日本の現場は、こんなアタリマエのことを「有識者」に代弁してもらわなければわからないのか:《東浩紀「男女平等では現場は回らないというのなら、諸外国の『回っている現場』に学べばいい」》(AERA)

東浩紀「男女平等では現場は回らないというのなら、諸外国の『回っている現場』に学べばいい」(AERA)

ものすごく短い記事だが、ここで東さんが述べているのはまったくの正論。特にここだ。

日本はそもそも男女差別がたいへん激しい国である。それは統計から明らかであり、差別意識がない云々で糊塗できるものではない。…(中略)…この現実を「現場の論理」で正当化しようとしても、明らかに無理がある。男女平等では現場は回らないというのであれば、諸外国の「回っている現場」に学べばいいだけの話だ。

全部引用しようかと思ったが、どう読んでもここがこの記事のキモなので、それやると中抜きになってしまうだろうから、中を略した。記事は無料公開されているので、ここで東さんが根拠にしているデータをきちんと読んでほしい。たぶん、タイトルになっている東さんの提案が「目からウロコ」だと思う人には貴重すぎる情報のはずだからだ。

実はわしもずっと東さんと同じことを言ってきた。「日本の現場でなぜできないのか。ならば、海外はどうやって回しているのかを観察して学べばいい」と。

男女平等にしたら現場は回らない→なぜ回らないのか(=なぜ女性が男性とともに働けないのか)→原因を考える→解決法を考える→解決法を探す→解決を実施する→職場が変わる→女性と男性がともに働き、ともに切磋琢磨できる社会になる

それをさらりと東さんが言ってくれた。「識者」の力はやっぱり大きい。個人がツイッターやFBでどんなに書き込んでもアエラの1ページには及ばない。

だが、なぜこんな簡単なことをわざわざ東さんほどの識者にここで言ってもらえないと、女性も(もちろん男も)、ジャーナリストも、政府も、現場も、気づかないのか。日本社会はいつのまにか、すっかり「先進」に学んで前進するという姿勢を忘れてしまい、自分のいる場で右見て左見てどんぐりの背くらべすることに慣れきってしまい、変化より安穏さばかりを大事にするようになり、前向きにものごとを変えていこうという努力や思考すらしなくなっているのではないか。

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