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アンパンマンからのメッセージ

アンパンマン。
日本人なら誰もが知るキャラクターではないでしょうか?

これまたお馴染みの
番組オープニングに流れるアンパンマンマーチ。
若い頃は「愛と勇気だけが友達」という歌詞を、
面白く捉えて歌ったりしたものです。
ですが40を迎えるあたりから、
この曲の歌詞に胸がグッとくるようになりました。
今なんて泣いてしまいます。胸が熱くなります。

アンパンマンは、ばいきんまんのことを絶対に最後までやっつけません。トドメをささないのです。
それはやなせ先生の明確な意図だと、過去に聞いたことがありました。
この世に絶対の悪なんて存在しないし、
完全なる悪者はいないという先生のメッセージだと聞きました。
その時はなるほどなぁと思っただけでしたが、
ここ何年かで、その言葉の意味はものすごく深くて大きなことだったんだなと感じるようになりました。

今の世の中を見てみてどうでしょうか?
たった一度間違えてしまった誰かのことを、
槍玉にあげて皆んなで責め立て毎日のように批判する。

一方的なアプローチだけで誰かを悪だと決めつけ、そんな悪いやつは死んでしまえと平気な顔で言う。平気というより、むしろそれが正義だと言わんばかりに。

やなせ先生は生前のインタビューで、
【ここ最近の、嫌なものを完全にやっつけてしまおうとする風潮はおかしなことだ】
と語っていたそうです。
自分が正義だと信じて嫌いなものをとことんまで排斥する。子供たちがそんな生き方を大人から学ぶとしたら‥なんだか怖い気がします。
互いの正義を譲らなかったら、その先には争いしかないのでは‥?

戦争を経験された先生は、
正義というものがある日ゴロッと変わるのを目の当たりにされた世代です。
鬼畜米英!と叫んでいた人たちが、
ある時から進駐軍、万歳!と叫ぶようになる。
自分たちの常識はいとも簡単にひっくり返る。
作家の養老孟司さんも同じようなことを以前インタビューで仰っていました。
今の若者にもその怖さを知ってほしいと。

それに、
ばいきんだって、本当は私たちの生活において必要なものかもしれませんもんね。
子供の頃からばいきんとも触れ合うことで、免疫がついたり身体も強くなったりしていくものです。
適度な距離をもって、それなりに仲良くやっていける相手かもしれない。

こんな素敵なアニメを作ってくれてありがとう。
映画にもしてくれてありがとう。
今回この文章を書くために、改めて色々と調べてみてそんな思いでいっぱいになりました。

これを書いていて思い出したのですが、
やなせ先生といえば
「手のひらを太陽に」の作詞もされていらっしゃるんですよね。初めて知った時は驚きました。
この歌詞も、大人になってから読むとまったく印象が違います。
何気なく歌っていた歌詞のひとつひとつに
こんなにも愛が溢れていたのかと、
今さらながら先生にお礼を言いたい気持ちでいっぱいです。


最後に、やなせ先生のお言葉をいくつか紹介させてください。

【悲しみがなければ喜びはない。不幸にならなければ幸福はわからない】

【実に単純なことです。人は人を喜ばせるのが一番嬉しい】

【なんのために生まれて、何をして生きるのか。これはアンパンマンのテーマソングであり僕のテーマソングです】

【幸福は本当はすぐそばにあって、気づいてくれるのを待っているものなのだ】

【長い人生では一回や二回は地獄を通過したほうが、かえっていいのかもしれない】

【一寸先は光】

ずっと気になっていた
やなせ先生の著者、読もうと思います。

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