【ぶんぶくちゃいな】娯楽死す? 政府が始めたネットインフルエンサー潰し

前回の「【ぶんぶくちゃいな】「インターネット安全法」施行日に個人情報争奪戦勃発」で取り上げた、「インターネット安全法」の施行がその後、予想もしていなかった方向へと規制の手を伸ばし、中国のネット利用者を困惑させている。

6月7日、中国の主要コンテンツプラットホームから主に芸能人のゴシップネタをウリにしてきた19アカウントが突然削除されたのだ。

もちろん、というのもなんだが、「ネット2.0時代」入りして個人が意見を発表することが活発化して以来、中国において「アカウント削除」はそれほど珍しいことではない。流れてきた記事のリンクをクリックしたら、すでにその記事が削除され読めないということは、日々インターネットを使って情報収集をしている人なら経験している。アカウント削除は、そんな記事削除を何度も繰り返す、「ちょっとやばめ」のアカウントに下される「最終手段」だ。

だが、一挙に大量のアカウントがざっくり消されてしまうとなると、それは「ちょっとやばめ」どころの話ではない。それもいま一番人気のメッセージング&コンテンツサービス「微信 WeChat」(以下、「WeChat」)だけではなく、その他のコンテンツサイトやビデオサイト、討論プラットホームでも一斉に削除が行われたとなると、ほぼ間違いなく行政手段の介入による。これまでも何度かそういうことはあったし、そのたびに政治的な当局のメッセージだと受け取られてきた。

だが、今回対象になった25アカウントはほぼどれも芸能人や有名人のゴシップ情報を流すアカウントばかり。ネタにされた芸能人にとっては迷惑だろうが、何をして行政がそこまでの労力を払うのか? これまで削除対象になってきた政治社会問題好きのネットユーザーの間では「なにごと?」と疑問符が飛び交った。

続いて翌日の8日、またゴシップ関連を中心に25アカウントが大量削除されるという事態が発生。この第2陣で削除されたアカウントには、これまできわどい性的な想像をかき立てる写真をカバーにしてきた成人雑誌「男人装」や広州の人気メディア南方集団が発行する娯楽雑誌「南都娯楽週刊」の公式WeChatアカウント、さらには米国の著名ファッション雑誌「ハーパースバザー」の中国語版編集部など著名メディアが持っていた、エンターテイメントニュース用アカウントも含まれていた。そのため、前日の「なにごと?」という困惑はあっという間に「なにかが起こった」という確信となってネット全体に広がった。

●娯楽ゴシップアカウント一網打尽

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