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タマネギが刺激物質をもっていない理由

タマネギを切っていると目が痛くなり涙が出てきて料理どころじゃなくなるという経験をしたことがある人は多いかもしれません。なぜタマネギを切っていると目が刺激されるのでしょうか?

タマネギの細胞の中にはアイリンという物質が入っています。しかし、このアイリンには刺激性がありません。なぜなら細胞の中に刺激物質を持っているとタマネギ自身にも悪影響があるからです。実は、普段は無害なアイリンを細胞中に持っていて、病原菌や害虫・包丁によって細胞が破壊されると刺激物質を瞬時に作り出す仕組みになっているのです。その仕組みとは、細胞が破壊されるとアイリンが細胞の外に出て、細胞の外にある酵素によって化学反応を起こしアリシンという刺激物質に変わるというものです。このアリシンは病原菌や害虫から身を守る物質ですが、人にも作用してしまうのです。

つまりタマネギを楽に切るためにはアリシンを無効化すればいいという事になります。アリシンの特徴の一つに温度が低いと揮発しにくいというものがあります。したがってタマネギを切る直前に冷蔵庫に入れて冷やしておけばアリシンの効果を弱めることができます。またアリシンは熱に弱いので、電子レンジで少し加熱してから切るのも一つの手です。他にはタマネギを切る時には縦方向に切ったほうが細胞が壊れにくいのでアリシンの発生も抑えることができます。ぜひ試してみてください。

参考文献:稲垣栄洋,「面白くて眠れなくなる植物学」,PHP研究所,(2016)

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