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【ぶんぶくちゃいな】過渡期の香港アイデンティティ

(カバー写真は空港の書店に並んでいた中国権力トップにまつわる本の数々。デザイン系書籍の取り扱いで大きくなった書店が空港から撤退したりと、昨年の銅鑼湾書店経営者拉致事件の影響を嘆く声は聞いたが、実際に空港に並ぶこうした「内幕」ネタ本は減っていないと感じました。)

香港に行ってきた。わたしは毎年1回は香港に戻る用事があるので、だいたい6月4日の北京天安門事件記念集会、あるいは7月1日の主権返還記念日政府抗議デモという恒例行事に合わせて帰るようにしている。

その理由の一つは「香港の熱気を知る」ため、もう一つはこの時期に合わせていろいろな人が香港に集まってくるため。さらに三つ目として、対中国、香港政府に関するさまざまな話題が噴出しやすい時期だからだ。日頃から香港のニュースに目を通していても、この2つのイベントを軸に現地で定点観測をすることで、その変化に気づきやすい、という利点もある。

今年現地で体験したり、耳にしたことを中心に、今の香港が抱える問題を分析してみる。

●台湾と香港、ひまわりと雨傘

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