微分を理解する為に必ず必要な考え方

どうもこんにちはワヌマまあぬです。自己紹介を既に投稿しているので先にご一読頂けると有難いです。

今回は高校数学では恐らく多くの人が習ったときには難しく感じるであろう”微分”について僕なりの解説を記事にしてまとめていこうと思います。この記事の対象は微分を習ったけれども意味が全く分からないと困っておられる方や数学の予習として微分の勉強をしようと思っておられる方などが対象です。一方数学が得意で微積分(数学3の範囲)を難なく理解された方には当たり前すぎて読む必要が無いと思われます。結論からいうと、

微分は傾きを求めるときに使われる。


ということになります。勿論、微分は傾きを求める為だけに使われる訳では有りません。しかし、微分の使い方を全てまとめることは僕には実力が足りず出来ません。また、この記事で扱うつもりの範囲を超えてしまうので今回は割愛させて頂きます。

前置きはここまでにして、それでは始めましょう!


記事の目次
・傾きの確認
・傾きの求め方
・無限大と無限小
・微小変化量と微分の定義
・まとめ

・傾きの確認

学校教育における数学で初めて”傾き”という言葉が使われたのは”比例”もっと一般的に言えば”1次関数”を習ったときでしょう。その為、まず初めに1次関数での傾きについて必要な知識の復習をしていきましょう!

1次関数
一般的にa≠0のときにy=ax+bという式で表すことが出来るものを1次関数と呼びますね!このとき、xをただ一つに決めるとyがただ一つに決まります。この状態のことをyはxの関数(または写像)であると言います。また1次関数の式にあるaを”傾き”と呼びbを”切片”と呼びます。この記事では傾きに注目して微分の説明をしていこうと思います。


・傾きの求め方

それでは傾きの求め方について考えていきましょう!と言っても決して難しく考える訳では有りません。これは、y=ax+bのaとbを求める方法を思い出せば十分です。

まずは、切片bが分かっていて1次関数の切片が分かっていて、グラフの特定の1点を通る場合を考えてみましょう。
例題1 次の直線の式を求めよ。切片が1で、点(1,3)を通る。
という問題を解いていきましょう。

求める1次関数をy=ax+1と置く、
この1次関数が点(1,3)を通るので、これを代入すると、
3=a×1+1
a=2   □

よって傾きは2であることが分かりましたね。では次は、1次関数がグラフの特定の2点を通る場合を考えてみましょう。

例題2 次の直線の式を求めよ。点(1,2)と点(3,4)を通る。
という問題を解いていきましょう。

求める1次関数をy=ax+bと置く、
この1次関数が点(1,2)(3,4)を通るので、
2=1×a+b・・・①
4=3×a+b・・・②
①②より、a=1,b=1   □

これにより傾きが1で切片も1であることが分かりました!この結果から、どんな2点でも簡単に切片を求める方法を考えていきましょう!!どんな2点でも良いので取り敢えず2点を(x_1,y_1)、(x_2,y_2)としてみましょう。このとき、x_1はエックスワン、同様にy_2はワイツーと呼ぶことにします。また、x_1などは全て実数とします。例題2と同様にすると、


求める1次関数をy=ax+bと置く、
この1次関数が点(x_1,y_1)(x_2,y_2)を通るので、
y_1=x_1 ×a+b・・・①
y_2=x_2 ×a+b・・・②
①②より、a=(y_2-y_1)/(x_2-x_1),b=(x_2y_1-x_1y_2)/(x/2-x_1)   □

上の様になりますね。注意点があるので確認しておきましょう。” x_1 ×a ”は” x_1 ” と” a ”をかけているものです。誤って1×aと考えない様にしましょう。

ここからが重要です。

ギリシア文字のΔ(デルタと読みます)を使いaを表し直していきます。Δx=x_2-x_1,Δy=y_2-y_1と置くと、a=Δy/Δxとなります。Δxで一つの文字と考える為、Δy/Δx=y/xと約分の様に式変形は出来ないので注意してください。このときのΔx(=x_2-x_1)をxの増加率(または変化量)と呼びます。同様にΔyをyの増加率(または変化量)と呼びます。この増加率の考え方は微分を理解する上で重要な考え方です。①aが割り算の形になっていること。②aが傾きを表すこと。この二つは後にまた何度か出るので覚えて下さい。



・無限大と無限小

それではこれから無限大について述べていきますね!無限大はかなり抽象的な概念なので、感覚的に分かれば十分です。無限大を厳密に扱う方法(例えばε-N論法など)はとても難しいので今回は割愛し、感覚的に分かる段階で到達することを目指します。この記事では無限大をとりあえず”凄く大きな数””かなり大きな数”と言ったニュアンスで捉えることにしましょう。無限大での注意点は時と場合に寄るという曖昧な答えを出すことがあるという点に有ります。例を見てみましょう。” 凄く大きな数 ”と” かなり大きな数 ”を足すとどうなるでしょうか?答え方の一例として、” 凄くかなり大きな数 ”になると考えましょう。これを形式的に無限大の記号∞を用いるとこうなります。

