【ぶんぶくちゃいな】「大湾区発展計画」ゴーサイン、香港はどうなる?

2月18日、とうとう中国政府が正式に「粤港澳大湾区発展計画綱領」を発表し、広東省(粤)、香港(港)、マカオ(澳)を統合するという大湾区計画が現実化し始めた。中国のメディアはこれを大きく報じ、一部メディアは発表後数日間特集を組んで、大湾区計画にはいかに明るい未来が待っているか、を強調した。

21日に香港で香港特別行政区政府トップが出席して行われた計画綱領発表会では、香港の林鄭月娥・行政長官は「香港はこれまで海外と中国国内の連携者の役割を演じてきたが、これからは積極的に大湾区の構築参与者の役割に転じていくことになる」と述べた。

また香港の陳茂波・財政司は、「一国二制度、3つの個別の関税区をいかにそれぞれの優位によって補い合い、人材、資金、情報、貨物の流通をスムーズにするかという課題に向き合う必要がある」と(北京語で)語った。

だが、北京での同綱領の発表を受けてわざわざ香港でもその発表会が行われたというのに、香港政府責任者たちは北京語で意見を発表、またその綱領を受けて具体的に香港でどのような施策を行うのかについて言及は行わず、相変わらずそれが具体的に香港のなにをいかに変えていくのかは、市民には全く伝わってこないままだった。

この「ぶんぶくちゃいな」でも「進む粤港澳大湾区構想と殻に閉じこもる香港本土意識」で、中国政府が深センと広東省、香港とマカオを「1+1+1+1は4になる」といった、いわゆる「大陸」的などんぶり勘定で大湾区計画を進めていることに触れた。その後、10月に香港ー珠海(広東省)ーマカオをつなぐ、全長55キロの「港珠澳大橋」が開通、さらには香港と広東省の中心地、広州市、さらにはその先に続く北京など中国各地を結ぶ高速鉄道も開通した。香港市民の関心度は低いままだが、明らかに一歩一歩「統合化」に向けた準備は進んでおり、その動きはすでにもう誰にも止められないだろう。

だが、それがなにを意味するのか。「大湾区、また来た『千年計画』」というタイトルの中国メディアの評論が開けなくなっていることから分かるように、中央政府がぶち上げた大掛かりな計画に少しでも批判的になることは許されないのはいつもどおりだ。

発展は良いことだ、経済は上向きになる、大湾区の未来は明るい、といった、おきまりの美辞麗句の陰に隠された「見えない何か」をさぐってみる。

●「大湾区発展計画」とはなにか

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