見出し画像

地球に意思はあるか

 見たままの人間社会って、面白いけどつまらないので、よくスケールを変えて考え事をする。地球とか、宇宙全体を見て。あるいはミクロの世界とか、時間とか、並行世界とか。

 最近考えていたのは、「地球には意思があるか」ということ。

 人間には意思がある(あるよね...?)。行動を起こす前には考えるし、好きとか嫌いとか、悩んだり喜んだり悲しんだりする。自分に意思があるだろうことは分かる。なぜなら、少なくとも「自分には意思がある」と考えられているから。

 ではなぜ、人間全員が意思を持っていると言えるのだろうか?諸説あるだろうが、人間は相互に高度なコミュニケーションを取れるからだと思う。ジェスチャーや表情、鳴き声にとどまらず、人間は言語を開発し、文字を開発し、文章表現や絵画、写真、映像などを開発した。それによって自分以外の人間の感情の機微を感じ取れるようになり、「あ、自分以外の人も色々考えてるんやな。意思があるんや。」と気付く。

 人間以外の動物にも意思がありそうな感じがする。ペットの犬は飼い主が帰宅すると尻尾を振って喜ぶし、野生のライオンはまるで人間のそれと同じように子供たちを大事に育てる。野生動物のドキュメンタリーで、子どもアニマルが危険なことをしようとしたり悪さをしようとすると、親アニマルはそれを注意する様子をよく目にする。

 「いや、それは意思があるんじゃなくて、本能ってやつだ」という意見もあるだろう。僕自身、よく調べられた学術研究を参照して議論しているわけではないので強く言えるわけではないが、動物たちにも意思があるってことにしよう。(動物の意思と本能に関する論文などがあれば是非教えてください。)

 思うに、動物に意思があると断言できないのは、人間と動物が円滑にコミュニケーションをとる手段がないからではないだろうか?「ネコ語翻訳機」が開発されて、飼い猫とコミュニケーション出来るようになった場合を想像してほしい。飼い猫に「おい、飯はまだかよ」とか「この前買ってきてくれた遊び道具はマジでセンスない」と言われても尚、その猫には意思がないと自信を持って言えるだろうか?

 では次に、植物はどうか?動物に意思がある、と認めるのは百歩譲って許せるとしても、植物に意思があるとするのはちょっと...。

 これは動物たちと違ってさらに、植物が「同種同士でもコミュニケーションをとっていない」ように見えるからではないだろうか?テレビのドキュメンタリーで見るように、動物たちは同種同士ではコミュニケーションをとっている。親と子の愛、オスとメスの駆け引き、走り回って遊んだり、喧嘩をしたり。でも植物はこういったことはしない。

 本当だろうか?植物同士のコミュニケーションを人間が感知できていないだけだとしたら?

 人間や動物の多くは、空気振動による「音」や「光」を媒体として相互にコミュニケーションをとっている。音や光を使って、お互いに情報の出し入れをしている。

 もし植物が、木々が、人間や動物の見えないところで、たとえば地中で栄養分や水分を媒体としてコミュニケーションをとっていたとしたら?自身の幹や草葉による風の微妙な変化で情報を伝えていたとしたら?その可能性を、人間は否定することが出来ない。なぜなら人間は地中の水分や自身に吹き付けた風を媒体として他人とコミュニケーションをとれないからだ。

 目や耳のような感覚器を持たない植物は、人間が相互に行っているコミュニケーションを感知できない。だからおそらく、植物は「人間には意思がない」と思っているだろう。

 「いやそもそも植物には目がないんだから、人間のことが見えてない。だから人間がそこにいるかどうかなんてそもそも分かってないでしょ。」って?待ってくれ。私たち人間は、自分たちが持ち合わせた目や鼻、手といった感覚器で植物の存在を感じ取っている。同様に植物は人間が踏みしめた地面や人体から発せられる熱、人体によって遮られた風によって人間を認識しているかもしれない。

 だから植物の尺度で考えれば、植物にも意思があるかもしれない。人間の私たちには「かもしれない」としか言いようがない。

 さて、では「地球に意思はあるか」?

 人間が自身で「意思」だと思っているものは、脳内での電気化学的な信号伝達によるものだといわれている。科学的に言えば、「精神次元」や「魂」なんてものはなく、ミクロで膨大な化学反応の連続による情報伝達を、「意思」だと認識しているのだ。

 地球には海がある。海には海流が流れ、風が吹き、それらは地球の中で完結している。地中にはマグマが流れ、時折地表に噴火したり、あるいは地中で固まったりする。地球上の様々な場所で温度や湿度は不規則に変化し、雨が降り、雪が降り、川が流れる。

 これらの地球の運動は人間が起こしたものではない。人間が誕生するはるか前から運動しており、今も尚動き続けている。

 人間は、そういった意味で「先輩」である地球にはびこり、自分たちは唯一「意思」がある存在だと主張しているように思える。まるでウイルスやがん細胞が人間を侵食しているように、或いは空気が人間の中を通り酸素を供給して二酸化炭素をかっさらっていくように。

 ウイルスやがん細胞は、人間の意思とは関係なく侵食してくる。空気も、人間の意思とは関係なく酸素を置いていき、二酸化炭素を奪っていく。しかし依然として人間には「意思」がある。

 人間は、地球の意思とは関係なく侵食してくる。海にごみを置いていき、大地からエネルギーを奪っていく。しかし依然として地球には「意思」がある...あれ?地球に意思が...ん?

 というわけで、地球にも意思があると思う。人間がその体内で電気化学的な情報伝達を「意思」として認識しているように、地球くんも海の流れや風の流れ、もしかしたら人間の活動による情報伝達を「意思」として認識しているかもしれない。

 そして同じ理由で、「宇宙」にもおそらく意思があり、この宇宙を監視している何者かが存在する。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?