【ぶんぶくちゃいな】上海ロックダウン:「非コロナ」死者がコロナ死者を上回った

上海浦東に住むジャーナリスト、謝海涛さんの団地ではすでに封鎖1カ月を超えた。浦西に住む台湾人の友人は、旧暦正月の休みを台湾で過ごしてから上海に戻り、ホテル隔離2週間を終えた後借りているマンションに戻ろうとしたら「感染対策」で管理委員会に拒絶され、改めて自費でのホテル住まい1週間を求められ、ようやくマンションに戻った。預けていた愛犬たちを連れて帰ってしばしの上海の早春を楽しんだ後、4月1日から今度は浦西全体の封鎖が始まった。

先日、フェイスブックにその台湾人の友人が「マンション住民と集団購入した食品が届いた」と同時に「政府からの食品パックも届いた」と写真をアップしていた。さらに午後には妻が勤めている外国企業が職員のために手配した「ブロック肉のパック」も届いたとアップして、「ラッキー。これで月末までは持つ」とつぶやいていた。思わず、「封鎖は月末まで続く?」と尋ねたら「たぶんね」とかなり真面目な返事が返ってきた。

ある上海在住の日系企業勤務の日本人は、「一応お給料は保証されていて自宅勤務ってことになっているけれど、とにかく食料の確保が一大事。朝起きたらすぐに、参加している団体購入グループのサイトを確認して欲しい物がでていたらすぐ購入。いや、最近は欲しい物とか言ってられないの、ある時に手に入れるようにしとかないと」。それでも競争が激しいので空振りに終わると、また次の時間にアップされるリストを待ち続けるのだとか。

「スマホから目が離せない。もう仕事どころじゃないわ」

団体購入というのは、団地ごと、あるいはマンションの建物ごと、あるいは(団地内の)有志ごと、とさまざまな共同購入のグループが存在する。そして個人はそこに参加することで、その日グループ長が交渉して手に入れた購入品リストから商品を選ぶことができるのだという。封鎖が続くに連れて食品の需要度は高まり競争も激しくなっているから、一つや二つのグループに入っていても安心できない。だから手当り次第グループに入って、絶えず目を光らせる必要があるのだそうだ。

だが、運良くネット上で購入できたとしても食品がマンションの部屋に届くまで安心できない。閉鎖された団地の入り口に食品が届いても、そこから区分けして各部屋に届けるまでの人手が確保されているかが、グループの「信用」の分かれ道だ。だから、当然ながら一つの団地内あるいはマンション敷地や棟ごとの集団購入が最も人気がある。

ネットで流れたコラムの記事にはこうあった。いつもなら中国人はよく知り合いの間で「ご飯食べた?(吃飯了沒沒有有?)」とあいさつするが、最近はまず、「食べ物まだある?」からおしゃべりが始まると。中には、「このままいけば、わたしが餓死しても猫だけは生き延るわ。キャットフードはたっぷり買いだめしてあるから」という声も流れている。

買物系で大きな話題になったのは、「ベンチャーキャピタルの女王」と呼ばれ、個人資産総額110億元(約2000億円)とされる徐新さんのつぶやきだった。彼女が業界関係者のSNSグループで「誰かパンが買えるグループにわたしを招待してくれない? うちは家族が多いのでパンと牛乳が必要なの」とつぶやく様子がキャプチャされて大きくシェアされた。

中国で最も豊かでモノがありあまる上海で、ベンチャーキャピタルの女王ですら食べ物の確保に苦労するなんて、つい2カ月前なら誰も信じなかっただろう。

●「封鎖」で著名人たちの身にも…

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