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自閉の不思議②

いつも子どもたちを連れて行く大きな樹のある自然豊かな公園。
阪急電車の通るところが見える場所。

聴覚過敏でいつもイヤーマフをしている男の子が二人いる。

一人は公園に行くまで「おうち帰る」を何度か言う。
無言で対応してみる。いつもは「今は帰れません」と言っていた。
3回言った後言わなくなった。
公園に着くタイミングでもあったけど、これもいろいろ対応を変えてみる。
彼は帰りにまた手を繋いで歩く時、満面の笑みで楽しそうにしていた。
何が楽しかったのかなぁ。

わたしはその子を児発管に託して、もう一人の男の子を観ていた。
彼はハルジオンの花を摘んでは花びらをむしり捨てるを繰り返していた。
ハルジオンは外来種で広範囲に渡り咲いている、黄色い花芯と白い花びらの小さな花。

最初は無言でむしっていたけど、そのうちむしった後の花芯を「月」と言う。
そしてむしる前の状態を「太陽」と称していた。
 
「月」を二つ持って合わせて「月ふたつ」と言ったり、「太陽」をわたしの手に乗せたり。
彼は彼にしか見えない世界の中で何かを感じ取っているんだな。
その様子を見ながら、絵本にできそうだなと思った。

別の男の子の話。
彼は公園に行く途中で必ず蟻をつかまえる。
小さな手で器用に持って離さない。
潰してしまうんじゃないかと思うけど、細い足を握って逃げないようにしている。
ちぎれたりもしない。
ちゃんと動けるぐらいの強さで持てるようだ。不思議。
蟻は必死に逃げようともがくけれど逃げられない。
彼はその様子をジッと見ている。
何を思っているんだろう。

「逃してあげよう」と言うと自分の腕を這わせてその様子を楽しむ。
本当は飽きるまでやらせてあげられたらいいのだけど、そうもいかないのが現実。
彼らは部屋の中ではなく、ずっと自然の中でゆったりと虫や花と戯れていたいのかもしれない。

虫が苦手だったわたしは彼らのおかげで、動きを見るところまではできるようになった。
触ることはしないけど、昨日芋虫が葉っぱを探して動く様子を観ていたら、自然のものの美しさに目がはなせなくなった。

彼らもそんなきもちなのかな。






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