【ぶんぶくちゃいな】「メディア王を討て!」、司法で負けて中国政府頼みする香港政府

李家超・香港特別行政区行政長官が「世界金融サミット」で世界から集まった金融業界のトップエリートたちを前に、「最悪の時期は過ぎ去った」として「ホンコン・イズ・バック」を宣言してからちょうど1カ月。

エリートたちはこぞってそのまま次のサミット会議が開かれたシンガポールに移動し、李行政長官以下香港政府高官は続いて開かれた香港ラグビーセブンズ大会の観客席でマスクをはずし、ビールを片手に外国人観客と肩を組み、楽しげにゲームを観戦する様子をメディアのカメラに記録させた。過去ずっとこの香港でも指折りの名物イベントを楽しんできたという記録が見つからない彼らが、今回どれほどゲームを楽しんだのかについてはコメントが出ていないのでわからない。ただ、メディアに流れたその姿は、今回3年ぶりに開催された大会において奮戦した選手たち以上に注目されたのは間違いない。

高官たちは英語で「ホンコン・イズ・バック」を繰り返しつつ、香港市民に向けては広東語で「講好香港故事」と言い続けている。一見「講好・香港故事」(香港のお話をきちんとする)とも取れそうなこの言葉、その真意は「講・好香港故事」(良い香港のお話をする)で、つまり簡単に言えば「香港をヨイショする」という意味だ。ラグビーセブンズが終わると、李家超長官ら高官はこの言葉を呪文のように繰り返しながら、オブザーバー参加が認められているAPECに出席すべく、タイに向かった。

まぁ、その間には香港から韓国に舞台を移して行われたラグビーセブンズの試合で国歌取り違え事件が起き、タイから戻った行政長官がPCR検査で陽性を呈すなど、11月の香港は「バック」というより、よく見るとここ3年間あまりですっかりさびた軌道の上を壊れかけた車輪がギシギシと音を出して走っている――ように感じられる。これら11月におきたあれこれは他所での原稿にまとめたのでご覧頂きたい。

そして、ギシギシと音を立てて走る「ホンコン」号を運転する李家超行政長官は、コロナ隔離から「復活」するとそれでもまだ懲りないようで、すでにグラグラと車体を揺らしながら走っている「ホンコン」号にさらに一回り大きな揺さぶりをかけた。

●香港国家安全法のターゲットにされたメディア王

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