅はきっと鮮やかできれいな赤色なんだろうなと感じました。
ありがとうございました!

>しまさん
”直せちゃったの”の余韻が…!口紅が”よれかけた”という表現で、この女性(男性かも)が疲れ切っている様子がうかがえて、それでも”塗り直せる”ってことは、そんな自分を取り繕うことに慣れているのかな、と思いました。大人でいること、大人になってしまったことが時には足枷になる雰囲気を感じてます。
ありがとうございました!

>うめおさん
”謝罪の言葉”が”生ぬるい”のすごくないですか!?
”渡された”ってことは誰かから謝罪を受けたってことだと思うんですけど、口先だけの言葉だったんですかね。”やっぱり””また”という言葉から、今までもそうだったし、今回もそうだと分かってる、そんな諦めが感じられて自分の詠んだ”生ぬるい”とは違った雰囲気で面白かったです。
ありがとうございました!

>碓氷さん
口紅が”鎧”になるの、めちゃめちゃ分かる~!
ちょっと気合を入れたい日とか強い自分でいたいときって、濃い化粧にしたり高い化粧品使ったりしますよね。そんな日を”戦い”と表現するのも素敵だなと思いました。そうです、私たちは常に戦うために化粧しているんです。敵は誰だか、いるのかもわからないけど。
ありがとうございました!

>独活部さん
”縁側”という入りで情緒が一気に出るのすごいな。”スイカがぼくを流れる”という言葉の使い方、さすがだな~と思いました。勝手なイメージで、
”あの人”は年上のあこがれの人、なんなら初恋の人なのかなと思いました。ただのスイカじゃなく、”あの人”と食べたスイカがこれからの”ぼく”を構成していくの、いいですね~。
ありがとうございました!


普段はアイドル短歌をよく詠むので、日常短歌とはまた違った今回のようなスタイルはすごく新鮮でした!
今まで企画に参加したことはなかったのですが、すごく楽しかったのでこれを機にいろんなことに挑戦してみようかな、と思えました。

これは個人的な反省点ですが、提出したものを含めてなんだか全体的に暗めの短歌が多くなってしまいました。なんでだ、その時の精神状態なのか。
皆さんの短歌が素敵すぎて未だにこの中に自分の短歌が並ぶのが恥ずかしいのですが、伸びしろということにして次回の自分に期待したいと思います(笑)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
また次の機会があればよろしくお願いします!!

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