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【ルポ】ガチ中華激戦区西川口に通ってみて気づいた日中の微妙な距離感

初めに

こんにちは!中国の映像制作会社・和之夢です!

皆さんはリトルチャイナタウンの西川口をご存知でしょうか。中国人人口がとても多く、街を歩けば聞こえるのは中国語…自分が日本に居るのを忘れてしまうほどです。

私の食堂

中国人向けの本格中国料理、ガチ中華が食べられる街はたくさんありますが、その中でも西川口は私が住んでいる埼玉県にあるため、何度も訪れています。最近『月曜から夜ふかし』でも特集されていたのでご存知の方も多いのではないでしょうか?


気になること


中国のことが大好きな私にとって、ガチ中華が気軽に食べられる西川口は非常に楽しい場所なのですが、1つ気になることがあるのです。

それは、日本人と中国人の交流が少ないのではないか?ということ。街を歩いていても中国人は中国人同士で中国語を使って話しているし、中国人向けレストランでは日本人の姿をほとんど見かけません。日本人と中国人で完全に住み分けがなされているように感じたのです。

中国語で髪を切ってもらえる床屋

そこで今回は西川口に定期的に中国料理を補給しに行っている日本人の私の目線から見た、西川口の日本人と中国人のすれ違いについて実例を交えながら考察していきます。


そもそも西川口とはどんな街なのか


西川口とは埼玉県川口市の町名です。地理的には川口市北西部の横曽根地区に位置し、JR西川口駅西口とその周辺の地域にあたります。JR西川口駅には西口と東口がありますが、東口は厳密には西川口ではないようですね。
川口市の外国人人口は年々増加傾向にあり、令和2年には38,764人になっています。
 
具体的にはどのようなすれ違いがあるのでしょうか?


日中のすれ違い

①外国人向け情報誌の認知度の低さ


西川口が所属する川口市は市役所が行うサポートも非常に手厚いものとなっています。かわぐち市民パートナーステーションという施設には外国人住民をサポートするための多言語資料が置いてありました。なかでも特筆すべきなのはTOMO×TOMO 外国人と日本人のための情報誌です。日、英、中のほかにベトナム語、韓国語で日本の文化、川口市のイベント、埼玉県の観光スポットなどを紹介しています。同時に日本語も勉強できる非常に優良な情報誌です。他にも家庭ごみ分別方法や銀行の使い方など、外国人が日本で生活する際において役に立つ紙媒体がそろっています。

川口市の外国人向け情報誌

しかし残念なことにこの媒体は中国人にはあまり知られていないようなのです。西川口在住の日本語に自信がない10人の中国人にこれらの情報誌を知っているか尋ねたところ、知っている人は一人もいませんでした。話を聞いた中国人の年齢が比較的若い層に偏っていたことも原因の一つかもしれせんが、それにしても少ないですよね…。

これはすでに日本で暮らしている中国人が新たにやってきた人たちに情報を共有していることに起因しているのでしょう。「スマホのアプリが普及しているから日本の情報は微信(中国版LINE)とか小红书(中国版Instagram)で見たほうが早い」と湖南省出身のとある中国人留学生は述べていました。


②日本語ボランティアの年齢差


川口市などの外国人人口が多い地域では、外国人向けの日本語ボランティアが公民館で定期的に行われています。前述した情報誌の中に日本語場ランティアの予定表も載っていたので、実際に西川口のあるボランティアに自分も参加してみることにしました。

そこで気が付いたのはボランティアの日本人と外国人の圧倒的な年齢差です。外国人は小学生くらいの子ども、大学生くらいの留学生、30代の主婦などの若い層が多かったのですが、日本人ボランティアはほとんどが年配の方たちでした。

日本語ボランティアでは外国人とペアを組んで一対一で日本語の練習をするのですが、私とペアになった20代の中国人女性は「若い日本人はこういう交流会には興味がないのかな、あなたみたいな若い人が増えてくれればもっと嬉しいんだけど…」とどこか寂しげでした。

年齢の近い人と交流したいというのが本音なのでしょう。


③ぬぐい切れない偏見

こちらのポスターは西川口の道端で見かけたものです。外国人と思われる女性による道端でのスリ行為…?自分が住んでいる地域ではこのようなポスターは見かけないので驚きました。注意対象を外国人女性に限定している時点でこの西川口が異様な場所であることが窺えます。さらに外国人女性と表記されていますが、この女性の髪色から日本以外のアジア人女性のことを指していると推測できます。

実際に外国人女性によるスリ被害が行われているかどうかは自分の目で確認することはできませんでしたが、おそらくそのような被害が多かったからこのようなポスターが貼られているのでしょう。しかしこれが原因で、日本人は中国人を含む外国人に対して悪いイメージを抱き、日本人と外国人のすれ違いがさらに大きくなっていくのではないでしょうか。

西川口のこれから


それではこれからの西川口はどうなっていくのでしょうか。ここまでいくつかマイナスな面を紹介してきてしまいました。しかし、私はこの少し悲観的な状況は長くは続かないと予想しています。

いつものように西川口で中国料理を楽しんだ後に散歩をしていた時のことです。夕方に差し掛かり、多くの学生が下校時間になっていました。そんな中私は高校の制服を着た二人の女子高生が中国語で会話しながら下校しているのを見かけました。

彼女たちは日本に来てどれくらいなんだろう?それとも日本生まれ日本育ちなんだろうか?そもそも国籍はどこなんだろう?色々気になりましたが、社会的な立場を考慮して話しかけるのはやめておきました(笑)。

いずれにせよ、彼女たちは学校では日本語で生活をし、家では中国語を話しているのでしょう。子供は言語の上達も早く、大人に比べて日本語も中国語も母語話者レベルになりやすいです。西川口で長期的に家庭を築こうとしている中国人は日本で子供を育てることになります。すると子供たちは家では中国語、学校や外では日本語という環境で幼少期を過ごすことになり、多言語に精通した人材が育成されます。

そのような学校では日本人学生も多くの中国人と触れ合う機会が増えます。触れ合う機会が増えれば、中国人に対する偏見も減っていくのではないでしょうか。

現段階では両国間の隔たりが否めない状態ですが、この町で育った子供たちが後に大人になったときに、日本人と中国人の交流を促進する役割を担ってくれることをひそかに期待しています。

それでは今日はこの辺で!



文字 | 麻辣烫

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