迷走する中国共産党

■攻勢に出るアメリカ
 アメリカの中国共産党への外交攻勢は止まらない。中国共産党が進める一帯一路の要であるイランに対し、イスラエルとアラブ首長国連邦の国交正常化を仲介。さらにアラブ首長国連邦には、ステルス戦闘機F-35の売却まで予告された。これで中東の軍事バランスが崩れ、イランの立場を悪くする。

 アメリカは8月19日、香港国家安全維持法への制裁として、香港への容疑者の身柄の引き渡し・免税などの3つの優遇措置を除外したことを公表した。トランプ大統領が米中貿易協議を中止すると、中国共産党は数日以内に開催すると公表。だがアメリカ大統領首席補佐官は18日、新たな協議は予定されていないと発表。最近はアメリカの攻勢と中国共産党の迷走ぶりが先鋭化している。

■貿易潰し
 中国共産党が進める一帯一路は陸路と海路の経済圏。ウイグルは中国側の出入り口に位置する要。人間の体で言えば肩に相当する。イランは陸路と海路が合流する要の国であり、肘に相当する。
  
トランプ大統領はウイグル人権法を成立させ、中国共産党から利益を奪う制裁を行っている。これは中国国内の経済だけではなく、一帯一路まで含んだ強烈な打撃になる。何故なら、ウイグルを中継する一帯一路の陸路は、ウイグル人権法を適用させれば遮断可能。

一帯一路の陸路と海路が合流するイランは、ヨーロッパと中国の中継地点。イスラエルとUAEは犬猿の仲だったが、アメリカの仲介で国交正常化した。さらにアメリカは、UAEにステルス戦闘機F-35の売却を予定。実現すれば、中東の軍事バランスが崩れてしまう。

ペルシャ湾で戦闘が発生すれば海上交通路が遮断される。これは今の世界経済には打撃だが、同時に中国共産党の一帯一路も遮断される。さらに戦闘でイランが敗北すると、海上交通路は復活するが一帯一路は遮断されたまま。

人間同士の戦闘に置き換えれば、肩と肘を破壊して相手の戦闘能力を奪うことと同じ。相手の体は無傷だとしても、肩と肘を破壊することで攻撃手段を奪うことになる。一つの破壊でも十分だが、アメリカは二段構えで破壊を狙っている。

だが中国共産党には、まだ腕が残されている。それが香港。香港はアメリカから免税などの優遇措置が与えられていた。だが中国共産党が香港国家安全法を適用したことで、アメリカは制裁を行った。香港が金融市場で価値を低下させれば、中国共産党が得る利益は低下。さらに貿易の抜け穴として使うこともできない。

■迷走する米中貿易協議
 中国共産党から米中貿易協議を破棄することはできない。何故なら中国国内の食糧生産は低下続き。これは急速な近代化を行なったが、農業の近代化を怠ったことが根本的な原因。農業従事者が工業に移動したなら、人間だけでは食糧生産は低下する。これを補うのが農業の機械化。

 これはイギリスが産業革命を成功させてから続く基本。戦前の日本は明治時代から急速に近代化した。だが農業を捨てた近代化だったので、欧米がブロック経済を行うと対応できなくなった。

 中国は広大な土地を持ち、基本的には自国だけで食糧生産可能な国。だが砂漠化と生産低下で、外国からの食料輸入に依存する国になった。これは致命的で、戦前の日本と同じく食料不足が弱点になった。

 農業の機械化は容易ではなく、政府が30年計画で支援しなければ対応できない世界。これを放棄して外国からの食料輸入に依存。その結果、アメリカからの輸入が中国共産党の生命線になった。つまりアメリカが、中国人民の胃袋を握っている。さらに言えば、アメリカが中国共産党生殺与奪権を握っている。

 さらに悪いことに中国は厄災続き。ツマジロクサヨトウ・アフリカ豚コレラ・イナゴ・サバクトビバッタなど食害続き。さらに武漢ウイルス(COVID-19)・大規模水害で生産・輸送は停滞。中国国内の食糧生産低下は明らかだから、アメリカ頼みは避けられない。だから中国共産党から、米中貿易協議を破棄できない致命的な問題を抱えている。

 そんな時に、トランプ大統領は武漢ウイルス(COVID-19)対策で中国共産党を批判。これを理由にトランプ大統領は、米中貿易協議を中止する発言をした。だが中国共産党は怒るどころか、数日以内に開催すると公表。だがアメリカは、即座に開催予定は無いことを発言。中国共産党は明らかに迷走しており、しかもアメリカ依存を明らかにした。

■軍事行動まで迷走
 中国共産党は人民解放軍の方向性まで迷走している。主戦場は太平洋・東シナ海・南シナ海・印度洋なのか曖昧なのだ。これは軍事演習の場所で推測可能だが、兵站を維持できる海域で演習をしていない。端的に言えば行きあたりばったり。アメリカ軍と台湾軍の動きに合わせて演習を行うだけ。

だが最近では、その軍事演習すら行われなくなった。本来であれば軍事演習で威嚇を行い、外交が優位になる様に行うのが基本。外交を支援するだけの軍事演習が行われないならば、アメリカに対する外交は効力を失う。国際社会では軍事を背景にした外交が基本だから、今のアメリカには脅しにもならない。だからアメリカは強気の外交を連発できる。

■決断できない中国共産党
 中国共産党の指導者は習近平。だが最近の中国共産党を見ると、集団指導体制に移行している様に感じる。仮に習近平が指導者ならば、本人が公式発言してリーダーシップを発揮する。だが最近は明確なアメリカへの公式発言が無い。

 集団指導体制ならば、多数決による安全第一の対策になる。この場合は現在の状況に対応するだけの多数決だから、未来を見据えた戦略は存在しない。ならば今の中国共産党は集団指導体制であり、逃げ支度をしている負け組と言える。ならば習近平は、海外逃亡を準備しているはずだ。

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