恫喝外交が失敗する中国共産党

■恫喝する中国共産党
 中国共産党は武漢ウイルス(COVID-19)と台湾問題を抱えている。オーストラリアが中国で武漢ウイルス(COVID-19)の調査を求めれば反発し、オーストラリアからの大麦輸入停止で脅す。フランスには台湾への武器売却中止を要求。

 中国共産党はアメリカにも恫喝するが、アメリカからの食料輸入が停止すると、困るのは中国共産党。それでも見境なく世界を脅し続けている。

■フランスの優雅な回避
 フランスは25年前に、台湾海軍向けにラファイエット級フリゲートを売った。台湾海軍は近代化改修目的で、フランスから約28億6000万円規模の取引を行うことになった。公には6隻規模の近代化改修だが、中国共産党には不満。

 中国共産党は毎年最新鋭の駆逐艦を建造していると豪語しても、台湾海軍の25年前の軍艦と近代化改修で怒る程度。中国共産党は5月12にフランスに対し、「中仏関係を損なう可能性が有るから、台湾への兵器販売契約を破棄するよう」に要求した。

 中国共産党から見れば、台湾と仲良くすることが気に入らない。中国共産党はフランスに対し、「中仏関係を選ぶか、台湾との関係を選ぶか?」と脅した。これは回りくどく、「フランスとの貿易を中止するぞ!」と脅したことになる。

 フランスは5月13日、中国共産党に対して返答する。フランスは一つの中国を尊重していると返答し、さらに武漢ウイルス(COVID-19)パンデミック対策に全力を傾けるべきと返答。フランスは中国共産党の原則とパンデミック対策を持ち出し、恫喝を優雅に回避した。

 政治と経済は別物で、政治は国境が有るが経済には国境が無い。ナポレオン戦争(1799~1815)の時代でもフランスとイギリスは政治的に対立していたが、経済では裏で貿易が行われていた。

 フランスは政治的に、中国共産党が主張する一つの中国を原則として受け入れている。だから建前では中国共産党を否定しない。しかし経済は別物で、武器を買う台湾の国民党を国家の代表として認めている。これをフランスは、武漢ウイルス(COVID-19)パンデミック対策で隠して返答したのだ。

■オーストラリアへの恫喝
 オーストラリアは独立組織による現地調査に賛同した国の一つ。これで中国共産党は武漢ウイルス(COVID-19)の対策でオーストラリアを対立関係になる。怒った中国共産党は5月13日にオーストラリアに対し、輸入している大麦に対して反ダンピング関税を課すことを公言。さらにアメリカからの大麦輸入を増加させると公言。

 オーストラリアに対して、「大麦の輸入を停止させるぞ!金が欲しければ黙っていろ!」と恫喝したことになる。中国共産党は金でオーストラリアを従わせようとしたが、やり方が露骨で反発を買うだけ。

■食料は戦略兵器
 古代から食料は戦略兵器。だから輸入する時は複数の国にする。複数の国から輸入していれば、一カ国と対立関係になっても、他の国から輸入を継続できる。仮に一カ国に限定すれば、その国に生殺与奪権を握られる。食料輸出国が停止すると、輸入国は飢餓に陥る。これを回避するために、輸出国の要求を飲むことになる。

 中国共産党はオーストラリアからの大麦輸入からアメリカからの輸入増大に回す。これは米中貿易協定でトランプ大統領を喜ばせるはず。だがこの選択は中国共産党の戦略を失わせてしまう。
 
 中国共産党はオーストラリアを恫喝する目的だとしても、アメリカに生殺与奪を渡したことになる。食料輸入国を減らすのだから、外国の内政干渉を受けやすくする。これでトランプ大統領は喜んだかと思えば、実際はトランプ大統領の怒りは収まらない。

■怒るトランプ大統領
 トランプ大統領は5月14日、中国共産党の武漢ウイルス(COVID-19)対応の怒りを公言。トランプ大統領は中国共産党との断行まで口にした。トランプ大統領は米中貿易協定に満足しておらず、報復措置として「関係を完全に断ち切れば、約53兆6300億円を節約できる」とまで公言。

 トランプ大統領の怒りでオーストラリアへの恫喝は霧散。今の中国は武漢ウイルス(COVID-19)パンデミックで生産停滞。しかも食糧不足は解決されておらず、アフリカ豚コレラ・ツマジロクサヨトウ・鳥インフルエンザ・サバクトビバッタなど食害が連続。

 中国共産党は複数の国からの食料輸入が生命線維持になり、食糧不足が慢性化すれば易姓革命の引き金になりかねない。そんな時にオーストラリアを恫喝し、アメリカから食料輸入を増やそうとした。だがトランプ大統領が怒ったので関係断行すら有り得る状況になる。これでは生殺与奪を握られるよりも、頼みの綱が消える最悪のシナリオも見えてきた。

 中国共産党は他の国から食料輸入する事もできる。問題なのは武漢ウイルス(COVID-19)パンデミックで食料輸出を制限する国が出ること。パンデミック対策で自国優先になり、自国民を食わせることを優先。そのためには食料の備蓄が第一になり、輸出は一時停止。サバクトビバッタはアフリカの食物を食い荒らしたから、広範囲の食糧不足が予測されている。ならば中国が輸入したくても不足することは確実。

■面子か食料か
 中国共産党は困ったことになった。アメリカは5月14日にウイグル人権法案を上院で可決。中国共産党が怒って米中貿易協定を破棄すれば、困るのは中国共産党。アメリカへの依存度を強めたことで、面子か食料かの二者択一を迫られた。

 面子を選んで破棄すれば米中戦争の引き金になる。だが食糧不足を解決できないから、アメリカとの戦争よりも隣国の土地を奪うことを優先するだろう。仮に食料を選べば人民を食わせることは可能。しかし中国共産党の威厳は低下し、人民から軽く見られる。中国共産党の二者択一は何方を選ぶのか?

私は貴方のサポートを待っています。