” ∞+∞=∞ ”

この式は形式的なものであり、厳密な考えに基づくものとは言えません。しかし、よく分かりやすい書き方である為今後もイメージの為に多用します。そこで次の例を考えてみましょう!
凄く大きな数からかなり大きな数を引いたらどうなるでしょうか?考えれば考える程"凄く""かなり"という言葉の違いが気になってきませんか?この様な場合に対する答えを時と場合によるという表現で表すことにしましょう。この状態を形式的に書くと、

” ∞-∞=? ”

の様になりそうですよね。この様に時と場合による形全体のことを不定形と呼びます。そして微分はこの不定形の一つが定義になっているのです。


次に、無限大の符号について確認しておきましょう。正の値で凄く大きな数を正の無限大(または単に無限大)と呼びます。負の値で、符号を無視すれば(数学的な操作だと、絶対値を取ったり-1をかけたりして)無限大になるもののことを負の無限大と呼びます。負の無限大の説明をしておかないと、無限小を勘違いしてしまう可能性があるので確認しました。


さて、無限大の注意点をある程度学んだところで、次は無限小を扱います。無限小は形式的な記号が0となります。しかし、これは読み方も書き方も数字の0と一緒で区別がつかないので今回は区別の為にギリシア文字のφ(ファイ)を使わせて頂きます。無限小はイメージ的には” 凄く小さい数 ”や” かなり小さい数 ”となります。この小さいの意味は負の方向にだんだんと進むイメージではなく、だんだんと0に近い値になっていくイメージです。負の無限大としっかり区別が出来ないとこれからの説明は誤解や混乱を招きかねません。また、形式的な0という従来の表現方法には0では無いが、0に近い値というニュアンスが有るだけであり、正の値なのか負の値なのかということには一切触れていません。その為、形式的な0を正または負の数と考える必要が有り、イメージしにくいという欠点が有ります。今回はそれを避ける為、形式的なφは正である。すなわち

φ>0

が成り立っているとして不定形を、考えていきましょう。そうすると不定形は次の4つが考えられます。

” ∞-∞=? ” ①
” ∞÷∞=? ” ②
” ∞×φ=? ” ③
” φ÷φ=? ” ④

この4つが不定形であり、この記事では④の無限小割る無限小型の不定形を主に扱います。次に勘違いしやすい部分について軽く触れておきます。” φ-φ ”は不定形なのでしょうか?答えは不定形では無いです。実際に考えてみましょう” (正の)凄く小さい数 ”から” (正の)かなり小さい数 ”を引いたら” (正か負かは分からないが)凄くかなり小さい数 ”になる。ということはイメージ出来そうです。つまり、
” φ-φ=0(または±φ) ”
の様なイメージをして貰えば良いことになります。
一番重要な部分の確認ですが、④の不定形は分数の形分母分子がともに無限小である。ということに注意し、覚えて下さい。


・微小変化量と微分の定義

次に微小変化量という物を扱いましょう。これが理解できれば微分の定義をしっかり理解できます。この微小変化量とはその名の通り、変化量に関する物です。微小というのは前までに述べていた無限小を想像して下さい。では、いきなりですが微分の定義を見ていきましょう。

Δxがφになるとき、
Δy/Δx=y'(= dy/dx)と書く。
ある関数y=f(x)に対して、y'を求めることを
yをxで微分するという。

今回は上記のものを微分の定義とします。区別の為この表記を'今回の表記'と呼ばせて頂きます。

しかし、この'今回の表記'よりもよく使われる表記と対応させておこうと思います。微分では関数を扱うのでy=f(x)について考えていきます。点(x_1,y_1)(x_2,y_2)はどちらもこの関数上の点と考えるべきなので、

 y_1=f(x_1)
 y_2=f(x_2)

この2つの式が成り立ちますね。x_1=x,x_2=x+hとしてΔy/Δxを求めてみましょう。代入をすると考えると簡単ですね!

