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祖母のオムレツ

祖母が作ってくれた料理で一番思い出に残っているのがオムレツ。

今、「大好物はなんですか?」と質問をされたら間違いなく「オムライス」という答えが浮かびます。
オムレツではなくオムライスではありますが、祖母が作ってくれたオムレツが大好物のルーツになっているのは間違いないです。

我が家からほど近い場所に高速のサービスエリアがあり、昔そこで仕事をしていた祖母が覚えたレシピで作ってくれていたのだそう。

記憶に残るのは、好き嫌いの多い私(と弟)が野菜もちゃんと食べられるようにと玉ねぎ、ニンジン、椎茸をそれはもう細かく丁寧に刻んでくれていたこと。それらを挽き肉と共に炒め、たっぷりの卵で包み、仕上げにケチャップをかけたオムレツ。
とにかく美味しくて、苦手な玉ねぎとニンジンも全く気にならず食べることが出来た。

今考えてみれば、その当時にオムレツを作ってくれるなんて随分とハイカラだったと思うし、孫達が喜んでくれるだろうという祖母の思いと優しさがたっぷり詰まった献立だと思います。
野菜のみじん切りなんてめちゃくちゃめんどくさいのに、きっとそんな労力なんて気にもせず作ってくれていたのだと思う。そういう祖母なのです。

だというのに、私はかつて「またこのオムレツ?もう飽きた」と言ってしまったことがあるのです。

その時の祖母の顔は記憶にないのですが(なにせ当時の私は何も考えていなかったので、自分の発言に人がどんな顔をするかなんて気にしたこともなかった)怒られた記憶もないので、何も言わず黙って違うものを出してくれたんだろうと思います。
もしくは、これは私の予想ですが、「そんなことを言っても今日はこれしかないからね」と言われてそのまま食べたかもしれません。

どちらにせよ私の発言は最悪最低、自分の事ながら怒りに震えます。

今ならば、その言葉を言われた祖母の顔が手に取るようにわかります。
それはもう悲しく寂しい顔。
忙しい中で手間のかかる料理をがんばって作ってくれたのに、孫に酷い言葉を言われ、どんなに辛かったか。
私が何を言おうと怒ることはしなかった祖母なので、辛い気持ちをそっと堪えるだけ。
そういう事の積み重ねがストレスを生み出し、結果祖母が癌を患ってしまったのだと思う。
本当にごめんなさい。

とてもとても美味しいオムレツを作ってくれたのに。

感謝の気持ちを伝えるどころか「飽きた」だのと酷い言葉を浴びせて。

前の投稿でも書いている通り、オムレツの件だけでなく何においても、私の為にと頑張って色々な事をしてくれていた祖母に対してことごとく酷い態度をしていた私。
本当に祖母は辛く悲しかったと思う。

どれだけ後悔しても反省しても許される事はありません。
何度お墓や仏壇の前で泣きながら謝っても許される事はありません。

それなのに祖母はずっと優しく見守ってくれているのです。

それに対する感謝の気持ちと今までの悪い態度の謝罪はどうしたら伝わるんでしょうね。

ごめんね、おばあちゃん。
こんな孫なのにずっと愛してくれて、ずっと見守ってくれてありがとう。




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