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褒め言葉、ではない

会社勤めをしていた頃、
ある上司からこう言われました。

「君はいつも笑っとるなぁ。」

飄々として掴みどころのない上司でした。
「おはよう。」と同じくらいのテンションで放たれたその言葉が、一体どういう意味なのか計りかねた私。いつも笑ってると言われて、結局そこでも笑うしかありませんでした。

後々、やっぱりあれは褒め言葉なんかじゃなかったんだろうと思うようになりました。
あの時、気づけよって感じです。

いつも笑ってる人。
今の私なら冷静に観察してしまいます。
【この笑顔の裏にはどんな本心が隠れているのかな?どこか無理してるのかな?無自覚かもしれないけど、頑張ってるのかな?】

あの上司もそんな風に私を見ていたのでしょうか。
「何を考えてるのかわからない」と、女性たちからの評判はあまり良くなかったその上司。
ですが、感情の起伏がなく人への接し方がフラットで、裏表のなさそうな感じが私はとても好きでした。というか、安心して接することができていた気がします。

自分の一言を今でもずっと覚えている人がいるなんて、思いもしないでしょうね。笑

余談ですが、
その頃の仕事は銀行の窓口業務でした。
今のように番号札制ではなかったので、来店されたお客様のご用件をどんどん受けていくスタイルです。

繁忙日は自分の目の前にカルトン(丸いお皿)がタワーのように積み重なりました。
そのタワーが2つ3つ出来上がることも珍しくなく、さらに年末ともなると机に乗り切らず足下にまで。
公共料金などの支払いをお釣りなしで渡される方にはその場で判を押して領収書をお返ししたり、後方へ頼めそうなものは回したり。
待ち時間とフロアの客数を減らすため必死でした。

時折り「まだですか?」と催促される方へは笑顔で謝罪。そんな中かなり長く待たせているお客様の存在に気づき後ろを振り返ると、役席のハンコが欲しくて置いたその方の伝票がそのまま手付かずで置かれていたりして。慌てて「検印お願いしますっ。」と大声で役席に伝えます。でも今思えば、役席のおじさま方は皆んな優しかったです。

4年ほど勤めましたが、ほんと色々ありました。
以前投稿した小説に通帳を投げられる描写がありますが、あれは実話です。
今は順番に受付なので、昔のような大変さは軽減されたと思いますが。

余談が長くなりましたが、
皆さん銀行で待たされても窓口の方には優しくしてあげてくださいね〜。

(あれ?これそんな話だったっけ)




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