【ぶんぶくちゃいな】フェイクニュースはマスメディアが作る

2011年に始めたメルマガ「§ 中 国 万 華 鏡 § 之 ぶんぶくちゃいな」が200号を突破してふと振り返ると、長年中国の事情を日本に向けて伝える立場から見て、偏見(または潜在意識)あるいは情報不足による「中途半端な分析」が今、一番の敵だと感じている。

特に昨年、アメリカ大統領選挙期間中にフェイクニュースが事実を超えるほど猛威を振るい、結局選挙結果を揺るがすほどの影響を与えたとされる。報道や情報発信の場では「フェイクニュース」は今熱い話題だ。民主選挙で情報戦、それもフェイクな情報が流布されて結果が左右されるなんて、恐ろしいことである。

ほぼ同じ頃、日本では医療情報サイト「Welq」が精査されていない、いい加減な医療情報を載せていたことが問題視され、閉鎖に追い込まれた。「Welq」の情報は、広範囲に伝播するほどの力は持たなかったが、それが誰かがわらにもすがる思いで求めたかもしれない医療情報を騙り、もしかしたら誰かの健康や生命を危険にさらす可能性があったことを考えると、やはり背筋が冷たくなる。

前者は明らかに特定の政治意図を持って、後者はサイト運営者が広告収入を、そして驚くほどの低収入ながら知識もなく医療情報まがいの情報でお金を稼げると応募してきた無責任な自称ライターたちの商売のツールとして「情報」が作り出された。後者には悪意はなかったとも言われるが、前述したように社会的に与えたネガティブな影響は無視できない。

わたしもフェイクニュースについて論ずる記事などを読んだりしているが、こうした出来事に大きな声を上げる学者やメディア関係者は多いのだが、彼らが論じる「フェイクニュース」には基本的に「非メディア関係者が作った情報」ばかりを標的にしていることが多い。逆に言えば、彼らにはいまだに「マスメディアを読めばフェイクはない」と信じているわけが、そんな彼らの「高みの見物」的な姿勢はいつも疑問を感じてきた。

というのも、中国報道においては、報道社がそれを意図したかどうかは別として、マスメディアがもたらす「ミスリーディング」があまりにも多すぎるからだ。

●怠惰なマスメディア

ここから先は

6,867字
この記事のみ ¥ 300

このアカウントは、完全フリーランスのライターが運営しています。もし記事が少しでも参考になった、あるいは気に入っていただけたら、下の「サポートをする」から少しだけでもサポートをいただけますと励みになります。サポートはできなくてもSNSでシェアしていただけると嬉しいです。