 Δy/Δx
=(y_2-y_1)/(x_2-x_1)
=(f(x_2)-f(x_1) )/(x_2-x_1)
=(f(x+h)-f(x) )/(x+h-x)
=(f(x+h)-f(x) )/h

この様になることが分かりますね。ここで代入する前と見比べながら考えて欲しいのですが、Δxがφになることは、hが0(もしくはφ)になることはそれぞれ同じ主張ですよね。これを良く使う表記を用いると、

h→0のとき

lim_h→0

などと言った表記を良く使います。この表記を使って微分を定義すると次の様になります。

h→0のとき、
(f(x+h)-f(x) )/h→f'(x)となる。

または、

lim_h→0  (f(x+h)-f(x) )/h = f'(x)

の様になります。この表記がより一般的なので区別の為'一般の表記'と呼ばせて頂きます。この'一般の表記'であるlimとは英語のlimitの3文字を取ったもので、極限と呼びます。また、limのすぐ下にh→0と書くのが普通ですが、タイピングで打ち込む方法が分からなかったので上の様にしました。実は極限が前に述べた無限大と無限小に深く関係してくるのですが、今回は詳しい説明を省略します。


次は、今回の表記で少し分かりにくい書き方の部分を補足をします。

暗黙の了解としてΔxがφになるとき(Δx→0と書く事の方が一般的です。)Δyもφになります(これもΔy→0と書く方が一般的です)。では確かめて見ましょう。ΔxとΔyはそれぞれxとyの増加量(または変化量)でしたね。Δxが無限小になるという事はx_1とx_2の幅が徐々に小さくなることを意味しますね。これはグラフ(例えば1次関数などのグラフ)を考えると横幅が狭くまって行くことを表します。ここでグラフの縦幅はどうなっているでしょうか?縦幅も狭くなっていますよね。
次の方法の方が分かりやすいかも知れません。点(x_1,y_1)(x_2,y_2)のx_1とx_2が似た値を取り始めることを考えると、y_1とy_2も似た値をとることが分かりそうです。

この暗黙の了解のお陰でΔxがφになるとき、Δyもφになることが分かりました。従って、Δxがφになるとき、Δy/Δxは形式的にφ/φという不定形になっていることになります。これを一旦式にしてみましょう。

a=Δy/Δx=y'(=dy/dx)"ただしy'などは不定形である"

こんな感じでしょうか。この式からいくつか重要なことが分かります。①a=y'からy'は傾きである。②不定形であるため時と場合による。つまり問題や関数によってy'の値がかわる。③極限操作つまり、φになることを考える過程では、xはあるただ一つの値を取るものと考えている。(xを定数と見なしている)


ここで、'今回の表記'と'一般の表記'を使い分けていた理由を説明します。
'今回の表記'では変化量を表す記号Δを多用しています。その為、微分を考える前の段階でΔy/Δxという分数を考えることになります。これで第1次導関数(導関数については後で扱います)のdy/dxという分数に似た表記をイメージしやすいというメリットがあります。この分数に似た形は数学3でかなり強力だと思います。今回の記事で、このイメージを伝える事が出来ていれば幸いです。
一方、'一般の表記'にもいくつか利点が有ります。その一つが用語を定義しやすい事です。実際にやってみましょう。'一般の表記'ではx自体は変数であり、極限操作をするときには定数の様に見なすのでしたね。このxが常に定数になるときを考えてみましょう。例えば、

f'(2)=lim_h→0 (f(2+h)-f(2) )/h

f'(5)=lim_h→0 (f(5+h)-f(5) )/h

などですね。このf'(2)は、関数y=f(x)の点(2,f(2))における接線の傾きを意味しています。同様にf'(5)なら、点(5,f(5))における接線の傾きを意味することになります。このf'(2),f'(5)のことをまとめて微分係数と呼びます。これは全ての定数で言えるので、定数をaとして定義してみましょう。(傾きを表すaと区別する為に定数aは文字を太くしています。)


lim_h→0  (f(a+h)-f(a) )/h = f'(a)

となるとき、f'(a)を微分係数と呼ぶ。


こんな感じになりますね。この定数aが変数xになったときはxがただ1つの定数aになったときにはf'(a)というただ1つの値を取るので関数になるわけですね。これにも名前がついています。

lim_h→0  (f(x+h)-f(x) )/h = f'(x)

となるとき、f'(x)を導関数と呼ぶ。

この様に'一般の表記'では変数と定数の区別がしやすい為、用語の定義がしやすいという特徴が有ります。

以上で微小変化量と微分の定義を終わります。


・まとめ

この記事のまとめに入ります。「傾きの確認」では1次関数を考え傾きの基本を復習しました。次の「傾きの求め方」では傾きaを表す為に、”a=Δy/Δx”という分数の形が使えることを認めました。その後「無限大と無限小」で微分を考えで理解しなければならない、極限の概念を無限大と無限小というイメージを使って不定形と呼ばれる”時と場合による”状態が有ることを発見しました。最後に「微小変化量と微分の定義」で傾きが”a=・・・=?”という式を使って式変形をしていき、最終的に”?”となった部分を微分の定義としました。僕の実力不足で内容が誤っていたり、伝わりにくい書き方になっていた場合はこの記事のコメントに書いていただけると幸いです。また、スキやフォローが励みになっています。是非お願いいたします!

以上で今回の記事を終わります。ご愛読ありがとうございました。


#数学 #高校数学 #高校 #高校生 #微分 #微分積分 #微分積分学

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?